【元日経新聞記者】宮崎信行の国会傍聴記

政治ジャーナリスト宮崎信行、50代はドンドン書いていきます。

改正競馬法成立 「五輪相」「国保」法案委員会可決 特区法改正案審議入り 連休前駆け込み国会

2015年04月24日 23時03分03秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

[写真]国会議事堂裏、きょう、筆者撮影。

 連休前に衆議院委員会での駆け込み審査がありました。

 改正競馬法が成立。国民健康保険法改正案が衆・委員会を通過しました。

【平成27年2015年4月24日(金)法律公布】

 「高度テレビジョン施設臨時財政援助法(高テレ法)を廃止する法律」が平成27年4月24日法律15号として公布。すぐに施行されたので、高テレ法(平成11年法律63号)は廃止されました。

【同日 参議院本会議】

 改正福島復興再生特別措置法(189閣法2号)が投票総数234、賛成232、反対2で可決し、成立しました。自治体への補助金を手直し。生活の党と山本太郎となかまたちは、原子力災害の復旧に力を入れるべきだとの考えで反対しました。8月の概算要求に向けて、次の5年間の国費負担率についてスキーム作りが本格化します。

 船舶の所有者の責任の上限を引き上げる法律(189閣法7号)は投票総数234、賛成234、反対0で可決し、成立。条約の国内実施法のため「6月8日施行」。

 厚生労働省独立行政法人改革法(189閣法23号)は投票総数233、賛成147、反対86で可決し、成立しました。民主党はGPIFのガバナンス改革について法案未提出も含めて批判し、反対しました。

 官公需の中小企業優先法案(189閣法40号)は、投票総数233、賛成233、反対0で可決し、衆議院に送られました。

【同日 衆議院本会議】

 改正競馬法(189閣法47号)が全会一致で可決し、成立しました。来年から「凱旋門賞」の海外馬券が、中央競馬・地方競馬で買えるようになりますが、時差があり、窓口よりもネット販売が主流になりました。国庫納付金、自治体出納に少しでも寄与してくれることを願います。

 「電気通信事業法・放送法・電波法改正案」(189閣法66号)は起立多数で可決し、参議院に送られました。

 午前中に委員会可決した法案の緊急上程はありませんでした。

 続いて、石破茂・地方創生・特区相から趣旨説明。

 「第5次地方分権一括法案」(189閣法51号)
 「地域再生法改正案」(189閣法53号)
 「特区法改正案」(189閣法65号)。

 民主党の福田昭夫さんは「安倍首相はその独裁政ゆえに日本を破壊し、憲法解釈を変えて安保関連の法制を変えようとしている。自国通貨を毀損して日本の地位を下げている」としたうえで、「(第5次一括法案に盛り込まれた)農地転用のあり方はどうか」「特区法は重箱に押し込んだ感がある」と質問演説しました。

【同日 衆議院地方創生に関する特別委員会】

 「第5次地方分権一括法案」(189閣法51号)、「地域再生法改正案」(189閣法53号)、「特区法改正案」(189閣法65号が即時に委員会付託され、趣旨説明されました。地方分権一括法案の内閣委以外への付託は第5次にして初めて。

【同日 衆議院厚生労働委員会】

 「国民健康保険法改正案」(189閣法28号)が長い審査のうえ、採決。それに先立ち、自民党と公明党の高島修一さんが「4月1日とある一部の施行日を公布の日に修正したい」として修正案を提出しました。討論では民主党、共産党が反対。この後、民共の反対、自公維の賛成多数で可決しました。この後、珍しいことに、維新の党単独で附帯決議案を提出。浦野靖人理事の提案の後、民共の反対、自公民の賛成多数で採択されました。野党1会派の附帯決議案提出は異例で、与党と同じ投票行動をとるかわりだったと考えられます。

 この法案は、現役世代から後期高齢者への「支援金」を報酬割にするため、またしても上位中所得サラリーマンが狙い撃ちにされているのですが、その負担増への反対意見や理解がまったくなかったように感じます。

【同日 衆議院文部科学委員会】

 オリンピック・パラリンピック担当相(五輪相)を2020年まで閣僚枠を増設して設ける「東京オリンピック・パラリンピック特別措置法改正案」(189閣法15号)が共反対自公民維の賛成多数で可決しました。附帯決議つき。
 「2019年ラグビー特別措置法改正案」(189閣法16号)が全会一致で可決しました。 次回は5月13日(水)午前9時。

【同日 衆議院内閣委員会】

 預金通帳にマイナンバーを入れるなどの「マイナンバー法と個人情報保護法改正案」(189閣法34号)が趣旨説明されました。

【同日 衆議院法務委員会】

 「裁判員裁判法改正案」(189閣法41号)が審査され、連休明けの5月12日(火)午前9時30分からの委員会で、採決をめぐる攻防になりそうです。

【同日 衆議院外務委員会】

 「水銀に関する水俣条約の承認を求める件」(189条約4号)が審議入り。

【同日 衆議院環境委員会】

 「水銀環境汚染防止法案」(189閣法36号)と「大気汚染法改正案」(189閣法37号)が審議入り。このように外務委の条約審査と他の省別委員会の国内実施法案審査は連動することが多く、「外務委はアンブレラ委員会」とも呼ばれています。

