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ニュースサイト 宮崎信行の国会傍聴記

元日本経済新聞記者の政治ジャーナリスト宮崎信行が3党協議を現地で取材したり国会中継を見たりして雑報を書いています。

第185臨時国会提出の産業競争力強化法案、企業合併で「新陳代謝」 大いに支持したい【追記あり】

2013年08月22日 05時14分23秒 | 第185臨時国会(2013年10~12月)秘密保護法

 2013年8月22日付読売新聞1面トップによると、第185回秋の臨時国会に政府が提出する「産業競争力強化法案」(仮称)に、再編が必要な業界を国が調査・公表し、企業の再編計画を国が認定すれば、減税措置を受けられる「産業の新陳代謝策」が盛り込まれる方向性になったそうです。

 この法案は、安倍首相が掲げる3本の矢(通称・アベノミクス)の3本目の肉付けとなる法案。国主導の業界再編と言えば、通商産業省主導の八幡製鉄と富士製鉄の合併(新日本製鉄)が思い浮かびますが、今回は、財務省の持論だと考えられます。

 記事によると、液晶テレビ分野の電機・部品メーカー、鉄道車両、水ビジネス業界などが対象になりそうです。

 この記事では対象外のようですが、アメリカには、自動車発明者がつくったフォード、GM、クライスラーの3社があります。では、日本の主要産業である、自動車には、トヨタ、ホンダ、スズキがありますが、このほかにも、日産自動車、三菱重工業、三菱自動車工業、三菱ふそう・バストラック、日野自動車(トヨタ子会社)、ダイハツ、マツダ、カワサキなどがあります。あるいは、家電に関しては、量販店で、パナソニックと韓国サムスンの商品で、値段が安ければサムスンを買うのではないでしょうか。パナソニック、ソニー、シャープ、東芝、日立、NEC、富士通の中から選ぶ必要はありません。

 このように、もはや国内で争い時代ではなく、1業界1社でも、競争相手は海外にいますから、商品開発力はむしろ高まる分野も多いでしょう。そのうえで、売上高は合併企業の単純な足し算にとどまっても、利益は増えるはず。国税である法人税は利益にかかるので、財務省としては売上高はどうでもよく、利益が上がることの方が大事です。

 社会保障を充実させながらも自由主義経済至上主義者である「やさしい新自由主義者」こと岡田克也さんの考えはどうでしょうか。

 岡田さんは2011年2月3日の民主党幹事長会見で「新日本製鉄と住友金属の経営統合が報じられております」「これは成長戦略を考えるうえで、非常に
重要な意思決定がなされたと私は受け止めております。久しぶりに元気の出る話」としたうえで、「八幡・富士が合併したときにもこれはずいぶん様々な議論がありました。ただ、あのときには世界一の鉄鋼会社ができるということだったと思います。今は残念ながら、おそらく合併しても、規模でいえばベスト5に入るか入らないかという状況」
と話し、珍しく古巣・通産省の最大の実績を振り返りました。この会見では、記者の質問に対して「まず再編は、私、個人的には必要だと考えております。ただ、それを国とか役所が先導することがいいかどうかは、また別の議論であります。それは自主的になされることが望ましいと思います」と語り、国主導に関しては消極的な考えを示しました。要するに、岡田さんは、再編するかしないかも含めて会社、市場に任せるという徹底的な自由経済論者なのです。

 一方、岡田さんはトヨタ自動車が震災後にセントラル自動車を完全子会社化したり、パナソニックが旧サンヨーの白物家電部門をハイアールに売却したことについて、私が2011年8月4日に質問した際には「国際的に見れば、やはり企業の数は」「自動車・電機はじめ多いのは事実で、ある程度の集約化は避けられないのではないかと思います」「ただ単に足し合わせるだけではなくて、一定の集約化がなされなければ、これは厳しい国際競争を勝ち抜くための再編の意味がありませんから、「1+1」が2になるのではなくて、「1+1」が1.5とか1.7になることによって競争力がかえって増すと、そういう再編・集約が望ましいのではないかと思います。サンヨーの件も、そういう観点で私はよく理解できるところであります。」と語りました。

 このときは、震災後経済で厳しい時でしたが、いったい何を1・5にするのかははっきりしませんが、固定費、さらには人件費のことも含めた考えだろうと思います。労働者の党、民主党の実力者の発言として気になるところですが、雇用を確保するためにも競争力を強化すべきだという考えでしょう。とくだん、岡田さんが年金制度の充実のために、消費税増税をなしとげたことが、小泉・竹中新自由主義によるセーフティーネットの整備と軌を一にしていることはないだろうと感じます。ただ、私は正直、2011年8月4日の記者会見で、岡田さんが、「1+1が1・5」と発言した後に、雇用のことも言えばいいのになあ、と考えました。今後、チェックさせていただきたいところです。

 連合の前身である同盟は、新日鉄をはじめとする企業合併のときには、組合員の尊重のために、まず同盟系労働組合が企業内の最大多数組合であることをめざし、積極的に合併しました。これは悪い意味で気を見るに敏な共産党による魔の手が伸びる前に、自由主義経済のもとで働く者を大事にする労働組合が最大多数組合になるねらい。この企業合併による労働組合合併により、自由主義を守る同盟が強くなり、日本の高度経済成長をつくりました。日本の高度経済成長による楽天的な国民性をつくったのは経団連ではなく、同盟だったのです。共産党系はJR発足後も、国鉄労働組合(国労)と名乗り名実ともに時代に取り残されましたが、たとえば、連合の古賀伸明会長の出身労組は、パナソニック労組にすでに名前を変えています。こういった柔軟な労働組合運動が日本経済の発展をつくってきました。ですから、企業合併すれば、賃金が高い方の会社にあわせる給与体系が期待できます。

 社長ポストが減り、社長交際費が減る経団連の連中は腰が抜けるでしょうが、財務省と連合がしっかりと手を携えて、株式会社ハイテク日本を、量より質でつくってまいりましょう。日本は必ずよみがえることができます。野党と言えば「歳出増賛成、歳入増反対」の無責任財政政策が常でしたが、日本初の「歳入増賛成」責任野党の民主党の法案への対応が注目される、秋の臨時国会になりそうです。

【追記 2013年10月16日(水)午後3時】

 産業競争力強化法案(183閣法3号)が15日、国会に提出されましたので、法案全文や法案要旨などのアドレスをお知らせします。

http://www.meti.go.jp/press/2013/10/20131015001/20131015001.html

【追記おわり】

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