永井雄一郎の記憶

今日はオリンピックをちょっとしか見られなかったので、レジェンドたちの記事から、元浦和FW永井雄一郎さんの記憶です。永井といえば、新人時代の1997年の開幕戦で、いきなりスタメンで起用されて相手横浜MのDF井原、小村をごぼう抜きしたドリブルで一躍有名になります。鮮烈な印象は残しましたが、今振り返るとこのドリブルは、実は得点につながっていません。

また、三菱養和のクラブ育ちの永井は、フィジカル的にはまだプロの体になっていませんでした。夏場になると、そのドリブルは横に行く機能しないものとなり、シュートもまだまだ当たり損ねの合わないシュートでした。このフィジカルが何とかならない限り使えないと判断した、1998年から浦和を率いた原監督が、永井をドイツ2部のカールスルーエにレンタル移籍させます。

このカールスルーエ時代が永井の成長につながりました。残念ながら、2部のトップチームでの出場機会はなかったですが、3部に所属するセカンドチームで多くの試合に出場し、オフにはドイツで盛んなインドアサッカーで個人技を磨きました。1999年のワールドユース、ナイジェリア大会でU-20日本代表に呼ばれ、準決勝のウルグアイ戦でゴールを決めてチームの準優勝に貢献します。

1999年、1年間の武者修行を終えて浦和に戻ってきた永井は、見違えるほど変わっていました。フィジカルが強くなりゴール前で競れるようになっており、ヘディングシュートも標準レベルまで上げていました。彼の売り物である縦へのスピードも生かしたまま、強さを身に着けてリーグ戦でフル出場できる体力がついていました。

もっとも、この永井の不在も効いて、1999年に浦和はJ2に降格してしまいます。J2時代に浦和で左MFで起用されるようになり、チームトップの11得点を挙げ、その後は主にFWで起用されて浦和で50得点をマークします。結果的に二桁得点はJ2時代の一度でしたが、右アウトサイドでも起用できる便利な選手として、多くの監督が起用してきました。

永井は2009年から清水に移籍し、J2横浜FC、JFL和歌山、J2群馬でもプレーします。先日の平川引退試合では、昔を思い出すようなドリブルも見られました。アレ永井アレという彼のチャントを歌えなかったのは残念ですが、元気な姿を見せてくれたことは、オールドファンの私にとって至福の時間でした。