ビタミンP

苦心惨憺して書いている作品を少しでも褒めてもらうと、急に元気づく。それをトーマス・マンはビタミンPと呼んだ。

世界の新型コロナウイルス累計感染者数、1カ月強で1000万人増加

2020年09月18日 11時13分09秒 | Weblog

新型コロナ感染者、世界で3000万人超え インド急増 
(2020/9/18 7:44 (2020/9/18 10:34更新)日本経済新聞WEB)


 世界の新型コロナウイルスの累計感染者数が17日、3000万人を超えた。8月10日に2000万人に到達してから、1カ月強で1000万人増加した。インドが新たな感染拡大の震源地となり、欧州でも感染者が再び増加した。米国などで新規感染者数は減少傾向にあるが、収束への見通しは立っていない。

 米東部時間17日夕(日本時間18日朝)時点の米ジョンズ・ホプキンス大の集計で明らかになった。累計死者数は94万人超に達した。国・地域別の累計感染者数は、米国が最多の660万人超で、インド(約500万人)、ブラジル(400万人超)が続く。日本の累計感染者数は約7万7千人に達した。
 9月に入り、1日あたりの世界の新規感染者数は7日移動平均で26万~28万人前後のペースで推移する。8月の約25万人と比較して緩やかに増加した。インドや欧州で増加スピードが加速している。感染拡大の中心地だった米国やブラジルではピークに比べ抑えられているが、学校再開などに伴い再拡大する懸念は残っている。
 インドは新規感染者数が一時9万人を超えた。ピーク時の米国(約6万7千人)を上回り、世界の新規感染者数の約3分の1を占める。欧州は6月ごろから移動制限を緩め、夏休みの移動増で感染者が再び増加した。スペインは新規感染者数が1万人を上回り、3月末のピーク時(約8000人)を超えた。

 16日時点で累計死者数が最も多かったのは米国の19万6千人。次いでブラジルの13万4千人、インドの8万2千人となった。1日あたりの世界の新規死者数(7日移動平均)は7月下旬ごろから約5000~6000人の間で推移している。
 退院などによる回復者数は世界で少なくとも2000万人にのぼる。インドの回復者数は約400万人となった。現在感染している人は100万人前後と、回復スピードは速い。ブラジルの回復者数は約380万人、米国は約250万人となった。新興国では若年層が多く、重症化しにくい傾向がある。一方で、医療体制の脆弱な場所では、重症化した場合の致死率は高くなる。
 経済協力開発機構(OECD)は16日、2020年の世界の実質経済成長率予測をマイナス6%からマイナス4.5%に上方修正した。世界各地の経済再開を受けてマイナス幅は1.5ポイント縮小した。6月時点の見込みよりも改善したが、OECDは報告書で「先行きは極めて不透明だ」と指摘した。


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メールが取引先や知り合いの名前からだったとしても注意が必要

2020年09月18日 11時03分35秒 | Weblog

知り合いや取引先を装った巧妙な偽メール「Emotet」の被害急増

(2020年9月18日 5時23分 NHK NEWSWEB)

 知り合いや取引先を装った巧妙な偽のメールを送りつけ、添付ファイルを開くと感染するコンピューターウイルス「Emotet」の被害が急増していて、今月4日には日本医師会の事務局のパソコンの感染も確認され、情報セキュリティーの専門機関が注意を呼びかけています。

「Emotet」は、メールの添付ファイルを開くなどして感染すると、連絡先などが盗み取られ、過去に知り合いや取引先などとやり取りした文書を引用してさらに偽のメールを広げるコンピューターウイルスで、去年からことしの初めにかけて猛威を振るいました。

 情報セキュリティーの専門機関、「JPCERTコーディネーションセンター」によりますと、ウイルスはいったん収束を見せていましたが、ことし7月ごろから再び感染が確認されるようになり、今月は15日までに感染した国内のメールアドレスは5610件に上り、1か月間の件数としてはすでに過去最高となっています。

 今月4日には日本医師会の事務局のパソコンの感染が確認され、医師会の職員が過去にやり取りした厚生労働省の職員などの名前で、関係先などに多数の偽のメールが送信されました。

 新型コロナウイルスの影響でテレワークをする人が増える中、自宅の無線LANにつながった端末に感染を広げる新たなタイプも出てきているということで、JPCERTコーディネーションセンターは「メールが取引先や知り合いの名前からだったとしても、少しでも不審な点を感じた場合には添付ファイルは開かないようにしてほしい」と注意を呼びかけています。


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史上最大のワクチン事業 ~その挫折と教訓~ 

2020年09月18日 08時36分05秒 | Weblog

1976年、米で新型インフル流行の恐怖

(2020/6/15 14:33 日本経済新聞WEB)

 1976年、米国で新型インフルエンザ流行に備え、全国民2億人以上の予防接種をめざす史上最大のワクチン事業が実施された。しかし、副作用事例の頻発などで事業は中止され、結局流行も起きなかった。公衆衛生の歴史に大きな教訓を残したこの出来事は、専門家の意見と政策決断のあり方などで重い課題を突きつけており、現在の新型コロナウイルス政策に通じるものがある。

◇  ◇

 1976年1月、ニュージャージー州の陸軍訓練施設で多くの兵士が呼吸器系の疾患を訴えていた。そして2月、18歳の新兵が死亡した。米疾病対策センター(CDC)が調査したところ、兵士から新型の豚インフルエンザウイルスが検出された。

