「オンボロ馬車と原子力発電所」
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆれ~るよ
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆく~よ
大きな広い荒野を ガタコトピッシャン 走ってく
オンボロ馬車 オンボロ馬車 走れば走れば ますますオンボロ
オンボロ馬車 オンボロ馬車 もともとオンボロだったのか
オンボロ馬車 オンボロ馬車 走れば走れば ますますオンボロ
オンボロ馬車 オンボロ馬車 はじめはピカピカだったのか
そんなの知らない とにかく走れ ガタコトガタコトピッシャンシャン
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆれ~るよ
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆく~よ
大きな広い荒野を ガタコトピッシャン 大丈夫?
大きなお空の端から端を お日様とお月様は幾千万回まわったの?
車輪はガタガタ 今にも外れそう 幌はペシャンコ 穴だらけ
オンボロ馬車 オンボロ馬車 それでも走るよ ガタコトピッシャン
オンボロ馬車 オンボロ馬車 走るしかないの ガタコトピッシャン
日照りの中を 雨の中を 風の中を 雪の中を
暑さに焼け ドシャ降りに沈み 空に飛ばされ 零下に凍え
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆれ~るよ
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆく~よ
大きな広い荒野を ガタコトピッシャン ひた走る
大きなお空の端から端を お日様とお月様は幾千万回まわったの?
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆれ~るよ
オンボロ馬車 オンボロ馬車 ガタコトピッシャン ゆく~よ
ある時
とっくの昔に自分が死んでる事に 馬が気づいたので
オンボロ馬車は倒れてバラバラになり灰になって消えました
御者も幌の中の乗客もおりませんでした
それどころか
オンボロ馬車が走っていた 大きな広い荒野には
生き物はいませんでした
ずっと ずっと 幾千万年も前からです
じゃあ
オンボロ馬車をひいてたのは
なに?
オンボロ馬車が走っていた 大きな広い荒野を
幾千万年も前から 私たちはずっと 見ています
幾千万年も前に 私たちはとっくに 死んでます
それでも ぐつぐつ煮立って
ゆっくりと 瞬きしながら 見ています
おしまい
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)