【同日 衆議院財務金融委員会】

 破たん金融機関の処理についての財務大臣の定例報告への質疑がありました。

【同日 衆議院経済産業委員会】

 「電力システム改革プログラム第3弾の電気事業法・ガス事業法改正案」(189閣法29号)が長時間審査されました。次回は来週4月28日(火)の午前9時から。

【同日 衆議院安全保障委員会】

 「防衛装備庁設置と文官優位規定廃止の防衛省設置法改正案」(189閣法33号)が長時間審査され、次回は5月14日(木)に開くことになりました。この中で、夕方になって、防衛省政府参考人が「本来ならば大臣がお答えすべきですが、」と答弁する場面がありました。中谷元防衛大臣は、5月14日以降の衆参の法案審査で、よりしっかりした答弁をして、ていねいな審査を期待したいところです。

【同日 衆議院内閣委員会・衆議院農林水産委員会連合審査会】

 TPPについての質疑がありました。甘利明TPP相は「フロマン通商代表にいじめられ続けていると言われるが、こちらもいじめているので御相子だ」と答弁しました。軌を一にするように、米議会の上院委員会、下院委員会を通過したTPA法案について、議会への情報開示法案だという指摘が出ました。民主党と維新の党は同日、「TPPなど重要な通商交渉の国会への情報開示法案」を提出しました。

【同日 衆議院決算行政監視委員会】

 「平成24年度決算」と「平成25年度決算」が審議入り。

 この後、「平成25年度予備費使用調書」も審議入りしました。これだけは「衆議院先議」となっていますので、より早く仕上げて、参議院に送らないといけません。
以上

(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki 2007-2015

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「あなたは総理大臣ですか?」と岡田克也代表激怒、自ら安保法制再整備法案の委員会審議の先頭に

2015年04月24日 17時19分45秒 | 第189回通常国会2015年安保国会

 民主党の岡田克也代表は平成27年2015年4月24日(金)の定例記者会見で、安倍晋三首相(自民党総裁)が集団的自衛権の限定容認の事例に挙げる
 「中東のホルムズ海峡が機雷封鎖されて、原油の8割が日本に入ってこなくなったとき」について、

 「まったく問題ないと思う」と即答。

 そのうえで、
総理は第1次オイルショックの例を挙げて、パニックになると言うが、あなたは総理大臣ですか?パニックを防ぐのが総理大臣の仕事である

とし、国家備蓄(半年分)、民間備蓄、節約などで対応できるので、ホルムズ海峡に自衛隊を派遣する必要がないとの考えを示しました。
 そのうえで
私は(経済産業省の)資源エネルギー庁にいたときに、第2次オイルショックがあり、配給切符を印刷していたが、日本に入ってくる油は、第1次オイルショックより減っていたのに、大きなパニックにはなりませんでした。パニックになりますと言い切ってしまう総理はなんなんだ?」と激しく怒りました。

 あけて月曜日のガイドライン(日米防衛協力のための指針)と水曜日の米議会演説について、

 「総理の議会演説は承知していない。TPPやガイドラインにふれるのか、歴史認識とか、安倍政権は野党と党首会談をやらないので、ガイドラインに関して何の説明もなく、国内にも、国会にも、国民にもまったく説明しないまま、アメリカに行って大統領と合意するのは、前代未聞であり、国会無視であり、国民無視である!」と、地が出て、激昂しました。

 今週火曜日に発表した与党協議会の安保法制の全体像について、

 「世界の平和の安定の法制(自称・国際平和支援法案)について、公明党は、事前の国会承認だから大丈夫だと宣伝しているが、(周辺事態法を改正する重要影響事態法や、武力攻撃事態法などの改正は)恒久法で、シームレス(切れ目のない)であって、きちんと書き分けられているわけではありません。総理は世界の平和は日本の平和に直結すると言っているが、ならば、日本の平和に直結すると言ってしまえば、(地球の裏側の戦争の鎮圧のためでも)国会承認がいらなくなるのだから、私は意味の無いことだと思う
と語り、北側一雄公明党副代表が言う「例外なき国会事前承認」はまったく意味がないとの考えを示しました。この認識は、私の水曜日のエントリー記事、同日付の朝日社説、東京新聞、日経新聞とほぼ一致しています。 

 とにかく、何を怒っているんだ、と思われるでしょうが、そのくらい、大変なことを、あさって安倍晋三首相は訪米して、してしまいます。

 来週、平成27年2015年4月27日ないし29日は、日本にとってポイント・オブ・ノーリターン(後々振り返って帰れない歴史的転換点)になります。

 ◇

 民主党の岡田克也代表は、
 「私も委員会の審議に積極的に議論していきたい」
 と語り、連休明け5月14日以降の、「国の存立を全うし、切れ目のない集団的自衛権限定行使のための安全保障法制の再整備法案」を審議する特別委員会で先頭に立つことを宣言しました。

 極限状態におかれたときに、人は真価を問われます。過去70年間で最大の法案審議が連休明けに始まることに、私もワクワクしています。