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二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

新しい弓毛に松脂がつきにくい原因は。

2025-07-15 10:04:33 | 光舜松脂
最近光舜松脂製造販売所に多いお問合せの一つが、
「張り替えた弓毛に光舜松脂を塗ろうとしたが、なかなか乗っていかない」
普通、どんな松脂でも張り空けたばかりの弓毛には乗りにくいです。
それは、馬毛の油分で滑るからです。
以前話しましたように馬毛は採取して一度お湯で洗っています。
なにしろ馬はお風呂に入る習慣というのがありませんから、一生分の汚れや油分が付いています。
その後、軽く硫酸や塩素で脱色っします。
それでも、乾いた後まとめて輸出されます。
原産国で束にまとめられたものは、その束の中でまた油分が全体に広がります。

ですから弓毛を仕入れると、弓の張り替えをしている人は、その束を解いて全体に空気が触れるようにしておきます。


比較的、沢山弓毛の張り空けをしてきた方は気が付くでしょうが、、張り替える度に新しい弓毛に松脂を塗る時に簡単に乗るもの、大変時間をかけて擦らなければいけないもの等、毎回違う事に気がつくでしょう。

それは、束を解いてすぐの物と、しばらく空気に晒しておいたものとで油分の乾燥度が違うからです。

馬毛屋さんと話していて、気が付いたのは、もう一つ原因がありました。
最近馬毛を洗浄してから、弓に張る人が増えてきた、あるいは弓毛に張ってから洗浄する人も増えてきているそうです。
その方が松脂の乗りが良いからです。
ところがです!使っている洗剤によって、相当濯が無いと洗剤が残るのです。
毛と毛の間に残ってしまいやすいです。
そうなると相当松脂を強くこするか、あるいは一度お湯で毛を洗い直さないといけません。
そうでなくとも、洗剤はなかなか漱げないというのは皆さんご存知ですよね。
料理が出来ない私などは、せめても洗いものは私の役割と思っていて、洗剤を落とすためには夏でもお湯で濯ぎます。

ヴァイオリンの弓では聞いたことがありませんが、二胡の弓ではヘアーシャンプーを使う人もいたようです。
髪の毛に良いなら馬毛にも良いと考えたのかもしれません。
これ、全く間違いです。
なにしろシャンプーにはトリートメント効果などと言って髪の毛をしなやかに保つような成分も入っていますから。
また、アルコールで軽く拭く人もいます。
私も市販の眼鏡拭きを勧めますが、それは曇り止などの入っていないものです。
洗剤を使うにしても、中性で尚且つすすぎやすい物と考えてくれると良いのですが。
なにしろ、弓毛に触るなという教訓が染み渡っている世界ですから、慣れているはずの、職人さんでもごしごしとは濯げないのかもしれませんが、馬毛は強いです。
なにしろ、金属(アルミや銀など)の弦を擦っているうちに削ってしまうくらいですから。まあその為に馬毛も傷むのですが。
これだけ弓毛の張り替えをやっている、たぶん全国で年間5万本くらいは行われているにもかかわらず、まだまだその定型というのがきちんと出来上がっていないのは驚きです。
工房それぞれで、このやり方が良い、毛の扱い方はというのが少しずつ違いますから。
もし新しく張りなおした弓毛に松脂が乗りにくい時には、市販のアルコール系の眼鏡拭きで一度弓毛を拭くことをお勧めいたします。
松脂工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ


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