 このウイルスは1918年に全世界で未曽有の被害を出した"スペイン・インフルエンザ"と抗原性が類似していた。当時の人々は親世代の話から約60年前の悪夢が潜在意識にあり、CDC当局者は慄然とした。ウイルスの変異により、一定周期でパンデミックが発生するとされる「抗原循環説」では、数年以内にそれが起きると警告されていた時期でもあった。

 歴史を参照すれば、秋から冬にかけて破滅的な第2波が襲来するかもしれない。それまでに全国民にワクチンを接種して惨事を防がねばならない。3月22日、公衆衛生当局はフォード大統領に空前の大規模ワクチン事業を進言。大統領は24日に全国民2億人以上を対象にしたワクチン接種を実施すると発表した。

 接種事業は10月1日から始まるが、多くの問題を抱えた見切り発車だった。まず、流行の確率がはっきり示されていなかった。接種の是非を検討する諮問委員会の各メンバーは内心では確率は2~20%と見ていて、1918年のような大災害を予測していた人間は一人もいなかったことがのちの調査で判明している。

 しかし、公衆衛生当局では「100万人が死亡する可能性がある」「流行はジェット機並みにやってくる」「3カ月以内に国民全員にワクチン接種をしなければならない」といった前のめりの意見が主流になっていく。

「確率はゼロではない」が「あり得る」「あるだろう」と伝言ゲームのように変化し、否定的意見はほとんど検討されずに大統領に報告された。それもワクチン製造に要する時間を考慮すると、「決断は1週間以内に」という状況だった。

 大統領の側近は専門家の進言を「頭に突きつけられた銃」と述懐している。「大惨事が予想されたのに何もしなかった」との批判を考えると、政治的には選択肢がないに等しかった。

 もう一つの問題は、ワクチンはすべての人に有効ではないということだった。臨床試験で18歳以下の若年層は1回の接種で十分な抗体が作れず、2回の接種が必要なことが判明した。事業の大きさを考えると2回実施は現実的ではなく、接種は3~18歳を除外してスタートした。「国民皆接種」構想は最初からつまずいていた。

 最大の問題はワクチンの副作用だった。10万人に1人の確率でも、2億人に接種すれば2000人が副作用による疾患を発症する。訴訟を恐れたワクチン製造会社、保険会社の圧力により、8月に賠償責任は政府が負う法案が急ぎ成立した。

◇  ◇

 新型インフルエンザワクチン接種事業は1976年10月1日から始まったが、同月11日に最初の事件が起きる。ペンシルベニア州ピッツバーグで高齢者3人が接種後まもなく死亡した。

 ただ、想定はされていたことだった。ワクチン接種期間に起きた発症、死亡事案は、医学的に因果関係がなくても関連があるように受け取られる。接種数が大規模になるほど、そのような「紛れ込み事案」は増える。CDC内では「偶然同時発生説」が主張され、副作用ではないとされた。

 国民の不安を払拭するため、フォード大統領は同月14日に家族とともに接種を受け、その姿がテレビで放映された。だが、ワクチン事業に決定的な逆風が11月12日に発生する。ミネソタ州で接種した人のなかでギラン・バレー症候群の発症者が出たのだ。他の州でも報告が相次ぎ、12月中旬までに50例以上となった。

 同症候群は末梢(まっしょう)神経の障害により四肢や顔、呼吸器官にまひなどが起こる。10万人に1~2人が発症する非常にまれな疾患だ。ワクチンとの因果関係については議論があったが、公衆衛生当局は12月16日に接種事業の一時中断を勧告。大統領が了承した。それでも2カ月半で史上最多の4000万人以上が接種を受けていた。

 その後も接種事業は再開されず、翌77年3月に正式に中止された。調査では接種者の同症候群発症率は非接種者の11倍であり、因果関係はあるとみなされる。最終的には約530人の同症候群発症が報告された。

 一方、警告されていた新型インフルエンザの流行は起きなかった。ニューヨーク・タイムズが「豚インフルエンザの不面目な大失敗」と論じるなど、政府に厳しい批判が向けられた。残されたのは使われなくなった大量のワクチンと「副作用」に対する約4000件の損害賠償訴訟だった。

「最悪に備えればそれ以下にも対処できる」とは限らなかった。その後、保健教育福祉省の依頼で2人の学者がこの出来事を検証した報告書が作成された(邦題「豚インフルエンザ事件と政策決断」)。この報告書が問いかけているのは、不確実な事柄について意思決定する難しさ。そして、専門家と素人である意思決定者(政治家・官僚)の関係の危うさだった。

 問題の一つは、専門家の意見は主観的かつ不確実性を伴うもので、客観的な数字が明示されなかったことだった。このため事業を決断する側は「勝てる確率も知らずに賭けに加わるに等しいものだった」としている。流行が起きないという想定がなされず、最悪の事態が強調されたことで「『起こりやすさ』にもさまざまな考え方があることを覆い隠してしまった」とも指摘する。

 ワクチン事業を実施した場合と不実施のどちらが国民の健康被害が大きいか。その得失評価のほか、経済的コストなど政策の意思決定には公衆衛生以外の価値観も反映されるべきだという。

 今後、新型コロナウイルスの再襲来に備え、治療薬、ワクチンの開発が急がれるが、副作用や接種の優先順位などの問題は避けて通れない。その決断は科学だけではなく、様々な価値観に基づくべきであることを、76年のワクチン事業は教えているのではないだろうか。(編集委員 井上亮)


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