サムスン折り畳みスマホ2機種 初のおサイフケータイ
石野純也・ケータイジャーナリスト
サムスンは、折り畳み可能な「フォルダブルスマホ」の新モデルを、日本で10月上旬に発売する。
折り畳むと縦長の携帯電話のようなサイズになる「Galaxy Z Fold3 5G」(ギャラクシーZフォールド3 5G)と、
一回り小さくガラケー(従来型携帯電話)のように折り畳む「Galaxy Z Flip3 5G」(ギャラクシーZフリップ3 5G)の2機種だ。
これまで、サムスンのフォルダブルスマホはKDDIが独占販売していたが、
Fold3とFlip3は、新たにNTTドコモも販売する。現時点で価格はドコモ版のみ発表しており、
Fold3が23万7600円、Flip3が14万8896円。
「フォルダブルを主流に」
2020年にauが販売したFold2は約26万円、Flip2は約18万6000円だったが、
今回、Fold3とFlip3の2機種とも値下げした。
2機種は日本以外でも販売価格を下げており、サムスンはフォルダブルスマホの普及に弾みをつけたい考えだ。
元々、サムスンは毎年、秋冬商戦向けに大画面でペン入力が可能な「Galaxy Note」(ギャラクシーノート)を投入している。
春に発売する旗艦モデルの「Galaxy S」と比べると高機能で、ペンを搭載しているのが差別化要素だった。
フォルダブルスマホは、三つ目の製品ラインとして登場したが、あくまで特別な端末という位置づけだった。
ところが、21年の秋冬商戦では、Galaxy Noteの投入を見送った。
サムスンのモバイル部門の盧泰文(ノ・テムン)CEO(最高経営責任者)は、8月に開催した発表会で、
「フォルダブルが新しいメインストリーム(主流)のスマホ」と宣言。Galaxy Noteに代わり、Galaxy Zを主力モデルとした。
2機種は、一部の国や地域で先行して販売が始まっているが、いずれも過去のGalaxy Zを超える売れ行きだという。
Fold3はペン入力もできる
Fold3は、Galaxy Noteからペン入力が可能という特徴を引き継いだ。
ペンの滑りや応答速度の速さといった書き心地は変わらない。
画面のサイズが開いた時には7.6インチと大きくなったため、文字を書く際に細かく改行をする必要もない。
ペンは別売だが、事前予約すると、本体と一緒に収納できるケースのプレゼントがある。
Fold3がペン入力や機能性の高さをアピールするのに対し、Flip3はカジュアルに持ち運べるコンパクトさを売りにする。
ファッショナブルなケースを合わせて発売し、小型バッグのように首から下げられるようにするなど、女性向けもアピールする。
価格帯が近いiPhoneなど、比較的高い価格帯の端末を購入してきた利用者をターゲットにしているようだ。
Fold3とFlip3の2機種とも防水に対応している。
初のおサイフケータイ対応
また日本版限定の機能として、フォルダブルスマホで初めておサイフケータイに対応した。
2機種ともモバイルSuicaなどの各種電子マネーが利用できる。
販売台数が限られていた過去のモデルでは、日本に特化したカスタマイズができず、海外版に近い仕様だった。
こうした機能からも、サムスンが日本市場においても、Galaxy Zをメインストリームに位置づけていることが分かる。
もちろん、安くなったと言っても、まだ高機能モデルかそれ以上の高価格で、
現実的には、中位機が売れ筋の中心を占める日本市場で一気に広がることはないだろう。
ただ、Flip3は他の高機能モデルと同程度の価格になり、購入時の候補には入りやすくなった。
高機能モデルを求める利用者から、フォルダブルスマホはじわりと普及していきそうだ。