きらくなたてものや

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ザルの目を細かくするには

2009年05月23日 | 今日のできごと
先日、内装制限の緩和規定について
この場で触れましたが、

分からない点があったため、
手続きついでに、
某市の建築審査担当者に質問しました。

すると4月1日より
施行になった告示にもかかわらず、
その担当者および周りの方々も、
告示の存在自体を知らなかったようで、
慌てるように告示の内容を
確認していただきました。

今日のようなできごとは
別にめずらしいことではなく、
伝統構法で家づくりを進めようとすると
割とこういう場面に遭遇します。

ただ、今回新しく出た告示は
別に伝統構法に限らない、
広く適用されるであろう内容なので、
建築審査する方々にとっては既に
ご存じのことだと思っていました。

しかしこうしてご存じないということは、
建築審査を行う法規の番人側のほうで、
新しい法令や情報が出るたび、
会議なり講習会なりで、
事前に勉強する機会がないということが
あからさまとなりました。



数年前、建築業界を
震撼させる事件が起こり、
その対策として次々に、
建築法規が改正されましたが、

その内容はいずれも、
私たち建築士や施工者の意識向上と
そして負担を求めるものです。

建築業界不信を払拭するために、
必要な措置だと思いますが、

法規遵守の意識を求めていくのならば、
法改正と同時に、もう一つ、
すべきことがあるのではないかと思います。



ちなみにこの春、建築審査手数料が
約1.5倍に跳ね上がりました。

業界が背負う今の負担は、
結局、建主に行き着くばかりです。

石場立ての話を少し

2009年05月22日 | 鎌倉ほ邸
この前少し、
石場立ての話が出ました。

石場立てとは、
昔ながらの家に見られる
基礎の構法の一つで、
石の上に柱を載せ、
それを足固めや貫で
固めるという方法です。

え、柱を載っけるだけ?
とお思いの方も
いらっしゃるかもしれませんが、
家の床下の通気を存分に確保し、
足元の手入れがしやすく、
また地震が来た時、
地面からの揺れを吸収してくれるので、
ある意味では理に適った
構法といえます。

しかし今の時代、
法律でこの構法を
全面的に取り入れることは
極めて難しくなりました。

とはいえ私はときに、
この構法を部分的に
取り入れています。

例えば先日の話のように、
収納を宙に持ち上げて、
その下を地窓にしたり、
あるいは玄関で
靴箱を宙に浮かせて
靴箱の下の空間を使えるようにしたり、
いずれも何かを
「宙に浮かせる」場合に使います。

板壁工事始まる

2009年05月21日 | 鎌倉ほ邸
お隣との境の上に、
板塀を立てる工事が
始まりました。

現在鉄の支柱が立っていますが、
これを木で覆い、
それに板を打ち付けていきますので、
あたかも木の柱に支えられた
板塀といった感じになります。

塀の高さが2m近くとなり、
一方で通路幅が狭く、
控え壁を出せないので、
ここは鉄の力を
借りることにしました。


涼しさの仕掛け

2009年05月20日 | 茅ヶ崎あ邸
上棟前、木組みに塗った
柿渋の斑を補修するため、
茅ヶ崎あ邸の現場に行きました。

初夏の暑い陽気でしたが、
土壁で覆われた家の中は、
涼しい海風が流れ、
爽やかな心地でした。

熱い夏家の中を涼しくするためには、
熱を遮る土壁だけではなく、
風の流れも大切ですね。

と申しますのも土壁の家は、
夏涼しいという評価がありますが、
外気の温度変化に対して
家の中をやわらかく包んでくれる一方、
じっくり時間をかけて
熱を蓄えてしまうという
性質もあります。

だから、
涼しい風が流れる朝と夜に風を取り入れ、
また熱い空気を外に逃がす
仕掛けが必要なのです。

この家では、
その仕掛けの一つとして、
寝室の二間分ある収納を石場立て風とし、
その下に地窓を設けました。
こうすることで防犯に配慮しつつ、
朝夜二間分の風を
部屋に取り入れることができます。

またこの部屋の南面にある
大きな掃き出し窓には、
鍵付き無双窓付きの
木戸が閉まるようにしました。

石場立て、地窓、無双窓…、
いずれも昔ながらの家に仕掛けられた
装置の応用ですね。

木を見て

2009年05月19日 | 横浜栄こ邸
横浜栄こ邸では、
基本的に桧普請の家。

今材木屋に
どんな桧があるか、
確認してきました。

木は生き物、
全て規格化された
工業製品ではありませんので、

今使える木を見て
改めて計画を考える、
そんな設計の仕方も、
あると思うのです。

タペストリ

2009年05月18日 | 鎌倉ほ邸
タペストリというと
普通想像するのは、
絵柄の入った
つづれ織りのほうだと思いますが、

ガラスの世界にも、
タペストリ加工というものがあります。

昔の摺りガラスのような風合い。

視線を遮りつつ、
障子のように光を通す
その柔らかい雰囲気が好きで、
建具でも嵌め殺しでもサッシでも、
よく使うガラスです。




建築士に問われる能力の一つ

2009年05月12日 | 今日のできごと
今年4月より、
台所とか薪ストーブとか、
火を使う部屋の内装制限が
緩和される告示が施行となりました。

木の建築の設計者として、
よかったよかった、と思って、
条文を読んでみたのですが、
一回読んだだけでは
さっぱり理解できません。

建築に関する法令は、
こうして難解なことが多く、
私たちにはもう一つ、
高度な国語の読解能力が
問われているのです。

例えばその「内装制限」に関する条文。
ここをクリックして、
一番下の第4項を読んでみてください。

建築に限らず、
法律って、こんなもんなのですかね。

しかし、しかめっ面した文体より、
誰もが理解できる表現のほうが
少なくとも周知は早いと思うんですけどね。

せめて今回の話は、
図を添えてくれないかなー。

管理建築士講習会参加

2009年05月11日 | 今日のできごと
今日から世間も私も
本格的に業務再開。

私はというと丸一日、
管理建築士講習会
参加してきました。

管理建築士講習とは、
建築士の不祥事が明るみになった
昨今の社会問題を受けて、
設計事務所を管理する建築士の
意識と技量を高めるため、
昨年末から始まった制度です。

内容は、
建築士法のこととか、品質管理のこととか、
事務所経営のこととか、危機管理のこととか、
正直普段私たちにとって
関心の優先順位が薄い、
あるいは苦手とする分野ばかりで、
とても勉強になりました。

一方で建築やまちに対する想いだけではなく、
こうしたことへの意識が必須ともいえる現在、
時代もこれから建てられる建物も、
成熟に向かうのだな、と思いました。

しかし久しぶりの授業は、
連休明けの身体と頭に応えました。
フリスク忍ばせておいてよかった!