東西ドイツ統一は、旧西ドイツには大きな重荷になりました。経常赤字は転落に転落し、その後長く経済不振に苦しみます。旧東ドイツを吸収した経費は、ドイツと言えども簡単に負担できるものではありませんでした。
この時期のドイツを「欧州の病人」と俗称しています。
その後労働改革や財政健全化政策などを経てドイツ経済は徐々に回復していきます。
劇的な回復をもたらしたのが「単一通貨ユーロの導入」だそうです。
そもそもドイツが通貨統合(単一通貨ユーロ導入)を受け入れたのには、以下の経緯があります。
通貨統合は、通貨を統合することによってドイツの影響力を抑え込むことを狙ったフランスなどが推進しました。ドイツでは反対論もあったようですが、東西ドイツ統一を認めさせるかわりに、通貨統合を受け入れたとのことです。
結果としてこれがドイツ経済の回復の特効薬になりました。本来であればドイツのマルクは、強い通貨です。
ところが単一通貨ユーロはヨーロッパの経済弱小国も含まれるため、マルクよりはかなり割安になりました。
日本なら円安の効果をドイツは何もせず手に入れました。これが長く続きます。通貨安効果を、こんにちまで享受しています。
ドイツの経済構造は、輸出依存度が非常に高くGDP(国内総生産に)占める輸出の割合は、50%近くあります。
貿易の動向に非常に大きく左右される経済構造です。
輸出先の60%近くを占めるEU域内、そしてアメリカや中国の景気減速には耐性が弱い性質があります。
2008年のリーマンショック時に、主要国の中で景気の落ち込みが最も大きかったのはドイツでした。
一方、回復が最も早かったのもドイツでした。
リーマンショック後の景気回復の恩恵を最大限に受けたのがドイツです。
その結果、2016年世界最大の経常黒字国になりました。
これを、「ドイツ一人勝ち」「一強他弱」などと俗称します。
イギリスがEU離脱を決めたのは、EU内でドイツの影響力が大きくなりすぎたのが、一番大きな理由だと思います。ドイツ第4帝国などと陰口が叩かれたくらい、ドイツは順調でした。
大きな貿易黒字は、アメリカとの摩擦を生みます。
アメリカの当時のトランプ大統領は貿易の不均衡を問題視して改善をドイツに迫ります。ドイツは、それを拒もうとします。また軍事費をサボるドイツに軍事費負担も求めました。これもドイツは拒否します。
この時代のドイツ首相がメルケルです。
メルケルとトランプの仲が険悪だったのは、これが理由です。
コロナショックで世界経済は急激に落ち込みました。
今もヨーロッパや中国は、回復したとは言えません。
アメリカとは、やはり貿易黒字削減に動かざるを得ませんでした。
このような事情がドイツ経済に大きくのしかかります。
輸出依存度GDP比50%の収益構造が逆回転し始めます。
輸出比率60%を占めるヨーロッパ経済は、トントン程度です。アメリカとの貿易黒字は減りました。
頼みの中国貿易も減少気味です。
加えてウクライナ紛争が勃発して、ロシア産の格安の天然ガスを失い割高なアメリカとノルウエーの液化天然ガスを長期に買わざるを得なくなりました。ドイツ始めEU各国はロシア貿易の利益を失いました。
こうしてドイツ経済は、現在やや水面下です。
「ドイツ一人勝ち」は、たまたま偶然好条件が重なっただけです。
おまけにこの時期将来への社会インフラ投資をケチりまくり、必要な投資をしていません。これも今、問題として浮上しています。
調子に乗って「脱原発」などをやったために電気代はバカ高くなって、安くしようがありません。将来とも高騰が続くでしょう。
「ドイツ一人勝ち」の時にあまりにも馬鹿げた政策を行い、わざわざドイツ経済の体力を失うようなことを続けてきました。脱原発は、ドイツの半永久的なボデイブロ-になると思います。今考えるとドイツ経済が不調になる原因を全部メルケルが政策として行っています。最大のものは、脱原発と無制限移民受け入れ政策です。
そしてGDPの60%を占める輸出が減少しています。
好循環が終わって、逆循環の時期に入りました。
今、フランスやほかの国方が景気が(いいとは言えませんが)ドイツよりは、マシです。
「ドイツ一人勝ち」⇒次は❓
とこう言うことです。
大量の移民受け入れも社会の問題として残ってしまいました。移民施策に対する不満と経済不振からくる不満が、最近の大きな選挙では、極右勢力と極左勢力の急激な政治手的台頭を招きました。
ドイツ社会は、非常に不安定になっています。
様々な面からドイツ経済には、困難が待っています。と言うより困難に突入したと言えべきでしょう。
「ドイツ一人勝ち」は瞬間風速的なものでした。
ドイツの象徴だったドイツ車。全然売れていません。
中国への輸出も不振です。今中国のEV車の方が輸出競争力が高いです。ますます、中国に食われそうです。
結局、極端に大きな貿易黒字(輸出)に頼る経済成長はダメだと言うことを証明しただけでした。
そしてEUの優等生のドイツが、こけてしまった以上世界経済に占めるEUの落ち目度合いは、ひどくなっていくと言うことです。
落ち目のヨーロッパを象徴しているようなドイツ経済です。
ウクライナ紛争のEUに対するデメリットは、既に何回も書きました。このデメリットは、今後長くヨーロッパ経済を苦しめると思います。
アメリカのロシア叩きの尻馬に乗ったら❓
ドイツとEUは、ド壺にはまって当分抜け出せないんでないですか❓
ウクライナ紛争をアメリカは、ドイツ叩きに利用しています。
日本も前に叩かれまくったでしょう❓
同盟国だろうと大きくなると平気で叩き落すアメリカ外交です。
ドイツは、当分ダメですね❓
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