南町の独り言

様々な旅人たちが、日ごと行きかふ南町。
月日は百代の過客、今日もまた旅人が…。

錬金術

2013-08-07 13:09:17 | 政治
昔とはいっても最近の部類に入る昔の話です。

二度にわたるオイルショックを乗り越えて、猛烈に働きつづけた日本は優れた“ものづくり”技術によって輸出大国となりました。
しかし猛烈な輸出ドライブをかけられた国はたまりませんから、激しい貿易摩擦が起きました。
そして1985年、「プラザ合意」によって強制的に円高に追い込まれます。

先進国に迫られる格好で、日本の根本的な産業構造転換を目指す内需拡大策が政府によってとられていきます。
時の大蔵大臣は竹下登、時の日銀総裁は澄田智でした。
公定歩合を5回にわたって引き下げるなど積極的な金融緩和措置をとり、マネーサプライ(通貨供給量)が長期にわたって増大しました。
すなわち国内にお金をふんだんに供給したということです。
しかし経済界は内需拡大のための投資をするどころか円高対応で守りに入ります。
公共事業でカンフル剤を打とうにも国家財政は厳しい状況ですからそれもならず、余剰資金は土地や株式に向かいました。

当時もっとも話題となった「NTT株神話」について話します。
いまとなればその仕掛けも分かりますが、政府と金融界と証券界がぐるになって仕掛けたこの神話に、多くの国民が騙されました。

電々公社が民営化されてNTTが誕生し、86年10月にNTT株が売り出されます。
まさに世は財テクブームですが、これは額面5万円の株が大化けするという恐ろしい話です。
165万株の放出に対して、6倍以上の応募がありました。
いったいいくらで放出されるのかもわからないのにこのフィーバーぶり、しかも一人一口しか応募できないために家族や友人の名前を借りて応募した人もいました。
87年2月いよいよ新規上場、市場では140万円でも売りが出てきません。
大蔵省が10万株を追加で放出してようやく160万円の初値がつきました。

当時の証券マンやアナリストたちはいずれは500万円まで上がると囃し立てていましたから、みんな熱病に冒されていたようなものかもしれません。
わずか2ヶ月で300万円の値がつきましたから、私の知人は3口持っていましたのでなんと2ヶ月で400万円も儲けました。
政府は濡れ手に粟です。

第2次放出を計画中にブラックマンデー(87年10月)が発生し株価は暴落しますが、それでも195万株を新たに売り出します。
第2次売り出し価格は255万円でした。
続いて88年10月には第3次放出を実行、売り出し価格は190万円でしたが、500万円を夢見ているNTT株所有者は政府を批判します。
そしてバブル崩壊…92年には45万3千円の底値をつけました。
夢敗れて借金だけが残った人も大勢いました。
事実私の勤めていた会社でもそれが原因でサラ金地獄に落ちた人がいました…。
(現在株価は52万円です)


国民の財産を合法的に巻き上げた手口はよく覚えておくものです。
額面5万円の紙切れが一体いくらで売れて国庫に入ったのでしょうか。
しかもそのお金が財政再建に回されたのならいざ知らず、ハイエナたちに食い荒らされてきた様を見るとなんともいえません。

時は移り2013年。
時の総理は安倍晋三、時の日銀総裁は黒田東彦、ふたりで異次元の金融緩和策をとりました。
お金だけはじゃぶじゃぶとどこかの金庫にありますが、国家財政はもう破たん寸前です。
政府予算のポイントをみて、二匹目のどじょうを見つけました。
郵政株式売却益で6兆円を見込んでいます。
なるほど…最近の株価上昇といいアフラックとの提携話もそのための布石だとしたらもの凄い大仕掛けがあるかもね…。
でもそんなことないか?政府が国民を騙すことなんてありえませんよね。

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