内的自己対話-川の畔のささめごと

日々考えていることをフランスから発信しています。自分の研究生活に関わる話題が多いですが、時に日常生活雑記も含まれます。

日仏独合同ゼミという夢を見てみようか

2024-02-20 15:38:42 | 雑感

 一口に日本研究といっても、ヨーロッパの中でもその大学内での位置づけと現状は国ごとに異なる。ストラスブールからハイデルベルクまでアウトバーンで一時間半ほどであり、フライブルグには一時間もかからない。実際、この両都市にある由緒ある大学とストラスブール大学との間には、分野によっては活発な交流が学生間でも教員間でもある。
 ところが、こと日本研究に関しては、交流はほぼない、と言わなくてはならない。コロナ禍以前に、フライブルク大学哲学部博士課程に在籍し京都学派に興味がある学生が、大学間協定の枠を利用して私の授業を聴きに二・三度来たことがあったが、彼の方の事情でそれっきりになってしまった。ハイデルベルク大学には歴史ある日本学科がありながら、私の知るかぎり、まったく交流がない。かねがね残念に思っていたが、どうも先方に「気がない」ようである。
 ストラスブール大学の日本学科とドイツ語学科に同時に在籍していて、昨年学部三年次にハイデルベルク大学に半期留学していた女子学生が今年は日本学科の修士一年に登録している。学業において優秀かつ人柄もよく、先日の日仏合同ゼミに参加した日本人の学生たちの多くから好かれていた。来年度は学習院大学への一年間の留学が決まっている。
 先週土曜日の大学公開日には学生代表の一人として彼女も参加してくれた。プログラム終了後、「先生、ちょっと相談があります」と話しかけてきた。せっかく日仏合同ゼミが正式授業としてストラスブールにあるのだから、そこにハイデルベルク大学の学生にも参加してもらったら、もっと活発なプログラムにできるのではないか、という提案だった。
 「それが実現できたら、ほんとうに素晴らしいね。ハイデルベルク大学日本学科の学生たちはとても優秀だから、ストラスブール大学の学生たちにもよい刺激になるだろうしね。ところがねぇ、どうも先方はそういう話に乗り気じゃないんだよ。」「どうしてですか?」「よくわからないのだけれど、先生たちが忙しくてそれどころじゃないのかな。でも、せっかくの提案だから、今度の教員会議で話題にしてみるよ。」「お願いします!」
 ということで、この一件、来週月曜日の日本学科の教員会議に謀ってみることにした。もし前向きな反応が同僚から得られたら、その実現に向けて「最後のご奉公」として微力ながら尽力する所存である。