KIMISTEVA@DEEP

新たな「現実」を構成するサブカルチャー研究者kimistevaのブログ

鍵盤を駆けるやわらかな白い手

2006-02-25 00:07:46 | 研究
わからない方のために解説。
このタイトルは、サドナウ『鍵盤を駆ける手―現象学的ジャズピアノ入門』のパロディです。
人類学者であるサドナウ自身がジャズピアノを学習し、
ジャズピアノに熟達するまでの過程で生じた自分自身の変化を、明晰に記述した名著です。
…この著者は、一人称による自分の経験の記述が、何よりも忠実に「学習」の事実を、世界の「現実」が変容するその瞬間を伝えるのだということを、教えてくれる。
そういう意味では、わたしの研究の道標となった本ですね。…一人称で伝えられるべき事実があること、…「学習」という現象のある側面は一人称でなければ捉らえないものであるということを教えられました。


今回の記事は、「鍵盤を駆けるやわらかな白い手―現象学的ツンデレ入門」ということでお送りいたします。ツンデレであろうとし、ツンデレをまなざしを引き受けた結果をここに記しておきたいと思います。

…そんなわけで、『ツンデレ大全』を読み終えたわけですが、その後が大変でした。
ここ五年くらいなかったくらいの激しい胃痛に襲われました。
今日食べたグラノーラの牛乳がいけなかったのかと、賞味期限を確認しましたが、賞味期限は四日後。原因は牛乳ではなさそうです。
…とすると、やはり原因はツンデレか…と思いつつ、病院へ行ったところ、神経性胃炎と脱水症状を併発しているとのこと。
…結局、点滴うって、胃薬もらって帰ってきましたが、未だに、精神的ショックは残されたままです。


ツンデレです!
ツンデレによって、胃炎が生じたのです!
…ツンデレは身体を破壊する!…あまりにも残酷な真実でした。

このブログで、何度も繰り返している言葉を再びわたしは思い出しました。
「妄想は人間が生きるために必要不可欠だ。…しかし妄想は悪だ。」

ヒトラーの「清浄化」への強迫的なまでの渇望と、「清く」「正しい」世界という妄想が、ホロコーストの惨劇を生み、ユダヤの人々や身体障害者・知的障害者、セクシャルマイノリティーの人々が果てしなく深いキズをおい、死を与儀なくされたように。…やはり妄想は悪なのです。

だけど、私たちは物語を持たなければ生きていけない。
J.S.ブルーナーが明らかにしているように、過去のキズを乗り越え、将来へ向けて私たちが生きていくことができるのは、私たちが過去や未来の物語を紡ぎ、妄想ともいえる一つの世界を描き出すことができるからなのです。

ツンデレも然別。
わたしは、ツンデレを語り、ツンデレに一つの理想的世界を描き出すコミュニティにとって「他者」でしかない。わたしはまなざされる対象にはなりえても、ツンデレを語るコミュニティの内部でその理想的な世界(妄想)を共有することはできない。
だからこそ、その妄想をまるごと引き受けようとすると、大きなキズをおってしまう。わたし自身の存在を消去しようとする暴力的なまでの妄想の力に身を曝され、自身の身体は崩壊へと向かう。

しかし、『ツンデレ大全』で描かれる世界を共有する人々にとっての、その理想的世界は非常にピュアでロマンチックだ。…あまりにも純粋で、あまりにもストレートで…だからこそ、こんなにもわたしをキズつける。

「オフィーリア・カルト」のことを思い出した。そして、『ハムレット』のオフィーリアと同様、「聖女」であろうとした中世の女性たちのことを。
彼女たちはキリスト教的なまなざしによって形成された女性像に住み着くことによって、拒食症になり、自殺していった。

妄想は人を殺すのだ。


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2 コメント

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甘寧一番乗り! (江國龍雄)
2006-02-25 00:44:31
はい、初コメントです。自分で言うとアレですね。

一番乗りといえば甘寧です。自分で大将軍とか言うのどうなんだろ。

わからない人ごめんなさい。



まあ、それはともかくとして、ツンデレお疲れ様。なんでそんなことしようとしてたのかは未だに謎ですが。



Kimistevaさんも、妄想はほどほどにね。
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コメントありがとう (kimisteva)
2006-02-25 00:57:18
>江國龍雄様

コメント、ありがとうございます。どうもどうも。



ツンデレは…もともとは、新動物占いの結果見て、「わたしってもしかして、ツンデレ!?」と思ったのが始まりなんですけどね(汗)



妄想なんてしてませんよー。

ヤオイ読みは非常に高い必然性をもってに行ってますから。

てか、ハサミが悪い。ハサミがっっ!あと、男子寮が悪い。男子寮がっっ!
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