[画像]国土強靭化内閣審議官の設置・施行を安倍首相が告示する内閣府令、2013年8月14日付官報。
安倍晋三首相(自民党総裁)は2013年8月14日(水)、国会と国民のお盆休みの虚をつくだまし討ちで、「国土強靭化担当内閣官房審議官」を設置する省令(内閣府令)を発令しすでに施行しました。
古屋圭司・内閣府特命担当相(国土強靭化担当、衆岐阜5区)の部下となり、部屋を持ち、事実上の「局」として予算取りに走るものとみられます。
2013年8月14日付官報で、「標準的な官職を定める政令に規定する内閣府令で定める標準的な官職等を定める内閣府令の一部を改正する内閣府令」(内閣府令第50号)を発表しました。
これによる、新しい内閣府令は次のようになります。
[標準的な官職を定める政令に規定する内閣府令]
第1条の4
表一の項第三欄第一号の内閣府令で定める内閣審議官は、次の各号に掲げるとおりとする。
一 中心市街地活性化本部、都市再生本部、構造改革特別区域推進本部、地域再生本部及び総合特別区域推進本部に関する事務の処理を掌理するもの
二 知的財産戦略本部に関する事務の処理を掌理するもの
三 郵政民営化推進本部に関する事務等の処理を掌理するもの
四 国家公務員制度改革推進本部の事務局次長に充てられたもの
五 拉致問題の解決のための戦略的取組及び総合的対策を推進するための本部に関する事務の処理を掌理するもの
六 TPP(環太平洋パートナーシップ)に関する主要閣僚会議及び幹事会に係る事務を処理し、また、TPP協定交渉等に関する方針等の企画及び立案並びに総合調整を行うための本部に置かれ、分野別チームを統括するもの
七 前号の本部に置かれ、交渉チームを統括するもの
八 国土強靭化に関する施策の推進にかかる企画および立案ならびに総合調整に関する事務の処理を整理するもの
◇
このように、国土強靭化審議官が置かれることになり、内閣府本府ビルや、あるいは民間のビルを借りて、国土強靭化担当室がおかれる見通し。初代の内閣審議官には、元国土交通事務次官の峰久・内閣官房参与やその後輩が起用され、個室を与えられ、部下も付くでしょう。
国会では、二階俊博さんが筆頭発議者となった「事前防災減災などに資する国土強靭化法案」(183衆法18号)が第183通常国会で趣旨説明され、第184臨時国会でも起立多数で閉会中審査となっており、第185臨時国会に継続議案になっています。
しかし、秋の臨時国会を待っていると、施行が年内に間に合わないため、お盆休みに安倍総理が主務大臣である、内閣府の省令(府令)で、内閣審議官を設置したものと思われます。8月31日までに概算要求し、平成26年度予算案(来年1月国会提出)で「国土強靭化」に関する予算を盛るものと考えられます。予算は国会が役所を縛るものですが、法律と違って天皇陛下の公布が要りません。
安倍首相のきょうの行為は、国家行政組織法第12条第1項の「各省大臣は、主任の行政事務について、法律もしくは政令を施行するため、または法律もしくは政令の特別の委任にもとづいて、それぞれその機関の命令として省令を発することができる」とあり、閣議決定がいりません。内閣府の主任大臣は、内閣総理大臣であって、内閣官房長官でも、内閣府特命担当大臣でもありません。
とはいえ、行組法第23条は省に置く大臣官房と局の数を「96以内とする」との定めがあり、内閣府本府にある「共生社会担当内閣府総括審議官室」などは事実上の「局」であり、霞が関自ら内閣府を使って、行組法の脱法行為をしており、だから日本の国は長期低迷しているのだ、と私は考えています。君子は本を務む本立ちて道生ず、で必要な局は法律でつくればいいのです。
我ながらよく気づいたものだと思います。おそらくあすの新聞には載らないでしょう。
日曜日の読売新聞に、武藤敏郎・初代財務事務次官が「社会保障の強靭化が必要だ」と財政再建を訴えましたが、財務省をあざ笑うかのように、あざやかに盆休みに「国土強靭化審議官」が設置されました。
この件について、官邸に電話しましたが、内閣総務官室はすでに帰宅済みということで、いったい誰が主導したのか分からない、まさに味方も敵もあざむく官僚主導政治がひそかに始まっているように感じます。
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