【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「スタンディング」「ひとり街宣」という新しい政治文化始まる、都知事選、華のお江戸で 異次元の資本主義で言語化できない有権者のもどかしさ発露か

2024年07月01日 20時57分16秒 | 大縄跳びの内側から
[写真]女性有力新人の街頭演説会から、わざと離れて、「投票に行こう」とう候補者名の無いおそらく自作のプラカードを掲げる男性、墨田区で、宮崎信行撮影。

 3選をめざす女性現職に、女性有力新人がいどむ地方自治史上初の女性決戦となった都知事選は17日間の選挙戦のラストサンデーを終え、追い込みの5日間となりました。筆者の住む北区は知事選・都議補選の立候補者は、きょねん4月の区長・区議選とほど候補者がほぼ同数。都の面積(2194平方キロ)は、北区の面積(20平方キロ)は100倍超ですから、選挙カーも見かけず、全国の政治通が報道・SNSで得る大混戦のイメージとはギャップがあり、いたって静かです。

 さて、華のお江戸と武蔵・多摩の一部と島しょ部からなる東京都で、新しい政治文化が可視化されました。ひとり街宣・スタンディングです。

 有力候補のアイコンである「ピンク地に白抜きでR」のプラカード・プラスターを持ち無言で支持を訴えるやり方です。確認団体のビラを配布している人もいます。標旗、腕章はいりません。

 墨田区の有力女性新人の街頭演説会場に登場したのは、「投票に行こう」というおそらく自作のプラカードを持つ人。聴衆からわざと離れて、通行人にアピールしました。

 有力女性新人が荒川区から台東区を経て文京区近くまで練り歩いた際。終わり際に、「ピンク地に白抜きのR」のプラカードをドライバーの腹部に固定したバイクが登場。

 写真では、左腕の下側に黒い物がぶら下がっていますが、前から見ると、ピンク地です。

 そして、練り歩きを終了し、候補者タマ出しの乗用車に乗り込む直前の候補者と手を上げ合って無言の交流。土地勘があると、練り歩きのあとに、この付近に登場する時間はある程度予測がつきます。無言のコミュニケーションをする男性有権者の背中に粋を感じました(写真はともに宮崎信行撮影)。

 ついには、京都駅前でスタンディングする猛者も登場しました。都内各駅前でも、1時間立って通行する有権者に話しかけられるのは1名前後でしかないようですが、見知らぬスタンディング仲間と出くわし、励ましあうこともあるようです。

 言語化しづらい時代。

 異次元の金融緩和の下、三井不動産の乱開発、トヨタ自動車の下請けいじめに代表される資本主義が、有権者の多数決による選挙による民主主義に勝っていることは紛れもない事実。

 この政治文化は、岸本聡子(岸本さと子)杉並区長(1期目)がきょねん4月後半の杉並区議選の投票率を上げるためのひとり街宣をして区長与党過半数につなげた動きに影響されたと考えます。

 来るべき第50回衆院選でも、国政9政党は全比例ブロックに候補者を立てるとみられますので、党のイメージカラーなどで全国に広がりを見せることが予想されます。

 スタンディングよりも、数人でも友人にライン・電話をすべきではないかとの意見を持つ人も自陣にいるようです。

 以上です。

【中盤情勢】生数字入手、小池・蓮舫・石丸、稀に見る地上戦、小池「公明」「奥多摩」「八王子」独走、蓮舫「中央線リベラル」20・21・22区優勢、石丸7区で首位

2024年07月01日 01時35分03秒 | その他の選挙
[画像]民選では初代の安井誠一郎元東京都知事の胸像、東京・上野公園で、宮崎信行撮影。

●現職7ポイント、有力新人6ポイント程度積み上げか

 7日投開票の都知事選の中盤情勢で生数字を入手しました。いわゆる「行って来いでおおむね5ポイント前後」の激戦。

 序盤情勢(当サイト内には記事無し)から、現職の小池ゆり子(小池百合子)候補がおおむね7ポイント積み上げ、蓮舫候補がおおむね6ポイント積み上げています。石丸伸二候補は全体に占める割合は小さくなりました。石丸陣営は地上戦を闘う手足が弱いと推測されます。

 以下で取り上げる3候補以外の全候補は東京都選挙管理委員会で分かります。

 情勢は投票日までに大きく変わる可能性があります。

●奥多摩町・八王子・公明党の荒川区で現職大量リード

 衆議院の小選挙区東京1区から東京30区まででみると、圧倒的に面積が広い25区(奥多摩町など)は小池さんが独走し、未定を除いても、過半数が確実な情勢。公明党(岡本三成さん)が唯一立候補する新・東京29区(足立区西部・荒川区全域)がそれに続いていますので、創価学会が地上戦で健闘していることは確実です。また萩生田自民都連会長の八王子市でも小池さんは大きくリード。城東地区の14・15・16・17区も現職が優勢。

●「中央線リベラル」は蓮舫優勢も特別区の「市民と野党の環八」は劣勢

 蓮舫さんは「中央線リベラル」の東京19区・20区・21区・22区で首位の勢い。

 富裕層が多い世田谷では現職が過半数の勢い。前回衆院選で「市民と野党の調整」で実現した東京5区・6区・8区・9区の「環八」も、現職と新人はダブルスコア。固定資産税を都庁に徴税される特別区民は、衆院選と違い都は現職支持ということでしょうか。

 理由は分かりませんが、東京4区(大田区の東側)では蓮舫さんの支持が上回ります。

 なお、蓮舫候補はどういうわけか、告示後に大量動員の街頭演説会を開いた地域で軒並みビハインドとなっており、終盤戦の遊説日程の作り方が逆転を占います。

●キラキラ選挙区は石丸トップ維持、神宮外苑再開発など既得権益批判か

 告示前から話題となっていますが、「キラキラ選挙区」の新・東京7区(港区全域と渋谷区全域)では、石丸さんが前哨戦に引き続きトップ。現職が最も弱くなっています。前回の「東京維新・小野前熊本県副知事」(現・衆院議員)現象を今回も引き継いでいます。宗教法人明治神宮と三井不動産株式会社による「神宮外苑再開発」(一部は新宿区)への批判も根強そう。

●都議補選9選挙区で立憲は1以下
 
 都議補選9選挙区(すべて定数1)は、都民ファーストの会がおおむね5つ程度、自民党がおおむね5つ程度、立憲民主党がおおむね1つ程度で当選を争っていて、少数激戦となっています。

 以上です。