こんにちは。
突然ですが皆さま、白身(しろみ)をご存じでしょうか。
真っ白で、ピンクのお耳に澄んだブルーの瞳。...
ちょっとたれ目で、黙っていると甘えん坊さんにしか見えないのですが、
うっかり軽々しく抱っこして鼻を噛まれるお客様も少なくございません。
ワルオを追いかけ回し、スタッフを蹴り逃げするような白身ですが、先日、
白身を保護してくださった方に、白身保護の経緯を改めてお聞きして、フリーズしてしまいました。
本当にほんの数分、白身の発見が遅れていたら、私たちは白身に会えていなかったかもしれないです。
よくぞよくぞ白身を保護してくださったと、改めて感謝の念と、瀕死の白身の姿を想像していたたまれなくなりました。
そんな「しろみ」の保護経緯です。長くなりますが、お付き合い下さいませ。
2014年4月、福岡市東区西戸崎にお住いの安田さんは、車で通勤途中、歩道から車道にずるりとはみ出した白い生き物を、
一瞬ですが確認しました。
そのまま数十メートル前進しましたが、やはり気になってUターン。
すると、薄汚れて剥げだらけ、目は目ヤニでつぶれ、弱わりきった白身が、車道にずりずりと降りようとしているところだったそうです。
体力も尽き果て、道路を這うように渡る白身を急いで車道から、歩道のなるべく車道から遠いところに置き直し、
出勤前でそうゆっくりもしていられない安田さんは一旦仕方なくその場を立ち去りました。
仕事が終わり、白身のもとへ駆けつけると、置いた場所から一歩も動かず、
その場でまるで安田さんを待っていたかのようだったとの事です。
衰弱が激しかったので、急いで福岡市東区にある「わじろ動物病院」に連れてゆき、そのまま一週間入院。
ある程度元気になって退院してきたものの、安田さんのオウチにはワンちゃんが居て、ご自身も心臓病を患っておられたので、
お知り合いで猫保護活動をされている川原さんの元に白身を預ける事になりました。
川原さんのオウチも10匹程度の保護猫達が暮らしていますが、それはそれは管理が行き届き、
不快な臭いや汚れ、毛埃など一切感知されず、猫エイズや負傷した猫らを含めた多頭飼いですが、猫達はきれいで
健康極まりない状態です。
そんなオウチに白身は連れてゆかれましたが、ハゲだらの原因は真菌。おまけにやんちゃ過ぎて、猫エイズの子に噛みついて
怒らせる、という状態。とりあえず真菌治療のため、また「わじろ動物病院」に送還。
真菌を患うと、約一か月は隔離治療になります。
白身は遊びたい盛りを狭いステンレスのケージで過ごしました。
それでも名前はハッピーちゃんと名づけられ、先生や看護婦さんからも大変可愛がられていたとのこのです。
一か月で真菌症も全快し、体力もMAXになった白身が川原家に帰って参りました。
前回にも増し、猫エイズの子らにプロレス技をかける白身に川原さんも困り果て、キューリグにSOS、そしてキューリグへ、
という経緯になりました。
川原さんと私の間柄はかなりの馴れ合いなので、書類もちゃっちゃと交わし、
きちんとした受け入れの経緯も聞かないまま、はいはいで入店させておりました。
ハッピーちゃんという名前の由来もよく理解せず、名前を「白身」と改名。
人スタッフたちは、可愛い白身を「しろみ~」といって抱き上げますが、びんた、噛みつき、蹴り逃げをされ、
凄い子猫が入ってきたものだ、と苦笑いをしていました。
しばらくして数十秒であれば抱っこさせるようになったのですが、その時に限って呼吸がおかしい事に気が付きました。
抱っこすると息苦しくなるのです。
呼吸器系の病気ではないかと心配しましたが、どうも抱っこされると興奮してしまうようでした。
ゴロゴロと呼吸困難が一緒になっているかの様な変な呼吸です。
意地っ張りだけど可愛い子だな~と思っていました。
また、悪さをして厨房に逃げ込む白身を、しばらく放置プレイすることもしばしば。
すると大声で喚き散らすので、ドアを開けると即座に鳴きやむ。
変な子だな~としか思えませんでした。
そんな謎な「白身」の習性のわけが、今分かった様な気がします。
あまりに過酷で寂しい幼少時代を過ごしたので、何だかのほほんとしている猫に対して訳もなく苛立ち仲間の猫らを追いかけまわし、
人間に感謝はするものの、いつまた一人ぼっちになるかもしれない、と心の底から私たちの事を信頼できず、
幸せを甘受することができない....。
そういえば、なんだか私をのぞき込む時はいつも、初から諦めている様な目をしている気がします。
だとしたら、本当はこの子は相当な心の緊急事態だったのに、私が気が付いてあげれず、
ずっと寂しい思いをさせていたのかもしれません。
もっともっと構ってあげて、心のケアが必要だったんだな、と思いました。
キューリグにはそんなそれぞれの事情を抱えてやってくる猫達が沢山いますが、しろみも例外ではありませんでした。
しろみを心から愛おしく思います。