このところ皮の張替え依頼というのがとても増えています。
一月に2,3台という感じですね。
なんでだろうとネオちゃんと首をかしげています。
不思議なのは、何となく同じ依頼が続くことが多いのです。
先週から始まったのが、弱音の問題。
一つは音が大きく出ない、音が弱い。
もう一つは、音をもっと小さくして弾きたい。良い弱音器はないのか?
音が小さいから大きく音が出るようにしてほしいという一つの例です。
左は普通に音が出る、まあ大きい音がする方です。(ちなみに、これはネオちゃんが皮張りの実験をした楽器です。やる気満々!)
右はお客様から預かった楽器いわゆる緑檀(パリサント)です。
これ音が小さいというか響かないのです。
そこで、左の物と比べると、棹のすぐ後ろの削り込みのところが浅いのです。
左の物と比べるとカーブ、へこみ方が少ないのが分かります。
ということはこの部分が厚みが厚い。
そこで内部を少しずつ削っていくと、0,5ミリくらいの削りで、見事に音は大きくなりました。
またもう一台は、
この楽器も音が小さかったですね、というより響かない、なんだか弱音器を付けたような状態です。それもちゃんと二胡の音が出る弱音器。
これは、真ん中の金物が胴の裏側に当たっていて、胴の木が振動しにくくなっているのです。
音は小さくなり、とにかく響かない。
原因は、金属の上下についている細い横棒が金属の厚みより薄かったからです。それで金属が胴の下側にくっついてしまい、胴が振動しなかったのです。
そこでこの横棒を厚いものに交換して良い状態になりました。
そこで、もう一つの音を小さくできないかという弱音器の事に気が付きました。
私がお勧めする弱音は、胴の花窓を取ってしまい、中にタオルを入れて音を小さくするということでしたが、人によっては花窓を取るのに抵抗のある人もいますね。
また、最近気が付いたのですが、稀ですが、花窓を取ってしまうと内弦の音がとても不安定になるものもあります。
これは花窓の当たるところの胴の内側に薄い木を張りつけると解決します。
でもなかなかご自分ではやりにくいでしょうね。
そこで、この胴の下側を抑えてしまう方法は、楽器の音を小さくするのに役立たないかと今考え始めています。
これなら、何かを挟んで胴の振動を止めれば、相当音は小さく鳴るはずです。
もう一つの方法は、大きな駒横長の駒使うなど、皮を振動させない方法でしょうね。
駒にクリップを挟むような駒を振動させない方法ですとどうしても、二胡の音から遠くなってしまいます。
この、お正月休みにでも少し研究してみようと考えています。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