【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

「ウクライナ憲法の緊急事態条項には感動を覚える」北側一雄さんリードして憲法改正発議案策定の流れ、予算審議はもはや誰も気にしない状況

2022年03月17日 22時10分35秒 | 第208回通常国会 令和4年2022年1月
[写真]北側一雄さん、岸田文雄自民党総裁(首相)、山口那津男公明党代表(参議院議員)きょねん2021年10月24日(日)、大阪府堺市堺区で、宮崎信行撮影。

 憲法審査会で改憲の動きが一気に顕在化し、午前中の記事の後、方向付けの役回りを果たす公明党の北側一雄さんが「ウクライナ国会のホームページを毎日見ている。憲法の緊急事態条項で国会が機能していることに、深い敬意と感動を覚えます」と語りました。一つ前の第48期で海外視察に行っており、奇妙なシンクロナイゼーションが起き始めています。北側さんの話はカメレオン政党公明党による荒唐無稽な動きだとは、一刀両断にできない説得力がありました。

【衆議院憲法審査会 きょう令和4年2022年3月17日(木)】
 今回の第208回通常国会は予算審議中にも憲法審査会が開かれています。森英介会長は自民党労政局長も兼ねており、前夜は、麻生太郎副総裁とともに、連合の芳野友子会長(JAM)・清水事務局長(日教組)と会食しました。

 きょうの審議。

 オンライン国会の憲法解釈を議長に提出した経緯を自民党の新藤義孝筆頭幹事が説明し、「今後は緊急事態における国会議員の任期延長、緊急政令、それを執行するための予算について議論すべきだ」としました。次に発言した、立憲民主党の奥野総一郎さんは「乱暴だ。参議院の緊急集会で足りる」と拒みました。

 公明党の北側さんは「森会長、新藤幹事、奥野幹事、私らは2019年9月にウクライナ最高会議議長らを訪問しました。ロシアによるウクライナ侵略から2週間がたち、国際法は機能していない。ウクライナ憲法の緊急事態条項に私たちが関心を持って訪問した」としました。北側さんの説明では、宇憲法は、戒厳布告をすると法律により軍隊の全部または一部を、非常事態宣言をすると一部または全国の地域を大統領が直接指揮できるが、2日以内の議会の承認が必要としています。そして、人権の制約について憲法は「但し、特別な制限が無い限り次に挙げる18の権利は制限してはならない」と定めているとしています。北側さんは「宇議会の情報は日々更新されており、日本語で翻訳したものを読める。ぜひ見てほしい」と議員にすすめました。


[画像]「ウクライナ議会のホームページは連日更新されており日本語自動翻訳でぜひ読むべきだ」とタブレットを片手にすすめる北側一雄さんにあついまなざしをおくる山本有二自民党衆議院議員(左)、きょうの衆議院インターネット審議中継からスクリーンショット。

 北側さんによると、2月23日に宇議会は本会議を開いており、2月24日の本会議で大統領令を承認。当初1カ月間、3月25日までとなっていた緊急事態を、おととい(3月15日)の本会議で30日間の延長を承認したとしました。この間ゼレンスキー政府は首都キエフ大統領府を守り続けています。北側さんは、顔を知る政治家がリアルタイムで戦っている姿を思い起こしつつ「このような緊急事態でも、議会の機能を果たしていることに深い敬意と感動を覚えます」と語りました。

 北側さんの発言は陸続きの独立国家共同体の出来事を3年前に与野党で訪問したことも含めて日本に置き換える火事場泥棒のように受け止められますが、一家言あると私には感じられました。

 そして、当審査会で「ジョーカー役」をつとめる玉木雄一郎国民民主党代表は前回の審査会が開かれなかったことで野党を批判しつつ、与党に対しても、憲法56条の解釈を議長に提出したのに「後の動きがない」と衆議院規則などの改正の話が浮上していないとしました。

 きょうの2時間弱の議員間討議の取り扱いは幹事懇談会で話し合うことにして、次回の審査会開催は折り合わないまま、散会しました。

【参議院予算委員会 同日】
 「令和4年度予算案」は17日目で、集中審議が5日目「岸田内閣の基本姿勢」。まず、委嘱審査について常任・特別委員長から報告書が出たので、朗読は省略して議事録につけることを全会一致で承認しました。与党理事のとりはからいで、急遽政府報告が入り、前夜の東北新幹線脱線を含む震度6強の地震について首相が報告しました。

