首相官邸、外務省や、その時の野党などの政治家の記者会見をインターネットで生中継(送信・放送)するパイオニア「ニコニコ生放送・ニコニコ動画」を経営する、「ドワンゴ」の創業者、川上量生さんが持ち株会社の「カドカワ」の代表取締役を辞任し、取締役に降格したことが報じられました。(カドカワの川上社長が辞任)
経営不振による引責辞任とみられます。
前世紀末から、通信衛星を使った放送局(CS)のニュースチャンネルが始めた記者会見の生中継ですが、「ニコニコ生放送」が、同社だけの技術「コメント投稿機能」を付加して始めたことで、2008年頃から急激に政治に影響を与えることになりました。2011年では、官房長官記者会見で「#edanonero」というハッシュタグが、ツイッターとの連携投稿もあいまって話題になりました。麻生太郎さんの親族が経営陣・株主になっていることから、2012年に民主党が討論会を拒んだこともありますが、ニコファーレ(六本木のディスコ「ヴェルファーレ」を買い取って改装)での国政選挙の党首討論会や、幕張メッセでの「ニコニコ超会議」など独自主催のリアルイベントの中継などにも、最大与党を含めた各党が参画してきました。
上場企業に義務付けられた資料類によると、同社の売上高に占める、政治関連番組に関連した売上高は数%前後かそれ未満だったとみられ、最近は、官房長官記者会見、衆議院、参議院などの生中継に絞られてきていました。
2004年以降、立憲民主党と国民民主党は、党が単独で開催する党首記者会見を定例で開き、その映像を党が独自で(録画含む)配信する体制となっていることから、政治とメディアをめぐるマネタイズは難しい現状が続きそうです。
このエントリー記事の本文は以上です。
首相は
「電子版の新聞と、他のインターネット上の情報提供サイトとの間で合理的かつ明確な線引きが困難だ」
と答弁しました。
きょう平成31年2019年1月30日(水)の衆議院本会議(議事録は第2号)。前々日の施政方針演説に対する玉木雄一郎・国民民主党代表の質問。「新聞は、消費税率(10%に引き上げが法定)が上がっても、軽減税率が8%に据え置かれるが、なぜ新聞電子版は10%なのか」ことに関する安倍晋三首相の答弁に盛り込まれたものです。
例えば、10月以降、「日経電子版」は消費税率10%ですが、「宮崎信行の今後の政治日程」も、10%。NHKインターネット常時同時配信も10%になります(NHKは料金そのものを引き下げの予定)。
マスコミ4媒体のうち、テレビは有限、新聞はほぼ有限、ラジオは有限、インターネットは無限です。なので、インターネット上の情報提供サイトは、まるっきりマネタイズ(課金)はできていない現状だと思います。政治報道としては、他の媒体もさっぱり収益は上がっていないと考えられます。最近、ブロック紙出身のジャーナリスト(43歳)が新聞からネット媒体に移るには「40歳前がいい」という発信をしていましたが、経営者も兼ねる私としては、「年収」という大きな価値からすれば、年齢を問わず、正社員記者(編集職)は絶対に新聞社は辞めない方がいいと考えます。
さはさりながら、新聞電子版とこのブログは線引きが難しいそうですから、頑張ります。放送法第4条が適用されないようにしたいところです。
私としては、現在の「一人の新聞ヘビー購読者」という立場・経済的環境としては、新聞の消費税率は教科書同様に消費税法別表と同じ「0%」にしたらいいというのが本音ですけどね。
このエントリーの本文記事は以上です。
[お知らせはじめ]
宮崎信行の今後の政治日程(有料版)を発行しています。国会傍聴取材支援基金の創設とご協力のお願いをご一読ください。
このブログは以下のウェブサイトを活用しエントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV) 参議院インターネット審議中継 国会会議録検索システム(国立国会図書館) 衆議院議案(衆議院事務局) 今国会情報(参議院事務局) 各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク) 政党インターネット資料収集保存事業 「WARP」(国立国会図書館) 予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト) インターネット版官報
[お知らせおわり]
tags
(C)2019年、宮崎信行 Miyazaki Nobuyuki 2019
[写真]2018年9月26日付朝日新聞8面。
Twitterツイッターの副社長が、アカウント凍結などの基本方針で、これまで透明性やていねいな説明を欠いていたことを認めました。
