バフムトで勝利宣言を出した段階で、プリゴジン氏はウクライナ戦線から離脱することを決めていたと思います。バフムト市街の防衛をロシアの正規軍に引き渡し、部隊の休養と再編成の名目で後方に退きました。
その時点で7月のワグネル解体は決まっていました。詳細は書きませんが、プリゴジン氏はワグネルの解体を回避する事に成功しました。そして、ワグネルがウクライナの前線に戻ることは、ないと思います。
ワグネルの部隊のうちコアな部隊は、ベラルーシに移動し始めました。
ワールド
2023年7月15日1:31 午前13時間前更新
ベラルーシ、ワグネル戦闘員が軍事訓練指導と発表
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-belarus-wagner-idJPKBN2YU1BV
ワールド
2023年7月15日4:31 午前10時間前更新
ベラルーシ、ワグネルによる軍の訓練で合意 工程表作成
https://jp.reuters.com/article/ukraine-crisis-wagner-belarus-training-idJPKBN2YU1IQ
プリゴジン氏とワグネルは、自分たちの安全を確認したのちロシア軍にそれまで貸与されていた武器を返却しました。今、移動する部隊は移動し始めたようです。
つまり、ワグネルは完全にウクライナ紛争から手を引いたと言うことであり、もう戻らないと思います。
プリゴジン氏は今年の早い段階からロシア軍の劣勢を認識していたと思います。ワグネルは「傭兵集団=戦争請負人」であり雇い主が負けそうであれば、手を引くのは当然です。雇い主が負ければ契約料は反故にされます。手を引いた以上、再び参戦することはないと思います。そもそも国防省がワグネルとの契約を打ち切りましたから、資金の面からも組織編成上の面からもワグネルの復帰は、ありません。
ウクライナ軍にとっては、非常に良いニュースです。これまで激戦となった戦場には、ワグネルの部隊が投入され死闘の末、ウクライナ軍は敗北しています。
地獄の戦場となったセベロドネツクでの攻防戦。
同じくバフムトでの攻防戦。
セベロドネツクでは、まだウクライナ軍が劣勢であった時期でもありウクライナ軍は大きな犠牲を出して撤退しました。
バフムトでも同様です。かろうじてバフムト市街の西の郊外の拠点は、守り切りましたが一時は撤退寸前まで追い込まれました。ワグネルがタイムリミットのためにバフムト市街の制圧だけで止めたから、何とか西の郊外の拠点だけは、守り切ったというのが実情です。
ロシア国防省がワグネルを解体しようなどと、馬鹿な事を考えなければ、ウクライナ軍はバフムトから駆逐されていたと思います。ロシア国防省がウクライナ軍を救ってくれたようなものです。
ロシア国防省と参謀本部が、本当に馬鹿だからウクライナ軍は負けずに済みました。今、大分戦力が整いましたから、もうウクライナ軍の敗北はないと思います。去年の7月くらいまでは、かなり際どかったです。ロシア国防省と参謀本部が、世間並みの能力を持っていればウクライナは屈辱的な和睦をロシアと結ぶしかなかったと思います。
余計なことを長々と書きましたが、ロシア軍の最強の突撃部隊数万人がウクライナ戦線から離脱したことは、ウクライナ軍にはメリットが大きいです。ウクライナ軍がどこかの防衛ラインを突破される可能性は、少なくなりました。ワグネルの部隊数万人が参戦していれば、常にそのリスクがありました。ロシアの正規軍にそんな強力な部隊は、ありません。
そして数万人が抜けたということは、ウクライナ戦線のロシア側の兵力が、その分減ったと言うことです。かなり負担が軽くなります。ロシア軍から見ると、その人数分の予備兵力が減ったことになります。
その分、各戦線におけるロシア側の負担が大きくなり予備兵力が少ないのですから、その分ウクライナ側が有利になります。
ウクライナ戦線全体でみると、ウクライナ軍のメリットはかなり大きいと思われます。戦闘を継続するうちに、どこかで負担が大きく手薄になる前線が出てくると思います。ウクライナ軍は、そこから突破する流れになると思います。
おそらく、それは南ドネツク戦線だと思います。この前線を突破できれば、今年はウクライナ軍優位に戦いが進むと思います。私が、そう思うくらいだから今年のウクライナ軍の最大の軍事目標だと思います。