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華麗なるオーストラリアンライフ

渡豪17年。職業・看護師。
白熊のようなオージーの旦那1人とワンコ2匹で
ニューサウスウェルス州の田舎町で生息中。

個人と社会

2012年09月22日 20時50分06秒 | Weblog
今日は初の12時間シフトをこなした。朝7時から夜7時まで。週末であるがゆえに基本のケアのみで、そこまで忙しくなかった。午前シフトはやることがたくさんあるのでいつも時間に追われるけど、12時間シフトだと時間配分に少し余裕ができる。今日は一人で7名担当。やるべきことはなんとか終わらせることができた。12時間シフト。そこまで大変だと思わなかったな。平日だともっと違うのかしら?

さて。
そう、今日は7時で終わる予定だったんだけど、申し渡しをする看護師が忙しそうにしていて、申し渡し自体を7時から始めた。そうこうしているうちにナースコールが2件。私ともう一人しかスタッフがいなかったので、私もひとつのコールに答えて病室へ。一人で歩くには注意が必要な患者さんがトイレに行きたいというので連れて行った。そしてベッドに戻るころ同室の、少々認知症の気がある患者さんも行きたいという。「じゃぁ行きましょうかー」と立ち上がるのを待っていたら、もう一人のスタッフがやってきて「もう7時30分。早く帰りなさい!!」という。「だったら代わってくれよ」と思うけど、代わりに患者さんを補助する風でもないので「この作業が終わったら帰ります」と言ってトイレへ行き、結果的に7時半過ぎに病院を出た。

こちらの人は時間きっちりに終わることに命を賭けているようなイメージがある。一分一秒でも早く帰ろうとするというか。予定時刻を過ぎて職場にいたら損しているかのような印象。これは個人の権利を守ろうとするこちらの文化なのだろう。
そこを行くと日本の文化は滅私奉公が良しとされている風潮があるし、会社や社会に貢献することが美徳と捉えられているところがあると思う。私個人的には10分、20分程度の残業ぐらいなんでもないし、それで残業代を申請しようとも思わない。しかも一人でトイレに行けない患者さんを置いて帰ることは私にはできない。老いと病気の一環とはいえ、排泄行為を他人に頼らざるを得ない事実を患者さんが恥じている可能性は高いし、その結果粗相をしてしまったら自尊心が傷つくのではないか思う。“誇り”というのは人を支える。患者さんがなるべく“普通”の生活を送れるようにするのは大事だと私は考えるので、いつもいつも迅速に対応できるわけではないけど、患者さんがトイレに行きたがっているときは、その作業を優先するようにしている。

もとい。
私の志はおいておくとして、ここで私が自分の美徳を追及してヘタに奉仕残業なんかを始めてしまったら、そうすることが当然という空気が生まれ、他の看護師の仕事にも悪影響を及ぼすかもしれない。もしくは個人の主張が強い国なので私の行動は理解されない場合も。加えて私自身が事実以上にスローワーカーだと見なされる可能性もある。今日は、就業時間を守ることが大切なこちらの文化における、時間の使い方と滅私奉公、そして人の尊厳について考えさせられた。

ささ。
そうこうしているうちにまた寝る時間(10時)。明日も午前シフト。静かな一日だといいなぁ。