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二胡工房 光舜堂

二胡を愛する全ての人へ

良い二胡・悪い二胡・胴の削り

2025-05-01 10:22:19 | 二胡の救急箱に書かなかったこと
二胡の音色は基本的には胴を作る木の音色です。
蛇皮を張り替えても、響きは変わりますが音色変わるわけではありません。
勿論皮のよし悪しというのはあったにしてもです。

二胡の胴は(蘇州系の場合)6枚の板で作られます。

量産の場合、同じ紫檀なら紫檀を組み合わせて作りますが、必ずしも同じ木から採るとは限りません。
意外と多いのは、台に当たる下側だけ少し傷があったり節目のあったりするところで作ったりもします。
別にこれが悪いわけではありません。
困ったことは、一つのメーカーは、胴の削りの刃物がすべて一緒です。
これは、名人と言われる人が、この木で特別に作ろうと言って作ったとしても同じ型の刃物を使います。

出来上がるものはすべて同じ厚みの板になります。
ところがです、
紫檀も黒檀もそして所謂老紅木も全て木の硬さも密度も違います。
そして所謂老紅木はとても良く鳴り、紫檀も黒檀も少し振動が落ちます。
当然ですね!
同じ木で作ったとしたら、同じ力を加えるとすると、厚い木は振動が小さく鳴ります。
たぶん原型としたのが老紅木だったのかもしれません。

ところが、これを8角形の刃物型で削ると、紫檀も黒檀も大変良く鳴るのです。
8角形の方が木が薄く削られていますから。
ですから、8角形の老紅木はかなりうるさいくらいの音に鳴り音色としては今一ですね。
ヴァイオリンなどのハンドメイドの物は、表板が3ミリ裏板が4ミリと決まっているようなものです。
でもこれは、材料がすべて同じですから、表板はスプルス裏板はメープルとヴァイオリンと言われるものは全てこの木で作られています。
ハンドメイドで作っていいる人は、それでも少しずつ削りながら、板を振動させながら削ります。
それは同じスプルスでも木目の細かいものと荒いものでは硬さが違いますから。
どちらが硬いかと言いますと木目音細かい方が硬いのです。冬目の硬い部分が多いですから。

ところが二胡は殆どハンドメイドというのはありえません。現在ではです。

1950年代の終わりに東洋のヴァイオリンを目指して作られ始めたころに、現在の形がほぼ決まってしまっています。
それ以前はバラバラでした、地方地方で大きさも違えば形も違い、それを統一して現在の形になったのですが、、その時に材料を統一することをやりませんでした。
ヴァイオリンも、1600年代の初めにその形になった時には、裏板をポプラやウォールナットで作ったものなどもありましたが、1600年代の終わりにはもうすっかり裏板はメープルに統一されています。(ストラデバリの作ったものの中にもポプラの裏板などあるようです)
一つには、音楽的にメープルの音が合ったのでしょうね。またいろいろな樹種を使うと、大きな合奏団などですと音がぼやけてしまうということがありますから。
現在の二胡の合奏団の音がぼやけて聞こえるのはその為です。
人によって違う樹種の楽器を使っています。
また最近増えてきたのが、胴の大きさだけを大きくした楽器。
これは音は大きく鳴りますが、8角形の老紅木などと同じく板が振動に対して薄いですから、ただ、大声でわめいているだけの音に鳴ってしまっています。
良い音色が聞こえてこないのです。
このように、二胡自体がまだ完成型になっていません。
もし、東洋のヴァイオリンを目指すなら、このあたりの事は解決しなければいけない事でしょう。
工房光舜堂西野和宏&ほぉ・ネオ


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