こんにちは。代表の野村です。
春は、切り替わりの、なんだかしみじみとしたことが色々ある季節です。
ある時、男性の方からFacebookの受信箱に「捕獲機を貸してください」との問い合わせをいただきました。
プロフィール写真を拝見すると、見た感じ素敵なイタリアンオヤジさんのようなオシャレな方です。
まさかこんな人は虐待を趣味とするほど暇じゃないよな~、と貸し出しを了解しました。
そして捕獲機を取りに来たご本人を見て仰天してしまいました。
LEONかsafariから出てきたような素敵なスーツでキューリグの前に立ち、そして、ボロッボロで錆だらけの、お店の前に置きっぱなしの捕獲機を持っていこうとされるので、
あららら、お洋服が汚れますよ!と言いましたが、大丈夫です大丈夫です、と持っていかれました。
奇特な方もおられるんだな~と感心しながら、頂いた名刺をみると、岩〇屋〇越なんたらかんたら取締役、と書いてあったので
さらに(@_@)びっくりしてしまいました。
そんなお仕事をされている方はお忙しいでしょうし、そんなことに心を砕くなんて思ってもみなかったのです。
いつぞやお店のスタッフに聞いた話で、どこかの国のお金持ち達がクルーザーに乗り込み、
殺処分前の犬や猫達を餌にしてサメを釣っている映像を見たという話を聞いて、
堪え切れない程の憤りを感じ、お金がある人ってそんなことするの?お金持ち=動物保護なんかしない、と思っていました。
そして程なく、「無事に一匹目の捕獲、去勢(女の子かと思っていたらオスでした)が終わり、昨日の朝、リリースしました。
次のさくらねこ動物病院の予約が2月26日にとれました。それまで捕獲機はお借りしていて大丈夫でしょうか?貸し出しのご予定があるなら、すぐご返却に伺います。」
とこれまた紳士なメッセージを頂きました。
【捕獲成功した男の子"ゆずちゃん”】
【2/26不妊手術成功の子】
その後、数匹TNRを終わらせ、ボロッボロな捕獲機がデパ地下の有名お菓子とともに返却されました。
その後も「野村さん、ご無沙汰してます。簀子公園で子猫が5匹生まれ、更に新参猫が増えてます。なので、夕方にはまた集中的にTNRしたいのですが、捕獲器お借りできますか?」
と、常に地域の猫のパトロールとTNRに余念が無いご様子です。
その次に捕獲機を借りに来られた時はさらに驚きました。
よくあの角を曲がってこれましたね!と驚くほど大きな真っ白なBMWがキューリグの前に止まり、
80円のから揚げが人気のお隣の居酒屋「はちまる」から出てきた男子たちが、口を半開きにしてその車を凝視していました。
そこから、かの取締役さまと、これまた上質なカジュアルがお似合いの素敵な奥様が出てこられて、
またボロッボロな捕獲機をバックシート(@_@)にのせ、「お借りしま~す」と
走り去っていきました。
あの人、何者?的な空気が流れ、私はあの方々のお知り合いなんです~、という優越感を一方的に振りまき、笑顔でお店に戻りました。
【この「ぼんちゃん」そっくりなこの子も、リリース3時間後にはご飯を食べに来てくれたとのことです】
その後も、何度か捕獲機の貸し借りがあり、数か月もたったある日の事、
19歳の飼いネコちゃんが腎不全のため他界した、とのお知らせを頂きました。
さぞ幸せな猫ちゃんだったに違いありません。
いつもお別れをしている火葬業者さんを尋ねられましたので、愛情ペットセレモニーさんを紹介しました。
そして先日、紹介いただいたお礼と4月から東京勤務になるお別れのメッセージを頂きました。
そして、せっかくなので腎不全だった子が最後まで使い切れなかったものをキューリグで役立ててほしいと、
すでに移動された東京のご自宅から宅急便でお送りくださいました。
東京六本木の高級マンションの19階にお住いの様です。(@_@)
その「使い切れなかったもの」は、イヴ・サンローランの袋に入っておりました。
ここで私だったらUNICLOの袋とかになるんだろうな~、と微笑しつつ、
その爽やかで素敵な対応と、
人間レイヤーケーキの上層部におられながらも、そのレイヤーケーキにも入ってない子たちへの温かい眼差しをむけられるその姿に
清々しい気持ちになりました。
取締役さま ありがとうございます。