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秋葉国家安全保障局長は王毅外相に「けんもほろろ」に追い返された

2023-11-11 | 小日向白朗学会 情報
 2023年11月10日、時事通信社は『秋葉国家安全保障局長、中国外相と協議 首脳会談調整』を配信した。
『……
 秋葉剛男国家安全保障局長は9日、中国・北京を訪問し、王毅共産党政治局員兼外相と会談した。政府が10日発表した。岸田文雄首相と習近平国家主席の首脳会談について、来週の実施に向け詰めの協議を進めたとみられる。  
秋葉氏は王氏に対し、東京電力福島第1原発の処理水放出を受けて中国側が続ける日本産水産物の輸入停止措置について、撤廃を強く求めた。両氏は、今後の日中関係の在り方や課題、地域・国際情勢についても意見交換し、引き続き緊密に意思疎通を図っていくことで一致した。
 中国外務省によれば、王氏は「核汚染水」の海洋放出や台湾、歴史問題などで「中国側の立場と懸念」を表明。日本側に対し、関係改善に向け「具体的な行動」を示すべきだと強調した。双方は、日中関係が健全で安定した発展軌道に戻るよう努力することも確認したという。
……』
 ところで秋葉剛男国家安全保障局長は、10月27日にブリンケン国務長官と王毅外相が会談を行った直後に、事態の進展を危惧してサリバン大統領補佐官と電話会議をおこなっている。それが、2023年10月29日 12:20、日本経済新聞「日米、ウクライナ巡り連携 安保担当高官が電話協議」である。
『……
秋葉剛男国家安全保障局長は28日(日本時間29日)、訪問先のマルタでサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と電話協議をした。ウクライナ情勢やインド太平洋地域の情勢について話し、引き続き日米で緊密に連携する方針を確認した
中国の王毅(ワン・イー)共産党政治局員兼外相の訪米に関しても意見を交わした可能性がある。(共同〕
……」
 つまり、秋葉剛男国家安全保障局長は、ブリンケン国務長官と王毅外相の会談についてサリバンに「いかがでしたか」と聞いているのだ。それに対してサリバンは「インド太平洋地域の情勢について、引き続き日米で緊密に連携する」つまり「大丈夫だよ」と応答したのであろう。ところが、米中の関係改善は核協議にまで及んでいることを知り、慌てて11月9日に訪中することになった。
 この事情はアメリカから中国に伝えられていたはずである。
そこに「のこのこ」と秋葉剛男国家安全保障局長が訪中したい旨を中国政府に申しいれて実現したのが秋葉国家安全保障局長と王毅外相会談である。
時事通信の記事を見る限り、王毅外相が秋葉剛男国家安全保障局長に厳しい対応をしている。王毅外相は秋葉に「「核汚染水」の海洋放出や台湾、歴史問題などについて、厳しく詰問されている。
 秋葉は「ぐうの音」も出なかったのであろう。
 そして、会談の終わりに王毅外相は、「日本政府が、今後、どのような「具体的な行動」を行うのかによる」と締め括られてしまった。
 つまり、王毅外相は、日本政府の安全保障政策で中国を仮想敵国とする間は、関係改善はないと言い渡されたと同じことなのである。
 ところでこの時期に秋葉国家安全保障局長が何故に何故訪中したのかであるが、予想以上に米中の関係改善が進んで日本の外交が置き去りになったからである。これは、アメリカが、ペロシ訪台以来の経緯をかなぐり捨てて「一つの中国政策」に回帰することで核バランスを取り戻そうとしたからである
 その象徴として、11月15日からサンフランシスコで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力、Asia Pacific Economic Cooperation)首脳会議で、認知機能が疑われるバイデン大統領と習近平国家主席の会談を実現したいとブリンケン国務長官が必死に動き回っている。それに合わせて、日本政府も、岸田首相と習近平国家主席と会談を行いたいと考えて訪中した。
 アメリカは、ブリンケンもイエレンも平身低頭で中国に出かけたが、日本政府は「汚染水問題」の解決という名目で、首脳会談を打診してしまった。正直な話、虫のいい話である。
 下世話な話、これで、APEC首脳会議で岸田首長は、首脳による記念写真では、端っこにポツンと立ちつくすことになる。これは、2023年7月に開催されたNATO首脳会議で一人ぼっちのゼレンスキー写真が出まわったが、それを思い出せば間違いないだろう。

