29日付日本農業新聞は、民主党が年明けの通常国会に提出を予定している『農林漁業・農村漁村再生改革法案』(農業再生法案)の全容が28日、明らかになった、と報じました。
JA全農系列の日本農業新聞が民主党法案を1面トップで報じるのは極めて異例のことです。
第1次産業全体(農業、畜産・酪農、林業、漁業など)を所得補償の対象としたことが柱です。年間予算は1兆5000億円を見積もりました。これまでの農業者戸別所得補償法案は農業だけに1兆円でしたが、これに畜産・酪農、林業、漁業を加えてパワーアップした法案です。
記事は「食料自給率の向上(略)には欠かせないと判断した」「同法案には、衆院選を前に民主党の農林漁業政策をあらためて有権者にアピールし、政府・与党との対立軸を鮮明にするねらいがある」として、法案提出時期は「慎重に判断する」としています。
年間予算額は
農業(畜産を除く) 1兆円
畜産・酪農 2000億円
林業 1000億円
漁業 1000億円
その他 1000億円
で、総額1兆5000億円程度を見積もり、財源は国の予算の総組み替えで確保するとしています。
記事では「予算の積算根拠や財源の不明確さに批判もあり、同法案が農業関係者らの支持をどこまで得られるかは不透明だ」としていますが、これは親会社であるJA全農への配慮から挿入した一文でしょう。
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2面には「市町村JA(農協)のトップが選ぶ2008年10大農業ニュース」というのが載っていました。これは5つの複数回答の集計。1位は「餃子」2位は「事故米」3位は「穀物価格の急騰」。そして、10位にひっそりと「品目横断対策要件緩和」となっています。
1面トップに「民主党戸別所得補償法案」。
2面にひっそり「10位・自民党の品目横断見直し」。
2009年に、農政における政権交代が迫っていることがを感じさせた年の瀬の紙面です。