ツイッター本社のデル・ハービー副社長は朝日新聞のインタビューで、
「歴史的に私たちは、どうやってポリシーをつくっているのかについて、いつも透明性を担保していたとはいえないからです」と語り、
アカウント凍結などの基本方針で透明性、ていねいな説明がなかったことを会社として認めました。
副社長は「意図的にそうしていたわけではないのですが」とし、人員など会社の資源的な問題があったことを示唆しました。
今後について「単なる透明性ではなく、意味ある透明性です」と語りました。個人だけでなく、「集団への人間性の否定を禁じる新ポリシー」を導入することになるとのことで、むしろ規制強化ともいえそうです。
私のツイッターアカウントは2009年秋から国会実況を時々していました。2013年秋の特定秘密保護法(案)の参議院審議時では、私は自宅から実況し、国会・議員会館の数万人を超えるその当時では数十年ぶりの抗議活動をするみなさんに、夜の寒い中、スマホから参考にしていただきました。しかし、2016年1月26日に凍結。その後、2年8か月の間に、3回、説明を求めましたが、何一つ説明がありません。その間、三重県議会の最大会派「新生みえ」がツイッター社を訪れ、議員のSNS発信を手とり足とり教えてもらったことを聞きました。東京駅の近くに日本法人が所在していることも、私はこのとき、初めて知りました。
こういうことへの懸念から、私は、ブログはNTTレゾナント、有料ブログはメディア・インデックス、公式ホームページはジャストシステム、と日本の会社しか使わない考え方です。動画共有サイトのみは、アメリカのユーチューブを使っていますが、通例、NTTレゾナントとの連携サービスから公開することを前提にしています。
今年も、福井、山陽、大阪、北海道で災害があり、豪雪豪雨停電避難などがあり、新しくツイッターのアカウントをとっておいた方がいいかな、という日本人も多いかもしれません。ツイッター社の新ポリシーの「集団への人間性の否定を禁じる」という「集団」が自民党をさすことがないようにしてほしいのですが、それも含めて、ツイッター社に声は届かない、と冷めた目で見ています。
このエントリー記事の本文は以上です。
[写真]日経ビル2階トイレ爆死事件を受けて、翌日に現地取材する、宮崎信行、2017年12月22日、宮崎信行撮影。
廃業した専売店社長が、トイレで爆死する、衝撃的な年末となった、東京都千代田区の「大手町1丁目都市再生特区」にある、株式会社日本経済新聞社の本社、いわゆる「日経ビル」。
[画像]きょねん2017年12月21日放送のお昼のNHKニュース、同社放送画面からスクリーンショット。
新聞社の2階に、誰でも出入りできるオープンスペースがあったことを含めて衝撃的なニュースとなりました。しかし、その後、あまりニュースにならず、日経が他社に報道しないよう要請しているのではないかとの「隠ぺい疑惑」が浮かびましたが、年越しとともに忘れられた印象です。
[写真]事故が起きた、日経ビル2階のオープンスペース、おととし2016年8月5日、筆者・宮崎信行撮影。
私・宮崎信行は2年越しで、現地を取材しました。
まず、事故があった日経ビル2階を、翌日に撮影した写真が下。発生直後なのに、奇妙な静謐につつまれた大都会。
[写真]トイレ爆死事件がおきた、日経ビルの2階付近、ワッペンは、筆者・宮崎信行がスマホアプリでお絵かき、きょねん2017年12月22日、宮崎信行撮影。
そして、きょう撮影した写真が下の通りで、爆発のあったトイレは、4枚の黒い板で遮っています。
[写真]爆発したトイレが4枚の黒い板で覆われた、日経ビル2階、きょう2018年1月6日、宮崎信行撮影。
事故物件公示サイト「大島てる」には、発生直後に、火災が起きた情報が載りました。日経は、外国の新聞社の株式を購入しているために、かなり過大な借り入れをしています。私は、13年前に、退社しており、いっさい、同社の経営とかかわりはありません。
で、現地取材を、きょねん2017年12月22日(金)と、きょう2018年1月6日(土)にした映像が上です。けっきょく、長く2階の出入り口は閉鎖され続けるようです。
ぜひ、日経新聞社には、事実を報じる姿勢を持ってほしいものです。
お亡くなりになった男性への哀悼の意を、心から表します。
このエントリー記事の本文は以上です。
[写真]横田一さんの質問に答えて「排除します」と発言したことが、小池百合子・希望の党の代表の「誤算」につながったとする、2017年10月25日付東京新聞1面トップ記事、宮崎信行撮影。
●衆院選後初めての議員総会を終えた囲み取材で、小池代表がフリーランス記者の「排除発言の撤回」に関する質問を無視
