「第53回西部伝統工芸展」にも出品
2018年6月5日(火)~10日(日)にかけて、福岡三越9階ギャラリーで「第53回西部伝統工芸展」が行なわれました。
会場には、陶芸・染織・漆芸・金工・木材工・人形・諸工芸部門が展示されていました。
人形部門では、博多市長賞を受けた、石田哲志(いしださとし)さんの作品が展示。
若手の博多人形師・石田さんは、人形の作品とも関連のある「きものの着付け」、とりわけ「歌舞伎や日本舞踊の衣裳の着付け」を学んで来られました。
衣裳の着付けの中の構造や、衣裳の決まりごとを学んできた石田さん。
その彼が、人形師として、福岡市長賞という形で評価された事は、「きつけ塾いちき」で学ぶ仲間として、この上ない喜びです。
今後のご活躍をみんなで祈っています。
写真は、博多人形師・石田哲志さんの作品。(福岡市長賞、陶胎彩色「縁側」)
18年前の着付け忘れず➠もう一度基本から…
今日からお稽古を始めた高木さんは、若い頃(失礼)に…とある「有名着付け教室」で資格を取られたほどの方。
18年振りに着てもらうと、忘れずに着付けていらっしゃいました。
目指すは「花嫁の着付け」ですが、ご本人の要望で、「もう一度基本から学びたい」とのこと。
そのために自装の講座からスタートすることになったわけです。
講師との信頼関係こそ、早期習得のカギ
もともと、つちかったものがあるだけに、またたく間に習得されることでしょう。
ただし、これまでの技術は少し脇において、真っ白な状態で学ぶことが大切です。
指導を任された講師と、学ぶ生徒さんとの信頼関係が有れば、技術を手にすることは容易だと思われます。
私たちも、高木さんの能力を、最大限引き出す指導をしてまいります。
第一回目の教室の感想をお聞きすると、「思い出しながら…楽しい教室です」とのことでした。
のべ41人分の補整、16種類113枚、今からアイロン掛けだア
6月10日に行われた「吾妻流、寿賀穂の会」の着付けで使った補整たち。
全て手作りのものですが、着付けの現場から帰ってきましたよ。
帰ってきたのは、16種類、113枚の補整たちです。
着付けでは、京都の衣裳屋さんの物も使わせて頂きましたので、130枚を超える補整を使った勘定になります。
20年前の真っ白な補整は、私たちの宝物で、誇りです。
日本舞踊では、顔師の方がメイクをしますし、紅も塗ります。
口紅やファンデーション、汗でびっしょりぬれた補整は、踊り手さんが舞台でがんばった証しです。
私たち衣裳方は、このシミと汗を抜き、元通りに戻して、次の舞台に備えます。
補整には番号を付けてあります。
若い番号の補整は20年以上前のもので、今でも真っ白。
着付けの技術は未熟ですが、この真っ白の補整が、踊り手さんに対する思いであり、私たちの唯一の誇りです。
これからの季節、舞台でびしょびしょに濡らして、「濡らしてごめんなさい」と言われることがありますが大丈夫です。
その補整は、舞台でがんばって頂くために用意してきたものですから…ご心配には及びません。
シミを抜き、クリーニングをして、乾燥させ、アイロンをしっかりかけて、次の舞台に臨みます。
直接肌身につける補整。踊られた方の補整を洗わずに、汗やにおいを残したまま、別の方に使うことは絶対にありません。
数えてみると、行方不明になる物もあります。捜索願いを出すときもありますが、めげずに作り直します。
衣裳方にとって、補整は宝物。
宝物を縫製しているのは、事務所のきもの仕立ての担当。
出来上がってから後の管理は、着付け40年のベテラン講師。…安心して任せておける蔵番です。
補整を毎回洗っているの?全国であなたのところだけよ…
5年ほど前に、日本舞踊のイベントをされている関東の女性の社長さんが、補整をクリーニングしてアイロン掛けしているのを見て…
「補整を毎回洗っているの?。そんなことまでしているのは、全国であなたの所だけでしょうね。」とおっしゃっていました。
「きれいな補整を身につけてもらおうと思って…」と応えたのを思い出します。
6月13日(水)から3日間、二会場で六講座を開催!
「きつけ塾いちき」は、来る6月13日(水)、14日(木)の二日間が、「ももち文化センター」(福岡市早良区)で四講座。
15日(金)は「KMMビル」(北九州市小倉北区、小倉新幹線口)で二講座開催します。
「日本舞踊の着付け」と、「振袖の専門着付け」が主な内容です。
当日は、四名の担当講師が、指導を承ります。
福岡でお会いしませんか。見学は自由です。
この講座には、熊本・佐賀、山口、島根、岡山など、福岡県外からもお越しになっています。
講座の見学は自由です。楽しい着付け講座でお会いしましょう。
個人で参考にされる限り、写真や動画の撮影もOKです。
お問合せは、090-4489-9745 いちき まで
男性並みに…より効果的な方法を
私たち「きつけ塾いちき」の衣裳方の力量は、極めて未熟です。
一般に、歌舞伎衣裳や日本舞踊の着付けにたずさわるものは、昔から男性でした。
重たい衣裳だからこそ、腰紐も帯も、しっかり結ばないと落ちてきます。
課題は、…非力な女性の力で、男性並みの効果を出す方法はないか。
考えられるのは、
①手法(技術)として、別な方法をあみ出せないか。
②道具を考え出して、男性と同じ効果を出せないか。
そしていくつかの手法や道具を考えてきました。
それが、振袖の着付けなどにも応用されて、力で締めないで締まる方法や、便利なアイテムになってきつつあります。
いちきさん、着付けが進化してるわね!
先日の「寿賀穂の会…心あわせて」の舞台裏で、髪を結っていた美容師さんが、「いちきさん、以前会った時と比べて、着付けが進化しているわね…」と言われました。
彼女は、東京で衣裳方の修行をしたこともあるとかで、分かって頂いたみたいです。
最初に書きましたが、私たちは学院開校40年。かなり未熟なプロ集団です。
少しでも「着付け」と「演目」、「時代考証」をお勉強しながら、新たな技術の開拓も怠るわけにはいきません。
先日の美容師さんの「進化してるわね」という言葉にも励まされ、少しでも進歩できるように、がんばらなければと思うのです。
のべ41名が、古典・新舞踊、27演目を熱演…拍手や歓声
6月10日(日)11時10分から、「第7回チャリティー公演、寿賀穂の会…心あわせて」の幕があきました。
会場は満席で、古典・新舞踊など27演目が披露されました。
舞台裏では、顔師さんやカツラ屋さん、美容師さんなどが、それぞれのパートを担って、表舞台の成功のためにがんばっていらっしゃいました。
「きつけ塾いちき」の衣裳方も、番組が遅れることのないように、着付けていきました。
この舞踊の会には、「きつけ塾いちき」の9名の衣裳方が参加いたしました。
その中には、熊本の衣裳方・守田さんも応援に来て頂きました。
「寿賀穂の会」の幕〆は、会主・吾妻寿賀穂先生と、友情出演の吾妻典紀代先生の、「都風流」で、観客席からは大きな拍手と歓声を受けていました。
今回も「きつけ塾いちき」は、衣裳の着付けを担当させて頂きました。
寿賀穂先生、典紀代先生、ご一門の皆さま、本当にありがとうございました。