森かずとしのワイワイ談話室

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珠洲市で環境教育シンポジュウムから七尾特別支援学校珠洲分校視察まで

2010-08-29 00:49:14 | 森かずとしの子育て・教育相談室
 いしかわ教育総研が、珠洲市蛸島公民館で環境教育公開シンポジュウムを開催した。私は、平和・環境教育部会の事務局員として参加した。

 自然豊かな珠洲市は、住民の強い団結が原発建設計画を頓挫させた土地柄だ。私も青年時代に闘争に連帯して何度も珠洲市に出向いた。仲間たちとの毎年の交流も財産になった。
 原発建設計画はなくなったが、過疎に悩む奥能登に、今金沢大学が関与し、里山里海自然学校NPO法人「おらっちゃの里山里海」で展開している。その中心である研究者の赤石大輔さんが学校・地域と連携した環境教育が多様に実践されていた。
 
 報告されたのは、全国教育研究集会で石川からレポート報告された、国永英代さんの珠洲の自然食材に行動的に学ぶダイナミックな実践。西部小の砂山美里子さんの渡り蝶の神秘アサギマダラのマーキング活動。退職教員小野誠一さんの地域ザリガニ駆除のとりくみだ。どの実践もまだまだ豊かに残る珠洲の生態系を再認識し、子どもたちや地域住民ににその値打ちを深く共感させる素敵な教育実践だった。因みに私は二年前に白山登山中の中飯場付近でアサギマダラが悠然と舞い飛んでいる様に出くわしている。
 珠洲の海岸には密を提供するスナビキソウが自生している。遠くは長崎県五島列島から数100キロを優に超えて飛来しているそうだ。確認数は年によっては1000匹を超え、子どもたちのマーキング調査隊は嬉々として大飛行の実態から生き物の神秘を感じ取っている。子どもたちは、アサギマダラノ宝石袋とでも形容したいグリーンゴールドに輝くさなぎへの変態、成虫への脱皮も観察している。

 グローバリズムが世界各地の大自然を破壊し、環境変動への対処が叫ばれている。それは、人間の暮らしに関わる価値観の転換も求められている。過疎に悩む珠洲では、過疎の地域に潜在するオルタナティブな価値、すなわち自然資源の再発見から地域再興、産業創出、定住促進にとりくむ。それは、地域興しと地域の自然や歴史的文化に意識的に出合う教育プログラムによって、故郷への愛着を子どもたちが育む教育実践とがリンクし始めている。

 28日は、七尾特別支援学校珠洲分校を教育総研教育財政部会として視察した。堀田校長をはじめ管理職の方々が、丁寧に案内説明をしてくださった。特別支援教育の専門性の向上、センターとしての地域連携に熱心に努力されているのが分かった。しかし、予算上の格差、元小学校施設を珠洲市から貸与を受けていることから、施設面の改善がなかなか進まない。エレベーター設置、配管、耐震補強、スクールバス運行のスタッフ体制、いずれもその壁に当たっているという。県教委によって特別支援教育の理念は美しく語られてきたが、珠洲分校の目から見れば、後回し感は否めない。そして、校長の口から述べられた就職の困難性。とりわけ本人の努力ではいかんともしがたい周りの健常者の障害者受容が難しいという問題だ。ここに、分離別学体制の根本問題が宿っている。
 就学指導体制、親の選択権、居住地校交流が希望されないことなど、共生共学が国際的な潮流にある中で、未だにこれらが課題となる教育体制にあることを課題としなければならないのだ。

 この酷暑のまま、新学期が始まる。7:00から一時間半スクールバスで揺られて通ってくる子どもがいる。それも毎日の往復だ。集中方式の特別支援学校の本質的な問題を象徴しているようだ。

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