希望の党は、衆院選敗北後初の議員会合を議員会館内で開きました。会合終了後の、小池百合子代表を囲んだぶら下がり記者会見で、フリージャーナリストの横田一(よこた・はじめ)さんの質問を小池さんがあからさまに遮り、「はい、次の質問(者)どうぞ」と無視しました。
ヤフー社が経営する「The Page(ザ・ページ)」が配信した、以下の映像では、5分20秒過ぎから、横田さんが
「結果責任をとらないのはなぜなのか、排除発言を撤回していれば、このような事態にならなかったのではないか」との質問を投げかけましたが、小池さんは
「はい、次の質問どうぞ」と語り、横田質問を無視しました。
以下の動画の、5分20秒から40秒まででみられます。
【録画】希望の党・小池百合子代表が両院議員懇談会後に会見
●希望の党大失速を生んだ「排除します」発言を引き出した横田記者への意趣返し
これは、先月29日に、東京都庁内の記者会見で、横田さんの質問に答えて、「排除します」と答えたことで同党が大失速したことの意趣返しとみられます。
この「横田・小池問答」は、きょう、25日付東京新聞1面トップで、「小池氏過信が生んだ排除発言」という解説記事として報道。記事中に、横田さんの実名はありませんが、民放の情報番組などでも大きく取り上げられています。
先月29日の小池さんの大失言は、横田さんとのやりとりで一部笑いが起きたなか、「前原さんをだましたんでしょうか」「共謀してリベラル派大量虐殺なのか」という質問の中に「排除するのか」という言葉があったことから、小池さんがつられて「排除します」と答えてしまったものとみられます。
いわば、1993年の田原総一朗さんの民放テレビ持ち回り「総理が聞く」で宮澤喜一首相・自民党総裁から「政治改革関連法案は通常国会で成立させる」との言質をとったことで、「宮沢嘘つき解散」、第40回衆院選で自民党初の下野につながった、問答に似ています。
横田さんと小池代表のやり取りは、朝日新聞社が運営する「AERAdot(アエラドット)」に詳しいので、それを引用させていただきます。
[アエラドットから抜粋引用はじめ]
小池百合子をリセットした「排除」発言 引き出したジャーナリストが語る真相
(中略)
横田氏:「フリーの横田です。前原代表が昨日、(民進党の両院議員総会で)所属議員向けに希望の党に公認申請をすれば排除されないという説明をしたんですが、一方で知事は、安保、改憲を考慮して一致しない人は公認しないと。言っていることが違うと思うんですが、前原代表を騙したんでしょうか。それとも共謀して、そういうことを言ったんでしょうか」
小池氏:「すみません。横田さん。そのご質問は、この後、ちょっと場所を転換して、お答えをさせていただいた方が良いのではないかと思いますし、独特の言語を使っておられるなと今思ったところでございます。(中略)私は今、都知事としての会見をやっているわけですから、ちょっと待ってくださいね」
(略)
小池氏:「では、横田さんもう一回いきますか」
横田氏:「繰り返しになりますが、前原代表が昨日発言した『公認申請すれば排除されない』ということについて(中略)前原代表をダマしたのでしょうか。共謀して、リベラル派大量虐殺とも言われているんですが……」
ここで小池氏が「音声入ってないの?」と質問を遮った。
横田氏のテーブルに備え付けられたマイクが作動していなかったためだ。
横田氏が「最初から(言いますか)?」と応じると、報道陣の複数の席からは、あからさまな笑い声が漏れた。
横田氏の質問の表現が過激だったことや、前述の定例会見時から知事とのやり取りがかみ合っていなかったことなどもあったのか、会見室には小池氏を追及するのではなく〝空気を読まない〟質問をする横田氏を嘲笑するかのような、弛緩した空気が充満していた。
小池氏も上機嫌で笑っていた。
小池氏が〝運命の一言〟を放ったのは、まさにこの瞬間だった。
小池氏:「わかりました、お答えします。前原代表がどういう表現をされたか承知をいたしておりませんけれども、排除をされないということは、ございませんで、排除いたします」
(後略)
[引用おわり]
●質問する記者を選別するとかねてから言われていた小池百合子さん
この問答の前後にも、小池代表はたびたび横田一さんを無視している、とされています。フリーランスではなく、国会両院記者会に加盟する「やまと新聞」の松原久記者も手を挙げているのに、「時間がない」と言われて、記者会見を打ち切られたことを明らかにしています。フリーランスの畠山理仁さんも同じような対応をされたと証言しています。小池さんの手元には、その日着席している記者の座席表らしきものが置かれており、小池さんがそれを見ているようだ、との分析もあります。
