鎌倉時代と言えば13世紀から14世紀にまたがった時代ですが、その後半、アジアにモンゴルが勃興しました。イナゴの大群が発生したようでものすごい勢いで東ヨーロッパを侵すほどの広がりをみせました。現在のウクライナがある地域も食い荒らしました。
その拡大の勢いは信じられない動きでした。長い間におこる大波でしょうか。大きな流れでしょうか、個人的努力ではなく、集団エネルギーの爆発です。
現在アジア大陸に起こったイナゴの大群も、一見、プーチンロシア大統領やシーチンピン中国主席やキムジョンウン朝鮮(北)将軍の個人的異常行動で起こっているように見えますが、実は人民のエネルギーが、お互いの羽音に共鳴し、興奮し、イナゴの大群の襲来が発生するように、不思議な大波、大きな流れをつくっているような気がします。
先進国に後れをとっていた彼らの心には先進国に対する競争意欲、拡大意欲、攻撃意欲が静かに育ち、爆発の時を待っていたのでしょう。その静的エネルギーに方向を与え、動的エネルギーに変えているのがプーチン大統領らなのでしょう。
したがってヨーロッパがロシア・中国・朝鮮を脅威に感じ、NATO強化を真剣に考えるのは理解できます。
同じく鎌倉時代モンゴルの襲来を経験した日本も、当時の幕府や人々と同じように中国・朝鮮・ロシアの脅威を感じるのは当然のことと思います。
これは現代教養では理解できない情動(イモーション)です。ロシアの教養人は早めに国外に逃亡しました。しかし大半のロシア人はロシアのウクライナ戦争に疑問をいだいていません。中国人だって戦争で台湾を統合することに賛成でしょう。南シナ海・東シナ海利権拡大は彼らの心情を満たす国の行動と思います。朝鮮人だって戦争で韓国を統一することを待ち焦がれているでしょう。日本に痛打を与えれば気分爽快でしょう。
しかし歴史が証明しているようにイナゴの大群の襲来には終わりがきます。モンゴル帝国も消滅しました。中国に成立した清も、19世紀には見る影もなく、ヨーロッパ諸国や日本にいじくりまわされました。
かつてのモンゴルの襲来は鎌倉幕府は地政学的に防ぐことができました。モンゴルの脅威に奮起して立ち向かった鎌倉武士の奮戦もすごかったが、大暴風雨も神秘的でした。仮にモンゴルが日本征服に成功しても、その情動に終わりがくると脆いもので、モンゴルの影は消滅します。
近世、ヨーロッパの帝国主義で侵されてきたアフリカ、アジア、南アメリカなどもヨーロッパ諸国の影はどんどん消えてきました。昨年ニジェールからフランスが消えたことは記憶に新しいことです。
イナゴの大群に枝葉を食いつくされても根幹や種を残すことがだいじとわかります。つまり、根幹や種まで消える防衛はやってはいけないことがわかります。もっと賢いのは、スイス、アイルランド、デンマークなどのように枝葉まで残す深謀遠慮ではないでしょうか。