不動産を取得するとかかる税金としてまず挙げられるのは不動産取得税、固定資産税、都市計画税である。そのうち、不動産取得税は都道府県税となっていて、固定資産税、都市計画税は市町村税である。すなわち、取得した土地は取得時に都道府県にそして毎年、市町村に固定資産、都市計画両税を支払う形になっている。不動産を所有して初めて人は税の重さを知るといっても良いのではないだろうか。それらの税金に関してどうなっているのかを見てみよう。
(固定資産税)
固定資産税とは何か。一般の人はなんとなく理解していると思うが、はっきりその定義はと聞かれると答えに窮するだろう。なぞなぞではないので答えを言うとこうなる。
固定資産税は、固定資産(土地、家屋及び償却資産)の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目し、資産価値に応じて、毎年経常的に課税される物税であるというのが正解。要するに財産税であるという位置づけである。固定資産税と似たものに不動産取得税というのがある。不動産取得税は不動産を取得した時点で課税される一度きりの税だが、これもじつは財産税の一つで固定資産税と同じ正確を持っている。実際のところ、固定資産税、不動産取得税に対する行政訴訟が多いことは知られているが、結構多くの訴訟人が固定資産税を財産税、不動産取得税を不動産の流通税であると理解しているケースがあるが、裁判所の判例でも両者とも財産税という位置付けか定着している。また固定資産税はその歴史的背景をみると、昭和25年のシャウプ税制により、それ以前の地租、地租附加税、家屋税、船舶税等をとり込んで成立したものであるという事情が存在する。固定資産税収入の構成割合を資産別にみると、概ね土地40%、家屋41%、償却資産19%となっている(平成14年度)
固定資産税を支払う義務のあるものは固定資産を所有するものであることは明白であるが、台帳課税主義といって毎年1月1日の固定資産台帳に載っている所有者に課税される。したがって、AさんがBさんから土地を1月2日に購入したとしても固定資産税を支払うのはBさんになる。不公平に聞こえるが、実際の売買では固定資産税を日割りしてAさんとBさんは売買価格を調整するのが一般的になっている。固定資産課税台帳には、納税義務者である所有者のほか、その課税標準である価格等についても登録されており(地方税法381)、 この固定資産課税台帳に登録された価格が税の基準になる。
ここで固定資産税の計算に触れておこう。とくにこの計算が訴訟の種になっている。なぜなら過去10年を見ると不動産の価格が下落し続けているからである。一般の人は売買価格で決められていると思うが、実は結構複雑で問題の種となっている。固定資産台帳に載っている価格は原則として「適正な時価」が載っていることになっている。この「適正な時価」というのが曲者で行政訴訟の一番のキーポイントである。厳密な定義は以下のとおりとなる。
「適正な時価」とは、正常な条件の下において成立する取引価格(独立当事者間の自由な取引において成立すべき価格)をいうものとされている。なんだ、やっぱり売買価格じゃないかと思うとそれは違う。「適正な時価」、すなわち、固定資産税の評価額の具体的な求め方については、総務大臣が告示した固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第 158号)に定められているとなっていて、簡単にいえば市町村である一定のルールに従えばそれで良いですよという話である。
問題はこれから。土地及び家屋については、その課税標準である価格を原則として3年間据え置くことになっている。即ち、土地及び家屋 に対して課する固定資産税の課税標準は、一定の年度を基準として、基準年度においてはその年度の賦課期日現在における価格で固定資産課税台帳に登録されたものとし、基準年度の翌年度(第2年度)及び基準年度の翌々年度(第3年度)においては、原則として新たな評価を行わず、その基準年度の固定資産税の課税標準となった価格で固定資産課税台帳に登録されたものとする(地方税法 341Ⅵ~Ⅷ、349①~③)。
つまり、基準年度から3年間は台帳の価格は変わらない。仮に3年前に3000万円で売買されていたとして、地価が下落して2年後に2000万で購入したとしよう。しかし、固定資産課税台帳には3000万円とかいてあるのでこれが基準となり、税額もそれを基礎数字として使用することになる。直近では平成15年に基準が変更になったので、平成18年まで価格は変わらない。
固定資産税の税率は標準税率で1.4%となっている。この標準というのも曲者で、実は各市町村の裁量権があり、1.6%なんてのもある。でも、大したことないじゃないかとお思いの方。税金をなめてもらっては困ります。先ほど3000万円なら1.4%なら42万円。実際に2000万円で購入して、それを賃貸に回しているとしよう。6%で回ると言われて賃料が年間120万円。当然、全額キャッシュで買う人は少ないからレバレッジを効かせるとして元利返済後のネットキャッシュフローがいいとこ2.5%でしょう。そうすると手取り50万で42万取られたら、あなたはどうします。
あまり脅してもしょうがないので結論を言うと、新築住宅であれば税の軽減処置があります。一定の要件を満たす住宅に関しては、課税台帳の金額の6分の1まで軽減されます。従って、3000万円なら、500万円に低下して税金も7万円に下がることになる。問題の本質は固定資産の税額の大小と言うようりも、固定資産税の計算根拠とする課税台帳にのる価格に恣意性があるという点に尽きる。とりわけ、裁判で争われた大半のケースでは争点になっている。