●枝野幸男・立憲民主党代表は打って変わって、横田さんの質問に丁寧に対応
一方、躍進した立憲民主党の枝野幸男代表は、10月14日の「東京大作戦」と銘打った演説会終了後の囲み会見で横田さんの質問に答えています。私の質問にも答えてくれており、私に対する答えは、一部既存メディアもその日のうちに報じました。
●記者会見オープン化の民進党育ちの枝野代表と、情報囲い込みの自民党育ちの小池代表で運命が分かれたとの側面も史料になるか
このように、予定調和に無い質問を繰り出す、記者クラブ外のフリーランス・日本新聞協会・雑誌協会外メディアの記者を軽んじる、小池さんの姿勢が、選挙での大敗を招いたことにつながったともいえるかもしれません。
この姿勢は、2004年当時、「岡田克也幹事長代理定例記者会見」以降、「党本部単独主催・出席要件緩和のいわゆる記者会見オープン化」「両院議員総会等での名刺・リボン方式による取材緩和」をしてきた民進党育ちの枝野代表。与党時代・野党時代双方で情報を囲い込む体質がある自民党育ちの小池代表。枝野代表と小池代表の、フリーランス・独立系メディアの対応の違いが、選挙の流れを大きく変えたとも言えそうです。
このようなことがあったということを、後世の史家に伝えたい。
このエントリー記事の本文は以上です。
(C)2017年、宮崎信行。
政治家などの、会員制の無料・有料メールマガジン発行の最大手、「まぐまぐ」が、売却されることになりました。
東証1部上場で、国内航空券予約サイト最大手の「エボラブルアジア」は、株式会社まぐまぐの株式85%を購入し、子会社化すると発表しました。平成29年2017年10月中の株式購入を、きのう、2017年9月11日に同社の取締役会で決定しました。
「エ」社の発表によると、まぐまぐは1999年創業の老舗で、メルマガ会員は750万人。年間の売上高は、わずか5億円で、従業員1人辺りの年売上高は2300万円。1人辺りの年売上高は、ネットメディア業界ではまずまずといったところですが、営業損益は、赤字でした。
子会社化により、システム開発の資金を得やすくなるかもしれません。が、最大手とはいえ、年5億円だったということで、「メルマガ」という媒体の黄昏を感じざるを得ません。いずれにせよ、「拡大」か「縮小」かの生殺与奪の権は、完全に他社が握ったということです。
このエントリー記事の本文は以上です。
2017年、宮崎信行。
ジャーナリストの安積明子(あづみ・あきこ)さんが、
「野党共闘(泣)。学習しない民進党に待ち受ける真っ暗な未来」を出版されました。
出版社は、ワニブックスPLUS新書で、奥付では、出版日は2016年11月25日、とちょっと先につけてあります。
「健全な野党が存在してこそ民主主義は機能します」とする安積さんは「政権交代が可能な状態ならば、与党も緊張感を持つ」と指摘しています。
そのうえで、蓮舫代表率いる民進党が政権をとれるかどうかを第1章で詳述。民進党は分配経済により経済成長をめざすとしているが、アベノミクスの「支持率が高いのはなぜなのかを理解していないのでしょう」と批判しています。その一方で、玉木雄一郎さんの子ども国債を「国富の形成にとって最重要な要素」と手放しで評価。蓮舫新代表周辺が玉木さんの人事処遇で繰り広げた権謀術数が生々しくルポルタージュされているほか、これに先立ち、蓮舫さんが山尾志桜里さんと一緒に写真に写るときの、蓮舫さんの振る舞いなどが紹介されています。
野党共闘(泣)ですので、日本共産党にも多くのスペースを割き、第24回参院選の党本部の雰囲気の再現や、毎年度の党収入と党員数の減少について、年を追って解説しています。
公明党も、党本部のようすや、国会議員の高齢化に言及。新進党が解党してから、自民党との関係を深めるまでの様子を、ジャーナリストに先立つ、新進党議員政策担当秘書の体験もまじえて書き込んでいます。
なにより注目は、32ページ以降。
「不自然な岡田氏の代表選不出馬表明」という見出しで、日本政界最大の謎となった、7月30日の岡田克也さんの謎の代表選不出馬表明の裏側に迫りました。
定価は830円(消費税別)。
このエントリーの執筆者、評者は宮崎信行でした。
このエントリー記事の本文は以上です。
[写真]上出義樹博士の「報道の自己規制」、画像はAmazon掲載のものを拝借。
元北海道新聞編集委員の、上出義樹・博士=2016年上智大学=から、著書のご献本をいただきました。
「報道の自己規制 メディアを蝕む不都合な真実」(2000円+税、リンク先はAmazon)で、発行元はリベルタ出版。
ISBNコードは、978-4-903724-48-5