 ところで秋葉国家安全保障局長は王毅外相にここまで馬鹿にされたのかと云うと訳がある。それは、秋葉国家安全保障局長と外務省OB で日本国際問題研究所理事長佐々江賢一郎の外務官僚が組んで、でっち上げたのが新安全保障政策「防衛三文書」なのである。つまり、日本はアメリカの核の傘の威光により日本の仮想敵国を「中国、北朝鮮、ロシア」としたのが秋葉国家安全保障局長と日本国際問題研究所理事長佐々江賢一郎なのだ。
 令和4年9月22日、内閣総理大臣岸田文雄が「国力としての防衛力を総合的に考える有識者会議」の開催を決定した。この告示を受けて、同有識者会議は、開催決定から僅か一週間の令和4年09月30日には開催される運びとなった。第一回目の会議には、有識者として上山隆大、翁百合、喜多恒雄、園部毅、黒江哲郎、佐々江賢一郎、中西寛、橋本和仁、山口寿一が選ばれ、佐々江賢一郎が座長となった。この有識者会議を企画したのが、秋葉剛男国家安全保障局長なのだ。したがって、有識者会とは外務官僚のマッチポンプといって過言ではない。
 秋葉剛男国家安全保障局長は、有識者会議を開催した目的を次のようにまとめている。
『……
・国際秩序は深刻な挑戦を受けている。
・今回のウクライナへの侵略のような事態は、将来、インド太平洋地域においても発生し得るものであり、我が国が直面する安全保障上の課題は深刻で複雑なもの。
・ロシアによるウクライナ侵略は.力による一方的な現状変更であり、国際秩序の根幹を揺るがす深刻な課題
中国は、力による一方的な現状変更やその試みを継続し.ロシアとの連携も深化.更に.・今般の台湾周辺における威圧的な軍事訓練に見られるように、台湾統一には武力行使の放棄を約束しえない構え
・北朝鮮は、弾道ミサイルの発射を繰り返しているほか、核実験の準備を進めているとされており、国際社会への挑発をエスカレート
……』
 秋葉剛男国家安全保障局長は、「台湾統一には武力行使の放棄を約束しえない構え」としていることから、アメリカも日本も約50年前に「一つの中国」を認めて外交関係を開始したことを無視しているのだ。
 そして、「地政学だの国際状況の変化」などと屁理屈を並べて、纏めて有識者会議の結論として岸田内閣に提出した。これを受けて岸田内閣が閣議決定したのが「防衛三文書」という国家戦略なのである。これで外務官僚と防衛官僚は、安全保障という名目で莫大な予算を獲得することに成功した。

