竹内正浩氏の著書、「地図で愉しむ東京歴史散歩」のシリーズが面白かったので、御紹介しておきたい。
中公新書から三冊、正編、「都心の謎」、「地形篇」と三冊刊行され、洋泉社ムックから「古地図と古写真で楽しむ!明治・大正・昭和 東京時空散歩」というのもあって、どれも面白い。
正編では、明治からの東京の変遷を最初の測量点、明治の五公園、市営霊園、水道道路、川に纏わる事、幻に終わった鉄道の計画などから読み . . . 本文を読む
たまたま見つけて手に取ってみたら、引き込まれてしまった。加藤嶺夫氏は「一九二九年(昭和4年)東京生まれ。出版社勤務のかたわら東京を散策し、新聞紙上にルポルタージュを執筆。写真集に『東京 消えた街角』『東京 懐かしの街角』(ともに河出書房新社)、『東京の消えた風景』(小学館)、『消えた風景を訪ねる 大人の東京散歩』(文・鈴木伸子 河出書房新社)がある。二〇〇四年没」という方。既に亡くなられているのが . . . 本文を読む
「幻の地下鉄車庫・引込線~住民運動勝利への道程」地下鉄七号線車庫及び引込線建設反対連合会著・発行私は図書館をよく利用するのだが、地域の資料などはそれぞれの地元の図書館が充実していて、面白い。私は板橋区の住人だが、隣接する北区の図書館も利用している。そこで出会ったのが本書だった。こんな風に、書棚を眺めているだけでも、関心を惹く資料と出会えることが図書館巡りの楽しさでもある。本書は、平成8年に住民運動 . . . 本文を読む
「江戸の風評被害」
鈴木浩三著 筑摩書房刊
内容紹介(アマゾンより)
「資本主義的な市場経済が発達していた江戸期は、「生き馬の目を抜く」社会であった。相場や貨幣改鋳、自然災害、役人の人事動向など、損得に関わる情報は瞬く間に拡がった。なかには虚説や、故意に脚色された風説やうわさもあった。こうした「風評」は、人びとの行動を左右し、政治経済をも動かした。触書などの史料をもとに風評被害の実態とその背景 . . . 本文を読む
「新宿駅が二つあった頃」
阿坂卯一郎著
第三文明社刊
本書は大正生まれの著者が、故郷の鹿児島から父親の転勤で上京してきてから、新宿周辺で暮らし、通学し、やがて就職していく中で、町がどう変わっていき、世の中の空気がどう変わっていったのかが、その中で少年から青年へと成長していく姿と共に描かれている。
冒頭では、関東大震災の有様から始まる。東京の旧市街の下町エリアとは様相の異なる描写で、一方では . . . 本文を読む
「僕の東京地図」安岡章太郎著世界文化社刊
「僕の東京地図」は、そのタイトルからみれば、佐多稲子の「私の東京地図」に触発された様に思える一冊である。安岡にとっての東京を、私的に振り返っていくという趣向の本である。大正9年に高知で生まれた安岡は、軍人であった父親の転勤と共にあちらこちらへと引っ越しを繰り返したというが、彼にとっては最初の記憶が残る土地が、千葉県の市川市であったそうだ。そして、そ . . . 本文を読む
ある浮世絵師の遺産~高見澤遠治おぼえ書
高見澤たか子著
東京書籍刊
「東京・遠き近く」の紹介記事を書き続けているが、これを書くために改めて読み返し、紹介されている書籍を読んでということを繰り返していると、近藤信行氏に講義を受けているかのような気分になれる。そして、それ以上に知らずにいた興味深い書籍に出会えることが非常に有り難い。今では絶版になっている書籍が多いのだが、図書館で探し、地元でな . . . 本文を読む
先に掲載した「東京・遠く近きを読む(44)宮川曼魚のこと」でふれていた、宮川曼魚氏の著書、「江戸売笑記」を読んだ。
「江戸売笑記」宮川曼魚著 青蛙房刊
本書は、江戸期を中心にそれ以前からの売笑…売春についての考察をまとめたもので、記録に残っている事柄を中心に書かれていて、なかなか興味深い。人類最古の職業とまで言われる反面、今日では女性の人権侵害の象徴のようにも言われるわけだが、本書では時 . . . 本文を読む
地形を楽しむ東京「暗渠」散歩 本田創編著 洋泉社刊
アマゾンの内容紹介より引用
「〈暗渠とは、土地の記憶を紐解き、風景や地形を結び直す媒体である〉暗渠をたどっていくことで、失われた水路のレイヤーが徐々に、我々の眼前に浮かび上がってくる。それは、さまざまな年代の地形/風景/土地の記憶が重なりあって、投影図のように同時にプロットされて見えている、多層的なレイヤーでもある。それらを一枚一枚剥がし紐解 . . . 本文を読む
大阪古地図むかし案内 本渡章著 創元社刊
アマゾンの内容紹介より
「江戸時代を中心とした大阪の古地図を題材に、古今の地誌や生活文化を探る案内書。俯瞰図と細部拡大図の両方から謎解きを試みる「読み解きスタイル」という独自の趣向で、見応えと読み応えを兼ね備えた構成とする。大阪旧市街を中心に、堺、平野等の地図も使って、細部を解読・鑑賞する面白さを味わいながら、大阪各地の歴史・地理・文化がわかる本。好評「 . . . 本文を読む