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SIDEWALK TALK

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1992-1993 See Far Miles Tour part II

2007-08-05 13:18:00 | 佐野元春
ふと思い立ち、今さらながら、10数年前の佐野元春のライヴ映像を収めた
DVD『1992-1993 See Far Miles Tour part II』を買った。
発売当時、まだDVDはなくVHSで購入していたが、
最近、急にこのライヴ映像がみたくなってネット注文した。

1992-1993 See Far Miles Tour partII [DVD] 1992-1993 See Far Miles Tour partII [DVD]

 佐野元春 with The Heartland
 価格:¥ 5,607(税込)
 発売日:2000-11-01

ファンという立場を離れて客観的にみても、佐野さんは今、
前作『THE SUN』から今作『COYOTE』のリリースによって、
その輝かしいキャリアのなかで、何度目かのピークを迎えている。


ファンとして、このことはウレシイかぎり。
異論を覚悟で、得手勝手に僕が
ミュージシャン佐野元春の最高ピークをあげるとすれば、
アルバム『Sweet 16』、
そして 1992-1993 See Far Miles Tour part II 時代をあげたい。
おそらく佐野さんも、この時期のピークには満足していたと思う。
このことが、The Heartland 解散の遠因になったのではないだろうか?


ひさしぶりに観た『1992-1993 See Far Miles Tour part II』の
映像はやはりすばらしく、
現在の The Hobo King Band とはちがった意味での成熟したグルーヴ感に
ハートをえぐられる思いがした。
佐野さんも(当然ながら)まだ若く、
短くカットした髪と青いイタリアン・シャツがイカしている。
バンドのスタイルは The E Street Band を摸したアーバン・スタイルで、
ブラスセクションのリフとキーボードの旋律が心地いい。


ところで、VHS版の『1992-1993 See Far Miles Tour part II』が
発売されたのは14~15年前。
僕は駅前のCDショップで買い求め、
見おえたときの感動のむこうに、
歴史的時間という地平線がはるかに浮かんだ。
1970年以降、品種改良をかさねてきて、
しかもつねに若枯れすることが多かった日本のポップミュージックも、
ついにこれほど大きなものを生むにいたったのかということだった。


佐野さんの音楽にあって、
観念とも情念ともつかぬ存在がいきいきと表現されて
流行りのムーヴメントとつねに鮮明に対立しているのは、
佐野さんの知性と感覚が経てきた運命上の何ごとかが関係していると思うけど、
僕には精密に解説する能力はない。
とにかく現在も、佐野さんのこのチャレンジは続いている。

Keep on fighting!

黄金色の天使

2007-07-14 09:34:42 | 佐野元春
Angel佐野元春のニューアルバム
『COYOTE』がリリースされて、ひと月が過ぎた。
ファンのみならず、業界やメディアでも大絶賛されていて、
佐野さん自身も含羞をふくみつつ自画自賛している秀逸作だ。


僕的には、リードトラックと呼べる際だった楽曲はない。
それは裏を返せば、どの曲も素晴らしいということ。
かつてのようながなり立てるようなヴォーカルはみられないが、
これも成熟したロックンロール故のことで、
けっしてマイナス面じゃない。


『COYOTE』アルバムの中で僕が敢えて1曲を選ぶとすると、
「黄金色の天使」かな?
バーズ・タッチのフォークロックに仕立てられていて、
日本のミュージシャンで近似値をさがすと、
浜省っぽいといえば浜省っぽい。


毎週金曜日、
地元コミュニティFM でナビゲーターを務めてる番組があり、
来週からこの「黄金色の天使」をエンディングに使おうと思っている。
ていうか、勝手に決めた。
聴いてくれてるみんなが元気になるような曲だと思う。

「終わりは はじまり」という願いを込めて…

『COYOTE』寸評

2007-06-17 10:52:02 | 佐野元春

そういう時代なのか、
最近のポップソングには、むずかしく表現されたものが多い気がする。

そんななかで佐野元春の新作『COYOTE』は、
独特な言いまわしと、ありきたりでない視点と、精神の調べを感じさせる表現をもって、
荒地と化した現代社会をCOYOTEと呼ばれるある架空の男の視点を通じて
みごとに造形化している。

COYOTE(初回限定盤)(DVD付)  COYOTE (初回限定盤)(DVD付)

 佐野 元春
 価格:¥ 3,500(税込)
 発売日:2007-06-13


このアルバムのキーワードは、佐野さん自身が語っているように"Younger"。
「若々しく」はあるが、けっして粗野・稚拙-Young-じゃない。
若いミュージシャンとのコラボによる化学反応が楽しい今作だが、
イチかバチか or 偶然のサムシングじゃなく、
クールな計算が垣間見える作品に仕上がっている。
まさに、佐野元春の真骨頂だ。

