南町の独り言

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民主党の存在理由

2009-10-30 23:28:15 | 政治

自民党敗因の最大理由は、その存在理由が無くなってしまったからです。
そもそも自民党なるものの存在理由は、敗戦で焦土と化した日本が「西欧に追い付く」ためであり、そのための政権与党でありました。
オイルショックなど幾多の困難を乗り越えて高度成長を果たした日本は、本来であれば、バブル崩壊を機に「西欧キャッチアップ型」からの脱却を完全に図らなければなりませんでした。
80年代半ばにはほぼその目標を達成したのに、自民党はその後も、新しい日本のビジョンを描けなかったのです。

そして2009年8月30日は、日本の政治史にとって歴史的な日となりました。
さて、それでは政権をバトンタッチされた民主党の存在理由とはなんでしょうか。

28日に衆院で自民党谷垣総裁が「鳩山政権の描く成長戦略」について質問しています。
それに対しての鳩山首相の答弁が、これからの日本のビジョンになります。
その目標こそが、民主党の存在理由となるはずです。

『経済成長率至上主義に陥らず、人間のための経済を重視する。
イノベーションを通じた世界最高の低炭素社会を創造するほか、医療や介護、林業や農業あるいは観光などの内需中心の産業の育成を通じて、新たな雇用や需要を生み出したい。
旧来型の政官業の癒着に基づいた成長戦略とは一線を画す』

経済界に反対の多い温暖化ガス25%削減目標も、目指す次世代の姿をさらに明確化させています。
脱石油社会を世界に先駆けて実現させることは、世界平和や我が国の外交政策にも大きく寄与します。
昔も今も、紛争や戦争は資源問題から起こっています。
大東亜戦争の顛末を、寺崎英成御用掛らが昭和天皇から直接聞いてまとめた、「昭和天皇独白録」にも、明確にそのことが書かれております。

『・・・尚この際付言するが日米戦争は油で始まり油で終わったようなものであるが、開戦前の日米交渉時代に若し日独同盟がなかったら米国は安心して日本に油を呉れたかも知れぬが、同盟がある為に日本に送った油が独乙に廻送されはせぬかと云ふ懸念の為に交渉がまとまらなかったとも云へるのではないかと思ふ』

現代における中東紛争などの根本原因も油をめぐる争いです。
低炭素社会とは極論を言えば、二酸化炭素を排出しないエネルギー源にシフトするということです。
そのエネルギーとは油に頼らず、太陽光発電・風力発電・地熱発電などの自然エネルギーと、平和利用と安全性を担保した原子力発電になるはずです。
世界で唯一の被爆国である日本には、原子力アレルギーがあるために原発に対して抵抗感が拭い去れずにいます。
将来的にはもっと優れたエネルギー源が見つかるでしょうが、それをただ待つだけでは世界平和は訪れません。
政府内でも積極的にエネルギー政策を論じて、電力事業者頼みの原子力政策ではなく、国家保障を担保した政策に転換すべきです。

オバマ大統領が提唱する核廃絶戦略も、実現すれば究極の安全保障へと繋がるはずです。
世界中で軍事費が削減できれば、その資金を“平和の配当”としてマネジメントできます。
一部の国や地域に偏したバブル景気や、食糧や資源・エネルギーの価格高騰を誘発するような投機的な使い方ではなくて、限りある地球が持続的に発展していけるような技術開発に投資していく訳です。
そして、その結果生まれた新技術は、広く世界中で共有する、分かち合う、ということを実行するのです。

これからの日本の「ものづくり」産業も、価格と性能だけを追求するものではなくて、持続可能な発展のための“技術の在り方”と“方向性”が求められてくるでしょう。
ここでも鍵を握るのは、人間独自の観察眼で未来を予見し、新たな価値を産み出す「創造性」と「実行力」を持つ人材です。

ここでも“1にリーダー、2にリーダー、3にリーダー”、
そして、リーダー一人一人の“1に勉強、2に勉強、3に勉強”、ですね。


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1 コメント

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民主党の成長戦略の欠陥 (暇人)
2009-10-31 21:55:04
知識時代の成長戦略は教育です。若者の難、貧困の原因は、日本の教育の質にあります。
知識時代に、受験競争で時代遅れの知識を詰め込ませ、世界最低となった大学に進学させ、外国語もIT能力も金融や法知識もない若者を育てれば、就職できず貧窮するのは当然です。
各地の母親グループやPTA等が「『おバカ教育』の構造」(阿吽正望 日新報道)を読む活動を始めたのは、大きな危険に気付いたためです。すべての親にとって、子供が低所得者となり、結婚できず、ホームレス、ネットカフェ難民になることが、現実の問題となっています。
そのため、子供を守り、家庭を守り、生活を守るために、教員に質の高い教育を要求し、政治家に教育システムの根本改革を求める運動が始まりました。
この、親や若者の行動は、全国に拡大していきます。なぜなら、質の高い教育を受けることが、生き残るために必要不可欠な時代となったからです。
必要が、発明も革命も生み出します。
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