現代は戦争の時代です。中国の台湾戦争のおこる確率は高くなっています。そんな世界で国が平和を保つ方法はないものでしょうか。そのヒントとして鎌倉時代の仏教団体に注目しています。
武士は一所懸命になって所有地拡大に務めていました。軍事力の大きさが重要でした。血筋、力関係、対立関係などで上下関係ができ、また敵味方に分かれました。戦争で土地を争うことはしょっちゅうで、武士は軍事力を上げる工夫努力をしていました。
このような戦争の時代、鎌倉新仏教団体は概して平和を保ち、公家、武士、農民、商工業者に幅広く布教し、信者を増やしていきました。
護国をうたって権力者に接近し、保護と統制を受けながら発展したのは臨済宗で、有名な寺は建仁寺(京都)、円覚寺と建長寺(鎌倉)です。座禅、公案(師が問題を出し、弟子が答える方法で弟子は悟る)が特徴で上級武士が信者になりました。臨済宗は天台宗と違って僧兵をかかえることはなく、武士の敵ではありませんでした。権力者に接近したが、別に戦略戦術を教えた訳ではなく、平安や悟りを重んじました。内心穏やかでなかった武士は、不動、冷静を臨済宗で学んだのではないでしょうか。権力者は臨済宗を保護しました。
権力者に接近しなかったが、座禅による悟りを重視し、地方武士、農民に信者を増やしたのは曹洞宗です。開祖道元は鎌倉に一度行ったことがあるが、幕府との関係形成はうまくい行かなかったようで、道々、地方の生活水準改善に貢献したとの事績が伝えられています。その後も曹洞宗の僧は農業の改善などに貢献し、地方寺がたくさんできました。権力者に敵対することなく共存していました。
激しい幕府批判を行って迫害されたのは日蓮宗です。南無妙法蓮華経と唱和すると救われる、救えるとの庶民的教えで、下級武士、商工業者に受けたようです。
他力本願的宗教は、浄土宗、浄土真宗、時宗です。阿弥陀仏信仰です。阿弥陀仏はキリスト教の神の仏教版というべき存在で、阿弥陀仏の本願で人は救われる、したがって南無阿弥陀仏と称号するだけでいいと教えました。むずかしい漢文の経典を学ぶ必要もなく、広く公家、武士、農民に流布しました。浄土真宗は下層農民まで、時宗に至っては最初は浮浪人も布教の対象にしていたそうです。これらの宗教も権力者に敵対せず、平和的に共存していました。なお、浄土宗の法然は旧仏教の迫害で讃岐に配流されたがすぐ許されました。法然に連座して越後に配流された親鸞(浄土真宗の開祖)は4年後に釈放されました。武士から迫害された訳ではありません。
当時の宗教団体は学校のような機能も持ち、生活、産業に関する知識を持っていたと思います。武士にとってはこれらの知識も有益と評価されていたのではないでしょうか。
仏教団体は武士の支配について厳しく批判しない限り、敵として迫害されることはありませんでした。反対に武士は仏教団体が役立つ面に注目し、自分の不動、冷静、知識に活かしていたと言えます。
これを現代の戦争の時代に応用すると、日本が、平和主義に徹し、ひたすら生活改善、産業改善に注力するなら、アメリカ、中国、ロシアなどの軍事力強大国は、日本に統制を加えてくるかもしれませんが、戦争をしかけてくることはないと思います。日本は役立つと考え、その平和主義を認め、共存すると思います。
中国やロシアが日本の脅威になる原因は、アメリカとの同盟にあると思います。アメリカが中国やロシアと対立、対決するからだと思います。
中国やロシアの不法は、現時点では国連が対策を考え、国連が対策を実行すべきです。実行不可能な場合は、世界の人々が国をこえて世界的議論を行い、世界に通用する法を確立、次に司法について議論を行い、世界に通用する司法機関を設立することが望ましいと思います。十分時間をかける必要があると思います。
急いで、民主主義国連合軍を設け、中国・ロシア連合軍と戦争して勝ち、世界を民主主義国世界にする方法は、世界を廃墟にすると思います。焦りは危険です。
鎌倉時代の仏教団体の武士に対する対応は、日本のような憲法で戦争放棄をうたっている平和主義国がいかに軍事力強大国に対応すべきか教えていると思います。