 ところが、いつまでも、うまくは行かなかった。
 2023年6月18日から19日にかけて、ブリンケン国務長官は訪中して習近平国家主席と会談したことから形勢は一気に覆った。
そして2023年10月27日、王毅外相とブリンケン国務長官の会談で「一つの中国」を再確認したことから「日米安保条約」をベースに発展させて「防衛三文書」、その大前提自体の間違っていることが確定した。
 そのうえ、更に、11月7日米中は核協議まで始めてしまった。これで台湾有事が起きた場合に、アメリカは介入しないばかりか、核の偶発的な使用も行わないようにしているのだ。
 ところが、日本の安全保障の根幹は「日米安保」である。つまり日本政府は台湾有事と同時に起こると予想される尖閣問題にも「アメリカの核の傘」で対応できると考えていた。しかし、当のアメリカは「一つの中国」ということで台湾有事に介入しないと約束した。つまり、日本政府の想定する台湾有事に自衛隊は素手で、塹壕のなかで迎え撃とうといのだ。
素手と云ったのは、核に比べたら如何なる兵器も素手の様なものであるという意味だ。
 このままでは、日本は中国と単独で戦争となってしまう。
 非常に危険である。
 そうしないためには、日本政府は日中国交化交渉の精神に戻りアメリカ同様に「一つの中国政策」に回帰して、尖閣周辺の資源に関して交渉で解決する以外に方法はない。
 その際に「棚上げ論」が有ったのか無かったのかという論議があるが、あったと考えるのが妥当である。それと共に「棚上げ論」があったとすべきである。そうすれば、交渉による解決が可能なのだ。屁理屈を捏ねても交渉のテーブルに付くことこそが外交であろう。武力で奪還するなどという発想で外交をやっている外務省は愚かとしか言いようがない。
 昭和47(1972)年6月17日にアメリカは「沖縄返還協定」で、施政権を日本に返還した中に尖閣諸島は含まれている。それは、琉球列島米国民政府(USCAR)の布令等で琉球の範囲に尖閣諸島が含まれることからも明らかである。
 また、アメリカが沖縄の施政権を返還することを決意したのは、アメリカがキッシンジャーを中心として米中交渉する中で、アメリカは極東から撤退を表明するが、その際に周恩来は「沖縄の施政権も返還することを薦めた」という経緯がある。だからアメリカは、中国に誠意を示すため沖縄施政権を日本に返還したのだ。
 平和ノーベル賞を受賞した佐藤栄作が頑張ったわけではない。むしろ、佐藤栄作と岸信介兄弟は、米中が国交正常化を進めることに危機感を深め、蒋介石が尖閣列島を領有するべきだと主張していた張本人なのである。佐藤栄作がノーベル賞を受賞したということは悪い冗談だったのだ。
 したがって周恩来が尖閣諸島の領有権が中国側にあると主張していたのではないことは明らかである。つまり、尖閣列島の帰属で問題になるのは同島周辺に海底資源があることからである。この点に付いては、昭和47(1972)年9月29日に日中国交正常化を行ったときには決め切れていなかったと考えて当たり前であろうと主張して交渉を再開すべきである。
 ところで、キッシンジャーは、米中で国交が正常化したあともアメリカ軍が日本国内に駐留し続ける理由に付いて中国側に説明している。それは、日本にアメリカ軍が駐留し続けるのは、日本の核武装阻止と自衛隊の軍備を制限することだとしている。この点について思い至ると、今次の米中協議にキッシンジャーが登場してきた理由が見えてくる。つまり、日本国内に核武装と云う動きがあったこと、アメリカのバイデン政権が世界の核バランスという問題について無能なうえに、政権自体が戦争利権屋であることからウクライナ問題に介入し過ぎたため、中国をロシアとの連携強化に向かわせてしまった。これら問題の是正に防弾チョッキを着て使い走りをやらされているのが今のブリンケン国務長官なのだ。
 このような意味も知らないで、防衛三文書のなかで中国を敵国に指名した張本人である秋葉国家安全保障局長が、のこのこと訪中して「APECでは岸田首相と習近平国家主席の首脳会議をお願いしたい」と申し入れた。これに対して王毅外相が「よくいらっしゃいました」などとは口が裂けても言うわけがない。王毅外相は「とっとと失せろ」か「顔を洗って出直してこい」と云いう以外に、どんな言葉があるのか思いあたらない。

 このような秋葉剛男国家安全保障局も外務官僚なのだから、一度、外務省の職員とともにODA等の利権は全て棚卸する必要がある。莫大な埋蔵金があることから、この際、全て返納していただくしかないであろう。
 となると、次に問題なるのは、間違った「防衛三文書」を根拠に、日本政府は防衛力強化という方針のもと莫大な防衛費を予算化してしまったことである。
 防衛予算捻出方法は「歳出改革」という名目で各種手当の廃止等を行った上に、さらに増税すると言い出した。そのため2023年10月20日に開催した国会では、「歳出改革」などで各種手当を廃止したことから、国民の間では重い重税感がある中で、さらに防衛費増税を言い出すのはいささかまずいと思った岸田首相は、一年限りの微々たる所得減税を口にしたことから、与野党で入り乱れて大混乱に陥って減税の財源論が問題になってしまった。
その中で一つ提案できることがある。
 それは米中が「一つの中國」に回帰したことで、「防衛三文書」が間違いだということが確定している。ならば、間違った根拠で予算化したものは、即刻、予算執行をするのが常識である。
 その額は、23年度から29年度に見込む防衛費は43兆円、その中から、現行防衛費26兆円を引くと17兆円となる。
 17兆円あるのだ。
 筆者は財務の専門家ではないのでこれ以上のコメントするのは差し控えるが、様々の使い道があるはずである。
 その他に、ここまで国民を騙した外交をおこなった外務省の罪は重い。
 そこで外務省が管轄しているODA資金2兆2,968億円を開発途上国ではなく、国内投資に回せば、相当にGDP回復には寄与するはずである。何しろ、日本は、開発国並みの賃金になっているのだから開発国に回しても当たり前であろう。

尚、防衛三文書に関しては下記のスレッドを参照願います。

また米中協議に付いては下記のスレッドを願います。
・(2023.06.22)『上海コミュニケ
以上(寄稿:近藤雄三)

 
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