けろろの「浜あるき・野良あるき」

漁あるところ、農あるところへ、風土のにおいに誘われて、いそいそ出かけています

釜石の海宝漬

2011-10-13 00:04:27 | 浜あるき
釜石の漁師、Yさんご夫妻から釜石名物の海宝漬をいただきました。
白いのは、三陸産のエゾアワビです。豪華…。

       

横浜のNPOを通じて、昨年の夏にYさんのお宅に泊めていただきました。
先日、そのNPOがおふたりを箱根旅行にご招待。そのときのお土産です。
お会いできるのを楽しみにしていたのに、急な出張。後日お礼のお電話で近況をうかがいました。

Yさんの集落は海から続く細い谷筋に沿って、縦長に46軒が立ち並んでいました。
津波はその谷筋をすごい勢いでかけのぼり、無事だった家屋はたったの7軒。
集落のいちばん奥にあるYさんのお宅は無事で、しばらくの間、地区の避難所になっていたそうです。
7カ月がたった今、この集落に住むのはまだ6軒だけ。
漁師さんには高齢の方が多く、集落同様この浜の漁業も、
以前とは形が変わっていくのを避けられないようです。

Yさんには後継者もあり、ホタテとワカメの養殖規模はこの地域のトップクラス。
4月から10月にかけては、「磯建て網」と呼ばれる小型定置網も営んでいます。
津波は、手塩にかけて育てていた3年物のプレミアホタテなど養殖施設のすべて、
浜の加工施設と倉庫、そして3艘の漁船も押し流しました。

幸い、定置網の網は高台に置いてあったので無事。漁船は1艘を修理して船外機を購入。
船は地域での共同利用ですが、何とか形は整い、9月11日に定置網を入れました。
定置網漁の許可は10月20日までなのでわずかな期間ですが、ねらうのはサケ!!
運次第ですが、100本以上の大漁も過去には何度もあるのだそうです。
今のところ、1日にとれるサケは10~30本。
「残りの10日間が勝負」と、わくわくした様子で話されていました。

養殖は、今年は復帰できる漁家も少なく、近隣の3浜での協業体制。
ワカメもホタテも例年の10分の1にも満たない、細々とした再出発です。
「今年は仕方ない、来年から。それでも海に出られるのはありがたいし、
自分でとった魚が食べられるのはやっぱりいいねえ」と、受話器から奥さんのI子さんの笑い声。

季節の恵みのサケが、ひととき気持ちを明るく照らしているように感じました。