人間の情熱の量などたかが知れたものだが、
ときに巨大な量を持って生まれざるをえなかった人がいる。
佐野元春が、その一人である。

佐野さんにおける生命の炎というべきものは、
もし彼がアーティストじゃなかったならば、不必要に多量すぎる。
佐野さんは幸いミュージシャンであったために、
その火に灼かれることなく生きつづけることができた。
佐野さんはその火を包みこんで発光させる作業をしつづけてきたが、
若いころは、白炎のようなその気体が、
オブラートに包みきれることなしに、生の炎として噴きだしていた。

この『COYOTE』は、多くのキャリアを経て成熟したサウンド・プロダクションでありながら、
ひさしぶりに佐野さんの生の炎-狂気といってもいい-を感じることができる作品だ。
僕は、佐野元春というミュージシャンを同時代に得たことに、誰彼なしに感謝をしたい。


21世紀の荒地を往く者たちに。

2007-04-13 10:18:11 | 佐野元春
Coyote佐野元春の新作アルバムのタイトルが決まった。

『COYOTE』(コヨーテ)

シンプルでいい。
この短いタイトルには、忘れかけてたアグレッシヴな
何ごとかを蔵している雰囲気がある。


そしてサブタイトルに、
「21世紀の荒地を往く者(Boys and Girls)たちに。」
とあることから、
現代の若者たちをコヨーテに見立てて、
その若いジェネレーションへのメッセージが込められた作品であることが想像できる。


前作の『THE SUN』アルバムが元春と同世代やコアなファンに向けた作品だったことを考えると、
今作は真逆の内容になることは必至。
よりポップで、よりワイルドで、なによりも So Young な元春が帰ってくる。
じっさいに佐野さん自身、なにかのインタビューで、
今作のキーワードとして、"Younger"という単語をあげていた。


動物のコヨーテは、近縁種のオオカミが絶滅の危機にあるのにたいして、
北アメリカでは増殖をつづけている。
コヨーテは、パナマからアラスカのノーススロープにかけて分布し、
1970年代後期には、分布の東限が大西洋岸にまで拡大した。
現在ではハワイをのぞくすべての州に生息している。
近年では、ニューヨークやニュージャージー、コネティカット、ペンシルベニアの郊外にまであらわれるようになった。
要するに、さまざまな環境に対応し、力強く生きのびる生命力をもった種なのだ。


野生で、粗野で、雑食で、野蛮で、夜行性で、凶暴で、生命力に満ち溢れた"Younger"な現代のコヨーテたちへ、
荒地を歩きつづける"Mature"な元春ライオンからのメッセージ。

その調子だぜ
Boys and Girls
風向きをかえろ

今から、楽しみだ!

じぶんの詩-A BEAUTIFUL DAY

2007-03-10 08:30:03 | 佐野元春
JibunnoutaThe Whey-hey-hey Brothers の「じぶんの詩-A BEAUTIFUL DAY」
という音楽 CD を買った。
The Whey-hey-hey Brothers とは、
音楽バラエティ TV 番組「MusiG」から生まれたユニットで、
ヴォーカルはぐっさんこと山口智充、ギターに俳優の山本耕史、
そしてプロデューサーっていうかオーソリティ的存在で
佐野元春が関わっているユニット。


「じぶんの詩」については、佐野さん自身のテキストが Amazon に掲載されているので、
僕ごときがああだこうだと論評するのは面映ゆい。
でも、敢えていわせてもらえば、
「ボヘミアンがたどり着いた安住の地」がこの楽曲のテーマだと思う。


かつて若く野蛮さに満ち、時代と狂おしいまでに共振していたボヘミアンも、
時がたつにつれて、社会のシステムに組み込まれていた。
魂が求める自由とは裏腹に、その肉体は、会社や家族との生活の中で、
「僕はどこにでも行けるさ けれど僕はどこにも行けない」
と、叫んでいた。
そんな日常のある日、ふと自分の存在をリアルに認識し、魂が解き放たれた。
その瞬間を切り取って詩(唄)にした。
という感じでしょうか?


音楽的には、佐野さん自身が語っているように、オーセンティックなロックンロール。
『 The Essential Café Bohemia 』リリースの影響からか、
Same old Rock'n Roll のスタイルにソウルミュージックのエッセンスが加わっているように感じるのは、
僕だけだろうか?