上出さんは1945年北海道生まれ。北海道新聞社入社後、東京支社政経部で昭和から平成への移ろいを取材。シンガポール特派員では、4紙代表(北海道、東京・中日、西日本)の赴任記者として、共同通信とは違う角度から、日系企業などに特化した記事を執筆。北海道新聞社の外報部次長、編集委員を務めた後、退社。東京の上智大学大学院で学びながら、霞が関・永田町などの記者会見に参加するフリーランス記者としても活躍してこられました。
私はおもに、2012年の岡田克也副総理の週2回の定例記者会見で、ご一緒し、政権末期にはたいてい並んで座っていました。
ファクト面で秀逸なのは、第4章「原発報道と自己規制」。
第4章では、上出さん自身が出席していた、2011年3月12日の経済産業省の原子力安全・保安院の記者会見で、中村幸一郎審議官が「炉心溶融ですね。燃料が溶け出していると見ていい」とかなりはっきりした口調で言ったのに、その2日後に「まだ溶融という段階でない」と発言したとの生々しいファクト。これについて、その2日間に、官邸にいる同省出身の貞森恵佑首相秘書官が、「重要事項を首相がテレビで知るのはおかしい。事前に知らせろ」と叱り、重要事項はまず官邸が先に発表するというルールが確立したとのファクトが示されています。
ファクト以上に本書の画期的な点は、筆者が大学院で指導を受けながら博士号を取得した研究、論文が基だけに、メディア論としては極めて体系的な章立てがされていることと、同時期にフリー記者として記者会見に参加していたことを活用した独自の現場記者調査が止揚していることです。私はメディア論は詳しくありませんが、おそらく同種の著作は初めてでしょう。
全10章の章立ては次の通り。
第1章 なぜ報道の自己規制が問題なのか
第2章 自己規制の理論的枠組と仮設
第3章 自己規制の系譜
第4章 原発報道と自己規制
第5章 安倍政権と報道の自己規制
第6章 足利事件に見る報道責任と自己規制
第7章 自己規制と記者たちの認識
第8章 自己規制の朝日新聞モデル
第9章 マスメディア批判のさまざまな視座
第10章 報道の自己規制の克服にむけて
となっています。
序論では、「記者クラブ」「日本新聞協会」「メディア系列」の「3つのK」を問題視したフリーマン氏など先行した研究の論文をていねいに紹介。日本、カリフォルニア市、英議会などを対象にした先行研究をひもときながら、若干の筆者自身の日本の現状の紹介があります。
そして、上出博士が現役フリー記者として知遇を得た現役メディア記者に対する「自己規制の圧力はあるか」との独自調査。その問いに、読売新聞記者に限れば半数が「ある」と答えたのに対して、朝日、NHKの記者は「ゼロ」だったことを紹介。
上出現地調査を、同時期の日本大学新聞学研究所の大規模調査と比較。日大大規模調査では「ジャーナリズムに影響を与える要因」の問いに「メディア側の自己規制」を複数回答の1つに挙げた人が全体の1割強にとどまっており、上出現地調査を裏付ける部分がありました。しかし、筆者は日大大規模調査の「ジャーナリズムが果たすべき役割」の問いに「政治指導者を監視する」が断然トップ「人々の政治決定に必要な情報の提供」が2位につけていることに注目。「建前と実態のかい離があるのではないか」と指摘し、その後の論考へとつなげていきます。
私・宮崎信行個人としては、日経新聞勤務中に、記者クラブで耳なじんだ「黒板協定」の形成経緯をはじめて知りました。NHK本部には記者クラブが2つあり、そのいずれも、民放記者は入れないというのも、ここ数年にわたる、第2次第3次安倍内閣とNHK籾井勝人会長と国会野党とのバトルがくすぶり続けたまま決着しないことへの新しい視座を得ました。
情報源と記者との関係という、俯瞰的、客観的、体系的に説明しづらい事象を、博士論文として体系的に明らかにしたことが、本書の特筆すべき点です。「誰にぜひ読んでほしい」ということではなく、数十年単位というかなり長期的な期間にわたって参照され続ける著作になるだろうと考えます。
このエントリー記事の本文は以上です。
(C)2016年、宮崎信行。
西崎伸彦・週刊文春記者が「巨人軍『闇』の深層」を、文藝春秋社の「文春新書」で上梓されましたので、さっそく手に入れて読みました。
西﨑伸彦記者の「﨑」の字は、「山」へんに、つくりが「立」かんむりに「可」、いわゆるヤマタツ。
奥付によると、平成28年2016年8月20日発行。842円(本体780円+税)。西崎さんはことし47歳で、初めての著作のようです。
文藝春秋社のウェブサイト(
http://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784166610884
)。
通信販売のアマゾンのウェブサイト(