紙面も尽きたので次回に続きます。
(固定資産税)
固定資産税とは何か。一般の人はなんとなく理解していると思うが、はっきりその定義はと聞かれると答えに窮するだろう。なぞなぞではないので答えを言うとこうなる。
固定資産税は、固定資産(土地、家屋及び償却資産)の保有と市町村の行政サービスとの間に存在する受益関係に着目し、資産価値に応じて、毎年経常的に課税される物税であるというのが正解。要するに財産税であるという位置づけである。固定資産税と似たものに不動産取得税というのがある。不動産取得税は不動産を取得した時点で課税される一度きりの税だが、これもじつは財産税の一つで固定資産税と同じ正確を持っている。実際のところ、固定資産税、不動産取得税に対する行政訴訟が多いことは知られているが、結構多くの訴訟人が固定資産税を財産税、不動産取得税を不動産の流通税であると理解しているケースがあるが、裁判所の判例でも両者とも財産税という位置付けか定着している。また固定資産税はその歴史的背景をみると、昭和25年のシャウプ税制により、それ以前の地租、地租附加税、家屋税、船舶税等をとり込んで成立したものであるという事情が存在する。固定資産税収入の構成割合を資産別にみると、概ね土地40%、家屋41%、償却資産19%となっている(平成14年度)
固定資産税を支払う義務のあるものは固定資産を所有するものであることは明白であるが、台帳課税主義といって毎年1月1日の固定資産台帳に載っている所有者に課税される。したがって、AさんがBさんから土地を1月2日に購入したとしても固定資産税を支払うのはBさんになる。不公平に聞こえるが、実際の売買では固定資産税を日割りしてAさんとBさんは売買価格を調整するのが一般的になっている。固定資産課税台帳には、納税義務者である所有者のほか、その課税標準である価格等についても登録されており(地方税法381)、 この固定資産課税台帳に登録された価格が税の基準になる。
ここで固定資産税の計算に触れておこう。とくにこの計算が訴訟の種になっている。なぜなら過去10年を見ると不動産の価格が下落し続けているからである。一般の人は売買価格で決められていると思うが、実は結構複雑で問題の種となっている。固定資産台帳に載っている価格は原則として「適正な時価」が載っていることになっている。この「適正な時価」というのが曲者で行政訴訟の一番のキーポイントである。厳密な定義は以下のとおりとなる。
「適正な時価」とは、正常な条件の下において成立する取引価格(独立当事者間の自由な取引において成立すべき価格)をいうものとされている。なんだ、やっぱり売買価格じゃないかと思うとそれは違う。「適正な時価」、すなわち、固定資産税の評価額の具体的な求め方については、総務大臣が告示した固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第 158号)に定められているとなっていて、簡単にいえば市町村である一定のルールに従えばそれで良いですよという話である。
問題はこれから。土地及び家屋については、その課税標準である価格を原則として3年間据え置くことになっている。即ち、土地及び家屋 に対して課する固定資産税の課税標準は、一定の年度を基準として、基準年度においてはその年度の賦課期日現在における価格で固定資産課税台帳に登録されたものとし、基準年度の翌年度(第2年度)及び基準年度の翌々年度(第3年度)においては、原則として新たな評価を行わず、その基準年度の固定資産税の課税標準となった価格で固定資産課税台帳に登録されたものとする(地方税法 341Ⅵ~Ⅷ、349①~③)。
つまり、基準年度から3年間は台帳の価格は変わらない。仮に3年前に3000万円で売買されていたとして、地価が下落して2年後に2000万で購入したとしよう。しかし、固定資産課税台帳には3000万円とかいてあるのでこれが基準となり、税額もそれを基礎数字として使用することになる。直近では平成15年に基準が変更になったので、平成18年まで価格は変わらない。
固定資産税の税率は標準税率で1.4%となっている。この標準というのも曲者で、実は各市町村の裁量権があり、1.6%なんてのもある。でも、大したことないじゃないかとお思いの方。税金をなめてもらっては困ります。先ほど3000万円なら1.4%なら42万円。実際に2000万円で購入して、それを賃貸に回しているとしよう。6%で回ると言われて賃料が年間120万円。当然、全額キャッシュで買う人は少ないからレバレッジを効かせるとして元利返済後のネットキャッシュフローがいいとこ2.5%でしょう。そうすると手取り50万で42万取られたら、あなたはどうします。
あまり脅してもしょうがないので結論を言うと、新築住宅であれば税の軽減処置があります。一定の要件を満たす住宅に関しては、課税台帳の金額の6分の1まで軽減されます。従って、3000万円なら、500万円に低下して税金も7万円に下がることになる。問題の本質は固定資産の税額の大小と言うようりも、固定資産税の計算根拠とする課税台帳にのる価格に恣意性があるという点に尽きる。とりわけ、裁判で争われた大半のケースでは争点になっている。
紙面も尽きたので次回に続きます。