 蓮舫さんは6年前の今ごろは「岡田克也代表・枝野幸男幹事長」の一歩化路線を、邪心なき代表代行として支え、花斉会(野田佳彦さん、手塚仁雄さん、近藤洋介さん、武正公一さんら)で研鑽を積んでいました。今は昔という感じですが、参議院会派の世界に限ると逆に主流派に浮上しました。質疑で蓮舫さんは「今、プーチンを止めることが連帯になる。我が国を逃げ道としてプーチンに資金が行かないように検討してほしい」とし、石油などの全面経済制裁に踏み切るよう働きかけましたが、岸田さんは「バイデン大統領は同盟国すべてに求めているわけではない」として、石油など禁輸でアメリカより緩くなることを示唆しました。

【衆議院本会議 同日】
 まず中央選挙管理委員会の人事について議長が一任を取り付け、委員に神本美恵子さんや西博善さんら、予備委員に元宿仁さん阿部信吾さん平川寛之さんらを充てました。

 次に「土地改良法改正案」(208閣法19号)と「特殊土壌地帯災害防除及び振興臨時措置法の5年延長を含む改正法案」(208衆法 号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。農地法の改正条項では今国会で他の法案もこれから審議されます。
 「防衛省設置法や自衛隊法第84条などの改正法案」(208閣法26号)はれいわ新選組も賛成に回りました。共産反対、自公立維国有れ賛成多数で可決し、参議院に送られました。
 「豪雪地帯特別措置法の延長など改正法案」(208衆法 号)が全会一致で可決し、参議院に送られました。
 「行政手数料キャッシュレス法案」(208閣法22号)はれいわが反対し、自民・公明・立憲・維新・国民・共産・有志の会が賛成。第49期衆議院で8会派の態度がこの並びで分かれたのはこれが初めて。可決して、参議院に送られました。
 「大阪万博政府代表設置法案」(208閣法24号)は共れ反対、自公立維国有の賛成多数で可決し、参へ。
 「構造改革特区法の5年延長など改正法案」(208閣法27号)は共れ反対、自公立維国有賛成多数で可決し、参へ。
 「雇用保険法など改正案」(208閣法14号)は共れ反対、自公立維国有賛成多数で可決し、参へ。
 「貿易保険法改正案」(208閣法28号)は共れ反対、自公立維国有賛成多数で可決し、参へ。
 この後、人事院勧告実施について既に衆議院を通過した国家の一般職と特別職に続いて、衆議院議院運営委員長が起草した3法案が説明されました。「歳費法改正案」(208衆法 号)はれいわが反対、「秘書給与法改正案」(208衆法 号)は共産・れいわが反対、「国会職員育児休業法改正案」(208衆法 号)は全会一致となり、3案とも賛成多数で参議院に送られました。地方公務員と自衛隊の法案はまだ委員会で審議入りしていません。

 この後、重要広範議案として「経済安全保障法案」(208閣法37号)と「それに対する維新対案」(208衆法10号)が審議入りしました。208衆法10号の提出者・足立康史さんの答弁は、維新からの質問のみでした。2時間42分間となり、岸田首相は未明の地震対応、参予算委、衆本会議でさすがに眠そう。海江田万里副議長が「本日はこれにて散会します」と宣言しました。

【衆議院政治倫理の確立及び公職選挙法改正に関する特別委員会 同日】
 「第26回参議院通常選挙のための選挙執行経費基準法改正案」(208閣法17号)が全会一致で可決すべきだと決まりました。

【衆議院農林水産委員会 同日】
 「みどりの食料システム法案」(208閣法32号)と「植物防疫法改正案」(208閣法33号)が金子農相から趣旨説明され、次回は23日(水)に法案審査し、24日(木)に参考人質疑をするはこびとなりました。

【参議院財政金融委員会 同日】
 「所得税法改正案」(208閣法1号)を審査。

【衆議院議院運営委員会 同日】
【参議院議院運営委員会 同日】
 まん延防止重点措置の全解除についての政府の事前報告と各会派の「発言」と称する質疑。

 ●あすの予定
 参議院本会議の質疑と、午後は予算委一般質疑。経済安全保障法案はあすの衆議院内閣委員会で審議入りの公算。3連休明け火曜日にも予算案採決へ。

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