https://www.amazon.co.jp/%E5%B7%A8%E4%BA%BA%E8%BB%8D%E3%80%8C%E9%97%87%E3%80%8D%E3%81%AE%E6%B7%B1%E5%B1%A4-%E6%96%87%E6%98%A5%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E8%A5%BF%EF%A8%91-%E4%BC%B8%E5%BD%A6/dp/4166610880
)。
写真=筆者撮影=だと、堕ちたスター、清原和博さんが目立ちますが、読了した感想では、原辰徳監督(原辰徳元選手)1億円事件の方が根が深く、そもそも、野球というよりも、読売新聞グループ本社の経営実態を暴いた著作だと分かりました。
若手元選手の野球賭博事件、清原さんのしゃぶ中、そして西崎さんのスクープだという、原辰徳監督1億円恐喝事件が、底流でヒト・カネがつながっていることが分かり、私のようなオッサンになると分かってくる世界が描かれています。
原監督事件のように、遠征先のホテルが黒い人脈の結節点になることがわかり、ガジット(物事を動かす箱物)としてのホテルの存在をより感じることになりました。
読売新聞グループの「コンプライアンス」(法令順守)の一環として、暴力団排除を進める中で、勢い余って、ヤクザではないのに応援団員から排除された人の「もう一度野球を見たい」という赤裸々な告白が、徹底取材の余白なのだと思いますが、読み応えのある人間ドラマでした。個人的には、コンプライアンスという言葉を使う企業は信用しないようにしようと思います。
読売新聞グループも、ごく一部の経営幹部の話であり、ほぼ合法のことをやっているんですが、すごい会社だなあと思わざるを得ません。菅義偉内閣官房長官(自民党衆議院議員)と読売の関係も出てきます。
原元選手の事件を見ても、巨人軍が権力を持ち過ぎたことで、よからぬ人が集まってくるし、その華やかさに憧れた女性が、輝き、捨てられていく様に軽蔑と哀れさを感じながら、今後の明るい社会、国家づくりに生かしていきたいと感じました。力作、名著です。子供たちの夏休みの読書感想文には向かないけど、ぜひ多くの方に、お買い求めいただいて、お読みいただきたいと存じます。
このエントリーの本文記事は以上です。
2016年、宮崎信行。
(このエントリー記事は、2016年5月31日朝7時半投稿ですが、投稿直後に、5月30日付にバックデートしました)
ゆうべ2016年5月30日の「テレビ朝日」報道ステーションで、松原文枝経済部長が解説する場面がありました=画像はテレビ朝日ニュース映像からスクリーンショット=。
松原記者(部長)は、1990年代後半、女性政治記者が爆発的に増加する前から、政治部記者だった先駆け的存在の1人。それまでも、民放には元アナウンサーの女性記者、経済部から大臣の横滑りで番記者となった女性記者がいましたが、女性の進出が極めて早かったテレビ局の報道担当でも女性の政治記者は先駆け的存在でした。
一方早くから、現場を卒業して、報道ステーションの担当になり、特集などを担当。
その後、プロデューサーとして責任者となりました。ただ、昨年3月に交代。同社幹部は「人事異動」としていますが、政権に対峙する姿勢もあったことから、何らかの意図があったのではないかと報じられることもありました。
このエントリー記事の本文は以上です。
民進党の岡田克也代表は平成28年2016年5月16日(月)の衆議院予算委員会総括質疑(補正予算案の基本的質疑)のなかで、
自民党による報道機関への圧力の一つとして、
岸田文雄外務大臣が首相官邸内で記者会見をしていることを批判しました。
外務省ウェブサイトの大臣記者会見記録を見ていただくと分かりますが、岸田文雄外務大臣は、外務省ではなく、首相官邸内で記者会見を開いています。
岡田さんは「官邸で記者会見をすると、フリーランスは入りにくい。本省でしてくれると入りやすい」と語り、官邸での会見が記者クラブ員以外を排除するねらいがあるのではないか、との一部フリーランス記者の見立てを採用して、岸田外相らの姿勢を批判しました。時間の関係で、答弁はありませんでした。
平成24年2012年12月の自民党への政権交代以降、フリーランスが政府機関や、自民党本部の記者会見に参加しづらくなっています。
私は永田町訳知りので、よく相談を受けますが、2012年12月から、「自民党なんてそんなもの」という考えで、一度も政府機関や自民党の記者会見に申し込んだことがないので、逆に情報がなくて、このブログに書けない状態が続いていましたが、自民党政権下では言論統制が続いているような雰囲気が、首相官邸・自民党本部・霞が関を覆っているような気が、国会議事堂と民進党本部にしかいない私にも伝わりつつあります。
