それは、いつもの通りに始まったはずの一日だったんです。
朝8時に目が覚めて…、大学に行かなきゃ…って思って、
朝ご飯にグレープフルーツを食べよう…って、台所に向かう。
白いまな板の上にグレープフルーツを置いて、
いつも使っている果物ナイフで、グレープフルーツを真っ二つに切る。
でも切り終わったとき、ちょっと変だな…って思いました。
なんか、2mm四方の赤い物体がグレープフルーツの中から出てきて、
まな板の上に転がってるんです。
初めは、「グレープフルーツの種かしら?」なーんて思って拾い上げてみると、その赤い物体は種にしてはあまりに柔らかい。
なんか、液体のようなものがたれてくるし、なんだかわかりませんでした。
「なにこれ?」
不思議に思いながらも、まな板を片づけようとすると、
まな板はすぐに真っ赤に染まっていく。白いまな板は、1分たらずで真っ赤になる。
「え?」
…と思って、自分の親指を見ました。
「…ない!」
そう。ないんです。親指の先。先端部分の1/4がきれいに欠けている。まるで彫刻刀で削り取ったみたいに直角に切り取られている。
よく見ると、「切り取られている」のではなかったらしい。
その部分は内側にぺろんと折れ曲がっていて、わたしからはそれが見えなかっただけ。皮一枚でつながっているようでした。
すると、気付いたとたんにものすごい激痛が走りました。
とにかく痛い。
今までまったく痛覚がなかったのは、いったいなんだったんだ?という感じ。
無理矢理パズルのようにもとの形に戻してみるものの、すぐにぺろんと落ちてしまう、わたしの(ものであるはずの)指先。
もうこうなってくると、わたしの身体なんてものには見えなくなってきます。
ただの肉だよ、肉!
人間の肉って食べてもおいしくなさそうだなぁ。
それとも、指先だからかなぁ。…などとおもいながら、一生懸命ばんそうこう5枚つかって、もとの形に修復しました。
…結局、整形外科に行ったら「あー。こりゃダメだね。死んでる。」って言って切り取られたけど。
わたしの身体の一部はこうして、わたしでないものになりました。
切り取られたあとは、ゴミになりました。
あれってどう分類されるのかな?「燃えるゴミ」なのかな?「燃えないゴミ」なのかな?それとも「医療ゴミ」なのかなぁ?
そんなことばかりを考えます。
今、わたしの一部は欠けたままです。
直角に切り取られたまま、わたしが自分自身の力で修復するのを、ただただ、待っています。
朝8時に目が覚めて…、大学に行かなきゃ…って思って、
朝ご飯にグレープフルーツを食べよう…って、台所に向かう。
白いまな板の上にグレープフルーツを置いて、
いつも使っている果物ナイフで、グレープフルーツを真っ二つに切る。
でも切り終わったとき、ちょっと変だな…って思いました。
なんか、2mm四方の赤い物体がグレープフルーツの中から出てきて、
まな板の上に転がってるんです。
初めは、「グレープフルーツの種かしら?」なーんて思って拾い上げてみると、その赤い物体は種にしてはあまりに柔らかい。
なんか、液体のようなものがたれてくるし、なんだかわかりませんでした。
「なにこれ?」
不思議に思いながらも、まな板を片づけようとすると、
まな板はすぐに真っ赤に染まっていく。白いまな板は、1分たらずで真っ赤になる。
「え?」
…と思って、自分の親指を見ました。
「…ない!」
そう。ないんです。親指の先。先端部分の1/4がきれいに欠けている。まるで彫刻刀で削り取ったみたいに直角に切り取られている。
よく見ると、「切り取られている」のではなかったらしい。
その部分は内側にぺろんと折れ曲がっていて、わたしからはそれが見えなかっただけ。皮一枚でつながっているようでした。
すると、気付いたとたんにものすごい激痛が走りました。
とにかく痛い。
今までまったく痛覚がなかったのは、いったいなんだったんだ?という感じ。
無理矢理パズルのようにもとの形に戻してみるものの、すぐにぺろんと落ちてしまう、わたしの(ものであるはずの)指先。
もうこうなってくると、わたしの身体なんてものには見えなくなってきます。
ただの肉だよ、肉!
人間の肉って食べてもおいしくなさそうだなぁ。
それとも、指先だからかなぁ。…などとおもいながら、一生懸命ばんそうこう5枚つかって、もとの形に修復しました。
…結局、整形外科に行ったら「あー。こりゃダメだね。死んでる。」って言って切り取られたけど。
わたしの身体の一部はこうして、わたしでないものになりました。
切り取られたあとは、ゴミになりました。
あれってどう分類されるのかな?「燃えるゴミ」なのかな?「燃えないゴミ」なのかな?それとも「医療ゴミ」なのかなぁ?
そんなことばかりを考えます。
今、わたしの一部は欠けたままです。
直角に切り取られたまま、わたしが自分自身の力で修復するのを、ただただ、待っています。