「かみかぜJAPAN!」
暑い暑い夏が来て、kipple家では早々と主のkippleが夏バテで寝込み、
“ばかやろう、みんな勘違いしてやがる!おめぇーら、みんな、3月11日に死んでるんだぜぇ!生きてるって勘違いしてるだけだぁ!とっくに死んでるんだよ!早く気づいて成仏しやがれぇ!”
などと、不気味なうわ言を繰り返しており、嫌な感じの気怠い節電の灼熱地獄が続いておりました。
そんなある日の七月十八日の事でございます。
なっち
「ねぇ!3・11の地震で地球の自転が早くなったんだってさ!するとね!すると、地球は公転から外れて流れ星になっちゃうんだって!」
ぴっぷる
「にゃあ、風力発電にすると低周波で地震を誘発しやすくにゃり、地軸が曲がるって知り合いの猫が言ってたにょ」
なまけたろう
「甘いなぁ・・・君たち、そんな遠い先の話ばかり・・・。ふっ。いいかい、地球科学の調査によるとね、もう大地殻変動は始まってるんだよ。この間の東北震災は地球上の全プレートに影響を及ぼし、ズタズタに亀裂が入ってるんだ。3・11なんて、ほんの序曲の序曲に過ぎないんだよ。」
なっち
「なによ!じゃあ、すぐにも何か起こるって言うの?言ってみなさいよ!具体的に!」
なまけたろう
「富士山。ぼくの背中の備長炭が感知したところによるとね、日本各地で異常現象が起きててね、急に温泉が湧き出たり、出なくなったり、色が不気味に変色してたりとかね。ずばっと一言でいうとね。9月に富士山が噴火するって。」
なっち
「はぁ~ぁ。。。。。。。」
ぴっぷる
「にゃぁ~ぁ。。。。。。。」
なまけたろう
「いや、ね、そのぅ農産物や海産物や牛肉とかだけじゃなくて、もっともっと微生物も被爆してるから生態系全体の大問題でね。。。そのぅ続々と奇形生物とか。。。病原体なんかも。。。」
なっち
「はぁぁぁぁ~~~・・・。。。」
ぴっぷる
「にゃぁ・・・ぁ・・・ぁ・・・。。。」
なまけたろう
「・・・いや、そのぅ・・・何か良いニュースないかなぁ。。。はぁ~・・・。」
と、その時、すでに夏バテで死にかけていたkippleが、ガバッと起き上ったのです。
kipple
「みんな!一緒に叫ぶんだぁ!ニイタカヤマノボレ!とぉ!御一緒にぃ!せぇ~の!」
なっち&ぴっぷる&なまけたろう&kipple
「ニイタカヤマノボレ!
ニイタカヤマノボレ!」
kipple
「うっしゃぁー!そこのアナログTVをつけろい!」
なっち&ぴっぷる&なまけたろう
「えぇぇー!節電はいいのー!?電気代ヤバいよー!」
kipple
「かまわん!どーせ来週から地デジとかやらで見れんのじゃぁ!死んだ気になってつけろい!」
TV
「なでしこジャパン!やりましたぁ!強豪アメリカを征し、世界一ですぅぅう~!」
なっち&ぴっぷる&なまけたろう&kipple
「うわきゃぁぁぁああああ~っ!」
なっち&ぴっぷる&なまけたろう&kipple
「ばんざーい!ばんざぁ~い!ばぁんざぁぁぁ~いっ!」
なっち
「これは神風よ!」
ぴっぷる
「ドイツも応援してくれてたんだにゃー!」
なまけたろう
「ほぉ、じゃ今度はイタ公抜きでドイツと二国同盟でさきの大戦の恨みを晴らしますか。広島長崎平和祈念式典もそろそろですしね。おぼえとけ、アメ公」
kipple
「うぅ!ありがとう!なでしこジャパン!
あっしには、あんたらがまるで天照大神に見えたぜぇ!
これは神風だぁ!さぁ!この神風に乗るんだ!日本!
さぁ!行こうぜ!ドイツ!このままアメリカに攻め込むぞー!
今度はワシントンに福島原発丸ごと御見舞いしてやるぜぇ!
とっかぁ~ん!すすめぇー!トテチテター! 」
かくして、本日、七月十八日、kipple家に久しぶりの笑顔と気合が戻ったのでございました。
なっちが、ふと、ぼんやり輝く夏空を仰ぎ見た時、ドイツ方面から微かな風を感じました。
微かな風は、なっちの頬をかすめ、裏窓に垂れ下がったヒビだらけのガラス風鈴を
“チン”
と鳴らしました。
終
This novel was written by kipple
(これは小説なり。フィクションなり。妄想なり。)