いいかえれば、アルバム『 Café Bohemia 』と『 The Barn 』的要素が入り交じってる作品のようにも思える。
しかし、この楽曲の本質的価値は、小賢しい解説よりも、
セッション・レコーディングの楽しさを感じられることにある。
ウッドストックでの The Band や70年代の The E Street Band を彷彿させるグルーヴ感が楽しい。
いわゆる、ゴキゲンなロックンロールに仕上がっている。





【 追而書 】

「ジャケ写、どっかで見たことあるなぁ」、と思ってたら、思いだしました。

じぶんの詩-A BEAUTIFUL DAY じぶんの詩-A BEAUTIFUL DAY


 The Whey-hey-hey Brothers
 価格:¥ 1,050(税込) 発売日:2007-02-28


60年代後半に活躍したサンフランシスコのサイケデリック・ロック・バンド
It's a Beautiful Day 」のパロディ(パクリ)だったんですね。

It's a Beautiful Day It's a Beautiful Day


 It's a Beautiful Day
 価格:¥ 3,093(税込) 発売日:2001-11-13


あんまり覚えてませんが、
カントリーやフォークソングを取り入れたサイケ・サウンドで、
たしかヴァイオリンをフィーチャーしたサウンド・プロダクションだったような?

JB is dead and gone

2006-12-26 09:29:24 | 佐野元春
James_brown「ゴッドファーザー・オブ・ソウル」
「ミスター・ダイナマイト」
「ソウル・ブラザーNo.1」
「セックス・マシーン」
そして、「ファンクの父」

彼の名は「JB」、ジェームス・ブラウン。
そのJBが死去した、というニュースを今朝きいた。


JBは、アメリカのショービジネス界の象徴的な存在だった。
映画『ロッキー4』では、アポロ VS ドラゴの試合前アトラクションで
「Living In America」を熱唱。
その渾身アメリカ的パフォーマンスを(旧)ソ連のボクサーに見せつけた。
マイケル・ジャクソンが、JB の延長線上にあるソウルシンガーであることは紛れもない。
僕にはよくわからないが、プレスリーにも多大な影響を与えたらしい。


最近よく聴いてる佐野元春のアルバム『Café Bohemia』も、
巨視的にみれば、JBの系譜の流れをくむ作品といっていい。
『Café Bohemia』はスタイル・カウンシルの影響が強いという評があるけど、
僕はその説をとらない。


当時の佐野さんは、かつてのソウルミュージックを
モダンミュージックのフォーマットに乗せて表現することにチャレンジしていた。
そして、スタイル・カウンシルのポール・ウェラーも、
同時期に同じようなアプローチを試みていたということだと思う。


1980年代後半、佐野元春とスタイル・カウンシルを同時期に聴いていたが、
その類似性に違和感を感じるよりも、
あの時代におけるコンテンポラリーなアプローチに共感をおぼえた。
リリースにもタイムラグはなく、むしろ同時進行だった。


むりやり四捨五入すれば、
彼らのアプローチは、JBやカーティス・メイフィールドなどの
ソウルミュージックをルネサンスするムーヴメントだった。
時代の必然だったともいえる。


話が脇にそれた。
『Café Bohemia』のジャケ写や「ワイルド・ハーツ」のビデオクリップで
佐野さんが着用していたグレンチェックのジャケットは、
JB を意識したファッションだったことはほぼまちがいない。
Café Bohemia Meeting ツアーでの「インディビジュアリスト」の
ライヴ・パフォーマンスにも、JBの香りがほのかに漂っていた。
ソウルミュージックにコミットするにあたり、
「ソウルの帝王」にたいする佐野さんなりのオマージュ表現だったんだろう。


僕も、JBのソウルにオマージュを捧げたい。
May his soul rest in peace.

ライヴDVD 「星の下 路の上」

2006-11-25 14:06:53 | 佐野元春
佐野元春 AND THE HOBO KING BAND TOUR 2006 「星の下 路の上」
という、やたらながいタイトルの DVD を Amazon で購入。
  
3日ほど前に配送されて手にしてたけど、
現在、オフクロんちに居候中のため DVD プレイヤーがない。
休日のきょう、会社のパソコンでやっと鑑賞した。
佐野さんのファンだから、観れば感動するしカッコイイと思うのは当たり前。
でも、このライヴ DVD はホンモノのライヴ DVD 。
  
佐野元春 AND THE HOBO KING BAND TOUR 2006「星の下 路の上」【初回限定盤】 [DVD] 佐野元春 AND THE HOBO KING BAND TOUR 2006 「星の下 路の上」

 価格:¥ 9,800(税込)
 発売日:2006-11-22


この DVD にたいする僕の感想は、ずばり「ネイキッド」。

MC も曲間の時間もふくめて、すべてノーカット。
インタビューやコメント、作為的なイメージ画像、ツアーのヒストリーや背景
などの挿入はいっさいなし。
ネイキッドな編集によって、実際にライヴ会場にいるような臨場感を醸しだしてる。
本来、ライヴ DVD っていうのはこうあるべきだと再認識させられた。

