こっちゃんポイント ★★★
鑑賞環境 こっちゃんシアター 上映時間 110分 製作国 日本 公開情報 劇場公開 (メディア・スーツ=
プログレッシブ ピクチャーズ)初公開年月 2004/12/18 ジャンル ドラマ
北海道の田舎町。国道沿いにあるコンビニエンス・ストアのオーナー、北島昇一(小日向文世)は、妻で店長の佐和子(浅田美代子)に店もひとり娘の教育も任せ、気ままな毎日を送っていた。しかしそんなある日のこと、佐和子が突然の交通事故に遭い、全治3ヶ月の重傷を負って入院してしまう。妻の代わりに深夜のコンビニ勤務に就く羽目になった昇一の毎日は、がらりと変わってしまう。おまけに、最近会話が途切れがちだった娘の由希(佐藤めぐみ)と、向き合わなくてはならないのだ。夜のコンビニに広がる、未知の世界・・・。
(goo映画より抜粋)
「あ~寒みぃ~なチクショウ!」
頼んでもいないのに毎年決まって訪れる冬。ここ北海道の冬の厳しさはハンパじゃありません。たとえこの土地で何年過ごしたとしても、その”寒さ”がやって来るたび「今年もいよいよか」と、誰もが身構えてしまうのでしょう。
この「銀のエンゼル」の素晴らしいところは、「北海道の寒さ」というものがヒシヒシと実感できるところ。それもそのはず。寒さの厳しい道東の斜里町、清里町、美幌町で本当の冬に撮影が敢行されたというのですからね。
そりゃ寒いわ。(笑)
「はぁぁあぁーッ!マイっちゃうなぁ冬はよぉ~」
そんなコンビニ配送のトラック運ちゃん、大泉洋のボヤきから始まるこの映画。さすが北海道の鈴井貴之作品だけあって、実に北海道らしい映画でしたねぇ。
もうすぐ白いものが一面を多い尽くそうとするこの季節。あたりでは「雪虫(ゆきむし)」が飛び交い、間もなくやってくる”冬の訪れ”を告げます。そして峠では電光掲示板が「路面凍結」の注意を呼びかける・・・。
この映画「銀のエンゼル」は、どこか呑気な北海道で営業するコンビニ『ローソン』を舞台に、さほど事件らしい事件も起こらず、むしろ淡々と語られるお話。
「銀のエンゼル」とは、そう。あの森永チョコボールの「それ」です。
このお話は、まずオーナーの奥さんが霊柩車と衝突事故を起こし入院。高校受験を控えた娘は「北海道を出て東京の大学へ行く」と言い出す。どこか気の弱いオーナーは、仕方なく夜勤に入っちゃう・・・とまぁ、こんな程度の話。
これって”事件”というよりは、一家族の日常の中のなかで十分起こり得る”出来事”と言った方が良いのかもしれませんね。
そんな「周りから見れば小さく」もあり、「当の本人にしてみれば大きく」もある”日常の出来事”の中で、みんな色々な「銀のエンゼル」を心のどこかで探してるんだよと語りかけてくるようなお話でした。
映画を全て観終わるまでは、「いったい話はドコへ向かってるの?」という気持ちになってしまいますが、とにかく深夜のコンビニには様々な珍客も来るわけで、これがなかなか妙な感じで楽しめるワケです。
何~か事件が起こりそう。・・・でも起こらない。最初から最後までそんなコトの繰り返しなのですが、それでもただスぅ~ッと観せられちゃうような、不思議な空気を持った映画ですね。
この「銀のエンゼル」は、何ともまぁその辺でバリバリ営業してるコンビニエンスストアの『ローソン』が撮影に使われ、そこに荷物を配送をするトラックもなんと『ホンモノのローソン便仕様』のまま登場するのがとてもヨロシイ感じです。もちろん店員さんの制服だってそのままです。考えましたね。コレってとっても親近感沸きますモンね。一気に映画との距離感が縮まります。
しかも、ホッとする話に「まちのホッとステーション」をぶつけてきたあたり、なかなかシャレが効いてますね。
ま、このヘンは良いとして。
・・・・でもね。
あんな大泉洋みたいなドライバーはいませんよ!(笑)
店のオーナーの娘に恋心を抱き、トラックの屋根の上にのぼっては、彼女の部屋に向かって叫ぶ。そして深夜にも関わらず、ギター片手に自作の歌を披露。なんやねん!「ゆきむしの歌」って(笑)歌い出しが「しろ~い~はねぇ~♪」だって。(笑)まぁ、付近に民家は無いのでご近所迷惑にはならなかったようですが・・・。(´∀`A フー
でもって、オマケにそのまま屋根から落下し、頭から血を流したまま配送再開。
店にいたオーナーを「夜勤では見ない顔=新人バイト」と勝手に決めつけ、コキ使う。こんな人絶対いませんてば!