このエントリー記事の本文は以上です。
[写真]報道ステーションクルーに助けを求める女性、手前の人陰はテレビ朝日山口豊アナウンサー、島根県邑南町、2016年1月25日の同番組から宮崎信行撮影。
自民党(安倍晋三総裁)から弾圧されている、テレビ朝日報道ステーションが、平成28年2016年1月25日(月)取材中に人命を救助しました。
島根県邑南町(しまねけんおおなんちょう、1万2000人=2010国調) で、普段雪に慣れない女性が雪に首まで埋まった状態で、山口豊アナウンサーらのテレビクルーに救助を要請。
山口アナウンサーらが速やかに救助しました。
このもようを放送した同日の報ステによると、この女性は国道を走るクルマに大声で手を振り助けを求めたところ、誰も気づかなかったようです。
自民党の3次にわたる57年間の政権で特例公債を発行して国道を建設したことによる、地球温暖化と財政難が呼び起こした悲劇を、安倍自民党の弾圧を受けながらも、我々国民の支持で放送をつづける報道ステーションが救った格好です。
政権交代ある二大政党政治の導入を怠った、極楽浄土と地獄も含めた、すべての日本国民の責任といえるでしょう。
このエントリー記事の本文は以上です。
(C)宮崎信行 Nobuyuki Miyazaki
(http://miyazakinobuyuki.net/)
[お知らせはじめ]
この無料ブログ(goo)のほかに、有料版の宮崎信行の今後の政治日程(有料版)(レジまぐ)を発行しています。購読料は、月864円(税込)。購読方法は「レジまぐ」(メディア・インデックス社)まで。
「国会傍聴取材支援基金」で、日本唯一の国会傍聴ブログにご協力ください。
「国会傍聴取材支援基金」の創設とご協力のお願い
郵便局(ゆうちょ銀行)の口座から、毎月自動送金できます。手数料毎月123円です。通帳、印鑑、名前を確認できるものの3点セットで、郵便局の窓口でお手続きください。
このブログは次の下のウェブサイトを活用して、エントリー(記事)を作成しています。
衆議院インターネット審議中継(衆議院TV)
参議院インターネット審議中継
国会会議録検索システム(国立国会図書館ウェブサイト)
衆議院議案(衆議院ウェブサイト)
今国会情報(参議院ウェブサイト)
各省庁の国会提出法案(閣法、各府省庁リンク)
予算書・決算書データベース(財務省ウェブサイト)
民主党ニュース(民主党ウェブサイト)
goo 政治ニュース
インターネット版官報
[お知らせおわり]
NHKは2015年2月14日(土)午前5時のニュースで、
英語による識者の国際情勢に関するVTRインタビューを放送。
その後、アナウンサーがスタジオで、
「今お伝えした過激派組織について、NHKはこれまで組織が名乗っているイスラミック・ステイトを日本語に訳してイスラム国とお伝えしてきましたが、この組織が国家であると受け止められないようにするとともに、イスラム教についての誤解が生まれないように、今後は原則として過激派組織ISイスラミック・ステイトとお伝えすることにしました」
と語りました。
民主党の細野豪志幹事長が、2013年6月20日(木)、「都議選応援のため」として午後3時の定例記者会見を中止しながら、午後2時から記者クラブ番記者だけのぶら下がり(オンレコ)を議員会館内自室(会議室)で開くという、「オープンな民主党」にあるまじき行為に出ました。さらにぶら下がり後に、おそらく記事への抗議のためか、産経新聞の坂井記者を自室の議員個室に引きずり込むという乱暴をはたらきました。
衆議院議員会館は、国会記者章がない者は金属探知器と面会証の記入・確認が必要。日本を代表する大手雑誌社ですら、国会記者章は1社3枚しか割り当てがなく、社内ではカメラマンに優先的に割り振るため、記者の使用は限定的です。
細野幹事長は(原発事故で死者はいないと発言したとされる自民党の)高市政調会長が発言を撤回したことについて「撤回、謝罪は当然だが、与党の政調会長として、あの発言が出てきたこと自体、もう一度考えていただく必要がある」として他党の政調会長の進退に言及。定数削減については「実務者協議の責任者である岡田本部長(岡田克也本部長)とは、夕べもかなりしっかり話をした」と語りました。安倍晋三首相の個人のフェースブック(FB)と細野さんの間で、田中均・元外務審議官に関して批判の応酬になったことについて、「あれだけ、ソーシャルメディアを通じて議論をしてきたわけですから、予算委員会(の集中審議の今国会中の開催)に応じないという理由はないと思います」と述べ、FBで議論の応酬になったのだから、予算委の開催に応じるべきだとの珍説を披露しました。