このような編集ができるのは(ていうか、編集してないんですが…)、
もちろんライヴ自体のクオリティが高いから。
H.K.B のプレイヤービリティの高さはハンパじゃないし、
なんといっても佐野さんのキャリアならではのセットリストに圧倒される。
  
曲のアレンジは、総じて、
The Heartland 時代から H.K.B まで変遷してきた各時代のヴァージョンをいいとこ取りして、
それをオリジナルのフォーマットにもう1度乗せたようなイメージ。
オールドファンはもちろん、コンピレーション盤しか聴いたことのないニューカマーも楽しめる構成だ。
 
オジさんバンドの中にあって、TT Sisters がステージに花を添えている。
バッキング・ヴォーカルはもちろんだけど、パーカッションでもガンバっていた。
とくに「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」でのタンバリンは存在感バツグン、
効果的ですばらしかった。
 
年齢的にかつてのがなり立てるようなヴォーカル・スタイルは望むべきもないが、
「僕は大人になった」的パフォーマンスでファンを魅了してくれる。
まるで、復活した The E Street Band を彷彿とさせるライヴ映像だった(て、そこまでオッサンじゃないですけど…)。
僕的には、「ストレンジ・デイズ」サイコーでした。
  


カフェに集う自由な魂

2006-10-16 09:23:53 | 佐野元春
佐野元春のオリジナル・アルバムの中で、
僕がもっとも好きな作品は『Café Bohemia』。
佐野さんがモダン・ミュージックへのコミットを高らかに宣言した作品と
僕は理解している。
ことし、発売20周年を迎えるらしい。
もうそんなに時が流れたのかと、ビックリしたりもしている。


The Essential Cafe Bohemia(DVD付) The Essential Café Bohemia (DVD 付)

 佐野 元春
 価格:¥ 5,250(税込)
 発売日:2006-12-06


12月6日発売予定のメモリアル盤
『The Essential Café Bohemia』は、2CD+1DVDというパッケージ。
僕はとくに、CDのDisc2を楽しみにしてる。
H.K.Bによって生まれ変わった「虹を追いかけて(2006 middle & mellow groove version)」や、
1989年に発売されたコンピレーション・アルバム『mf Various Artists Vol.1』に収められていた
"ブルー"というクレジットでの4作品がまちどおしい。


何かのインタビューで、佐野さんが、
今の40歳前後が『Café Bohemia』の直撃世代と
語っていた。
やはりあの時、僕はソウルを撃ち抜かれていたんだ!

答えはいつもミステリー

2006-09-02 08:46:00 | 佐野元春
Flamingo佐野元春の「ガラスのジェネレーション」のリリックに、こんな一節がある。

  Hello City Lights
  今夜ここで Get happy
  この街のクレイジー・プリティ・フラミンゴ
  答えはいつもミステリー



この“フラミンゴ”っていうフレーズは、
ブルース・スプリングスティーンの「 Jangleland 」で印象的にきこえる
“フラミンゴ通り”からのインスパイアだと思っていた。
ところが先日、嫁さんが消しゴムはんこでフラミンゴを彫ってるのをみて、ふとひらめいた。


そっか!フラミンゴの首の形状がクエスチョンマーク ―「?」コレですね― に似てるからだ。
だから、「答えはいつもミステリー」ってワケなんだ。

そういえば初期のライヴでは、この「答えはいつもミステリー」のラインで、
佐野さんが大きく指でクエスチョンマークを描いていた。

それに、アルバム『 SOMEDAY 』のフラミンゴのイラストはクチバシが左向き。
つまり、クエスチョンマーク向きになっている。


楽しい時

2006-07-24 08:49:28 | 佐野元春
Fun_timeLOCOTAN SELECTION 』(佐野元春編)の自作ライナーノーツ、
シリーズ第26弾。
今回は、「楽しい時」です。
 
佐野さんのポップな面が素直にでているナンバー。
でも、チョー楽天的かといわれれば「 No! 」で、
「うれしい」というリリックの対語として「せつない」という言葉が使われている。
曲の最後を飾るのも「せつない」という言葉。
  
いまの世の中、勇気をだしても伝えられないことの方が多い。
そして“楽しい時”も知らないうちに過ぎていく。
そういった日常の中で、どれだけ“楽しい時”を過ごしていくのか、
それが重要だということを歌っているような気がする。
考え過ぎか…?





楽しい時 -Fun Time-
アルバム『 FRUITS 』収録(1996年7月発売)

ご機嫌なポップスに仕上げられたこの作品は、
「ビートたけしの TV タックル」のエンディングテーマとして用いられた。
オリジナル・ヴァージョンはアルバム『 FRUITS 』に収録。
シングル・ヴァージョンは、アルバム・ヴァージョンで曲終了後に即興で演奏している
バンジョーのパートが省略されている。
またカップリングとして、千客万来ヴァージョンが収められている。