え?なんでそんなコト言えるかって?
だってこっちゃんローソンの配送してたことあるから。(笑)えぇ、ホントです。
経験上言わせてもらえれば、この人きっとかなりの高確率でクビになります。そんなアータ、お店のオーナー様に一配送員がこんな態度を取っちゃえば、すぐに本部にクレームが飛び、彼の配送会社の上司が速攻で呼び出されるでしょうね。
しかも彼、配送すっぽかしてトンでもないとこ行ってるしね。でも、コレはちょっと良い話だから許す。(笑)なんったって大泉だかんね。
・・・ムチャなあんちゃんですね、もう( ̄∀ ̄*)
あと、この映画には絶対出てくるような気がしたあり得ないオリジナルアイテム。栄養ドリンク剤「熊エナジー」に、夕張メロン農家の品種改良の大革命の傑作という「コーヒーメロン」。う~ん、ぜひ食してみたい。
って、あるかっ!そんなの┌(`Д´)ノ)゜∀゜ )ピシッ!たく、もう。でも、「バナナを暖めてください」という男は、広い北海道のどこかに一人くらいはいるかもしれない・・・。
そんなことはともかく。
この「銀のエンゼル」では、是非小日向文世さんを観て欲しいですね。
絵に描いたような”ひとの良い”人。とっても好印象ですねぇ。ホント小日向さんならではの”味”が出てました。この話の中でも、「町のために」とみんなに頼まれてコンビニ経営を始めたという設定ですからね。そんな風に周囲に気を使ってばかりで、娘と向き合うことすら出来なかった不器用で弱気なパパ役が何ともピッタリです。
こんなオーナーさんや店長さん、いかにも居そうですよ。
っていうか本当にいました、いました。
この映画のローソン・オーナーを勤める小日向文世さんは、田舎の店らしく人当たりがとても良く優しい人です。ラストの娘を目の前にしながらもポロポロ涙を流すシーンは特に良いですねぇ。あれは何度観ても胸が詰まります。とにかくこの映画では小日向さんが飛び抜けて良いんですよ。ここまで来ると「小日向さんの映画」と言っても良いでしょうね。
「北海道(ここ)にはまだまだ”いいひと”がいて、みんな色んなトコで頑張ってるんだ。」何だかそんな気持ちが湧いてきて、ちょっとホッとした気分にもなりました。
現実はもっと非情だったり、容赦なかったりしますけど、それでも素直に人を信じたくなります。
あ、そうそう。最後に登場した「ポルシェ」にも楽しませて頂きました。(笑)
そっちのポルシェだったのね・・・。
この「銀のエンゼル」には、出演者も意外に知った顔が登場してました。西島秀俊、浅田美代子、山口もえ、輪島功一etc....
娘役で佐藤めぐみちゃんも出てますよ。最近はCMやTV番組なんかでも良く観ますけど、本格的な演技はまだまだこれから”お勉強”といったところでしょうか。
それに加えて鈴井貴之監督だけあって、北海道ではお馴染みの↓こんな方々もやっぱり登場。
それ + 大泉洋ですからね。
濃いっちゃあ濃いです。全員、所々映画に馴染みきらない感じがまたグッド!
トラックの荷台で、ワンちゃん一匹相手に弾き語りライヴ。
「ライク・ア・ゆきむし」を披露する大泉洋・・・。
アンタは北海道が誇る本物のアホや! これからもそんな調子で頑張って下さい。(笑)
こっちゃんも同じアホとして応援してますからね。
ところで・・・「オニギリ暖メマスカ?」は北海道では必ずといってイイほど聞く言葉。
これって、他の地方では言わないことなのですか? (。・ω・。)ホント?
だとしたら最後の由希ちゃんのシーンは妙に納得です。
《2006.08.15記事一部改訂》