海江田万里さんが「リスクゼロ」と宣伝していた安愚楽牧場の刑事事件化については発言がありませんでした。おそらくこれが理由で、定例記者会見を中止したのが、細野さんの心持ちだろうと私は推測しています。仮に質問があっても、「捜査中の刑事事件なので答えられない」とすればいいと思うのですが。
私が長年、政権交代ある二大政党政治を推し進めてきたことは、政権交代によって政権内の莫大な情報が国民に出てくるからです。情報がなければ国会内でも、有権者の投票行動でも、議論そのものができません。事業仕分けなどで、自民党政権のネガティブな情報が出てきました。一方、政権再交代後に、与党・自民党や民主党政権の暴露はあまりしていません。いずれにしろ、逃げの姿勢は見透かされます。細野さんは、事実上日本の最高権力者の特使として、中国、アメリカと渡り合う経験をしました。その中で、初心を忘れて、自分を守ろうという邪心が生まれたのでしょう。私は細野さんに国家国民のために死のうという気概を感じません。輿石東・参議院議員会長の操り人形に感じます。ハッキリ物が言える、松沢成文さん、河村たかしさんらは民主党から去っていきました。情報は隠せば隠すほど、「何かあるのではないか」という疑念を生じさせます。その実現性は別として、菅直人さんの「とことんクリーンでオープンな民主党」という言葉は民主党の15年の歴史を物語っており、政権獲得の最大のポイントとなりました。政権獲得直後に、小沢一郎新幹事長率いる国会対策委員会が、公募で初当選した1年生議員140人を囲い込んで、一気に物が言えなくなったのも、ある意味、人間の本性をさらした「とことんオープン」な出来事だったと感じています。そして、安倍さんの田中均批判を、小泉進次郎・党青年局長が「個人名は挙げるのはよくない」と批判した自民党の姿勢を見習うべきです。なぜなら、安倍さんも自民党も、進次郎さんの発言に救われたからです。
細野豪志さんはバケツの水をかぶって海より深く猛省していただきたい。
見て見ぬふりをする仲間も同罪です。
民主党の記者会見出席要件は次の通り。
[民主党ホームページから引用はじめ]
2013年4月22日
党役員会見に関する基本的な方針について
民主党役員室
1. 代表の記者会見は、原則として週1回(月曜日)、
民主党本部5階ホールにおいて定例で開催する。
開催日時は、党務等でやむを得ない場合を除き、17時を基本とする。
2. 幹事長の記者会見は、原則として週1回(木曜日)、
民主党本部5階ホールにおいて定例で開催する。
開催日時は、党務等でやむを得ない場合を除き、15時を基本とする。
3. 上記1・2の会見は、野党記者クラブ所属メディアに限らず、原則として、
すべてのメディアに開放する。なお、ここにいうメディアとは、以下の者をいう。
(1) 日本新聞協会会員
(2) 日本専門新聞協会会員
(3) 日本地方新聞協会会員
(4) 日本民間放送連盟会員
(5) 日本雑誌協会会員
(6) 日本インターネット報道協会会員
(7) 日本外国特派員協会(FCCJ)会員および外国記者登録証保持者
(8) 発行する媒体の目的、内容、実績等に照らし、
(1)から(7)のいずれかに準ずると認め得る者
(9) 上記メディアが発行する媒体に定期的に記事等を提供する者 (いわゆるフリーランス)
4. 会見に参加する上記(8)および(9)に該当するメディアは、民主党本部に連絡をし、上記条件がクリアできているか党が確認をしたのち、事前登録する。
以上
[引用おわり]
朝日新聞によると、毎日新聞社は北海道夕刊の廃刊を決めました。
夕刊廃刊は産経新聞東京本社が2002年、首都圏での夕刊を廃刊して以来。
北海道では、朝日新聞社と読売新聞社が十勝毎日新聞社(帯広市)で委刷印刷を始めました。ライバル関係にある朝日・読売が同じ印刷工場を使うのは初めて。メディア再編の先進地となっています。
↓1日1クリックで「下町の太陽」を応援してください!
(人気ブログランキングに参加しています)
毎日新聞、北海道の夕刊廃刊へ 9月から(朝日新聞)
2008年05月13日03時05分
毎日新聞社は12日、北海道での夕刊発行を8月末で打ち切ることを明らかにした。道内を管轄する北海道支社の3月の発行部数(日本ABC協会調べ)は朝刊6万8千部、夕刊1万4千部。夕刊は1年間で4千部減っており、配達コスト削減などが狙いと見られる。
毎日新聞社社長室広報担当は「北海道の読者からの要望に応えて、新しいタイプの朝刊を発行することにした」と話している。9月からの価格は月3007円。全国紙の夕刊休刊は02年に産経新聞東京本社が実施したが、3大紙の本支社の拠点では初めて。