南町の独り言

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日本の常識と世界(目からウロコ)

2008-06-20 16:01:35 | ユニオン

きのうから2日間、愛知県で労働委員(労委労協)の研究会。
1日目の講演「日本の労働組合の課題」が大変勉強になった。
講師は田端博邦先生。

『現在の日本の労働組合の閉塞状況。
組織率も下がっているが、なにより団体交渉力が弱まっている。
グローバリゼーションの名の下に非正規労働者が激増し、その問題抜きで労働運動を語れなくなっている。
この問題にどう立ち向かうのか?・・・・』

さまざまな国の労使関係と比較しながら、日本の常識では測り知ることのできない世界の現実を知った。
結論から述べると、労働組合の組織率も重要だが、それ以上に大切なものがあること。
それは運動の結果、労働者全体に対して、どれだけのバックアップができたかということだ。
残念ながら日本の場合は非組合員を守るべきものがない。

組織率は低くとも、労働者を守るためには何が必要か。
労働協約の適用率が高ければよいのである。
例えばフランスの組織率は10%(2000年)だが、労働協約の適用率は90%である。
日本は組織率22%(2000年)で、労働協約適用率15%だ。

労働協約とは何か、いまさらながらではあるが“おさらい”をしてみよう。

労組法第14条:労働組合と使用者又はその団体との間の労働条件その他に関する労働協約は、書面に作成し、両当事者が署名し、又は記名押印することによってその効力を生ずる。

労組法第18条:一の地域において従業する同種の労働者の大部分が一の労働協約の適用を受けるに至ったときは、・・・・労働委員会の決議により・・・・当該地域において従業する他の同種の労働者及びその使用者も当該労働協約の適用を受ける。

労働協約の内容は、①賃金、労働時間、休日、休暇など、②昇進、解雇などの人事の基準、③安全衛生、災害補償、福利厚生など、④組合活動、ショップ制、団体交渉など、多岐に渡る。
ただ諸外国の場合は過半数をもって拡張適用が認められるのに対して、日本では4分の3以上が必要とされている。
これを改善することも必要だが、“労働協約の拡張適用”運動は今後研究する価値がある。
だからフランスなどのストライキは組合員だけでなく非組合員を巻き込んでの大争議になるのだと初めて知った。

参考までに世界各国の拡張適用の状況を記す。( )内は組織率。
デンマーク:80%(74)、フィンランド:90%(76)、ノルウェー:70%(54)、スウェーデン:90%(79)、オーストリア:95%(37)、ベルギー:90%(56)、ドイツ:68%(25)、オランダ:80%(23)、スイス:40%(18)、オーストラリア:80%(25)、カナダ32%(28)、イギリス:30%(31)、アメリカ:14%(13)、イタリア:80%(35)・・・。

日本の常識は世界の非常識であった。


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