森かずとしのワイワイ談話室

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67回目の敗戦記念日に

2012-08-15 21:44:24 | 平和のために
 今日は、敗戦から67周年の敗戦記念日だ。社民党石川県連合は、この8月15日にこだわって、毎年街頭宣伝を続けてきた。気温35度に達した真昼の二時間あまり、盛本芳久県連合代表、清水文雄幹事長、山本由起子女性局長とともに、武蔵が辻、香林坊で私も街宣車の上に立った。今朝の北陸中日新聞によれば、中部9県の高校生100人へのクイズで32%しかこの日を正確に答えられなかったという。67年前とはそれほど遠い昔のことなのだろうか。平和教育や歴史教育、そしてメディアの実態を見返してみる必要がありそうだ。

 私は、軍都であった金沢に生を受け、生きてきた市民として、日本近代に果たしてきた金沢の軍事的な側面をアジア的な文脈で歴史認識に刻み込んでおく必要があると考えてきた。これを、この6月3日に韓国月進会来訪団を迎えて開催した東北アジア平和連帯シンポジュウムで、基調に以下のように記した。

1.軍都金沢からみた歴史的経緯
 金沢市は平和のまちと言われることがある。確かに他の主要都市のように空襲は受けてはいない。しかし、金沢の近代史は軍都としての歴史である。
 1868年の明治維新以後、早くも1873年には兵制が敷かれ、徴兵制度が始まる。金沢には、名古屋鎮台の分営が金沢城内に設置された。翌74年には日本軍の台湾出兵である。75年3月に歩兵第七連隊司令部が設置され、96年に第九師団司令部の設置となる。98年には金沢城内に司令部を移し、軍都としての体制が確立する。以後歩兵第七連隊は歩七と愛称され、第九師団の精鋭部隊として名を馳せていく。
 この歩七の戦歴を列挙する。1894年の日清戦争への従軍、1904年日露戦争旅順会戦に従軍、1914年から三年間は第一次世界大戦参戦を背景に併合後の韓国に駐留、1921年ロシア革命干渉のシベリア出兵に従軍、1932年には第一次上海事変に従軍する。ここで上海爆弾事件である。
以後、1935年から三年間、偽満州国への派兵、1937年日中戦争開戦に係る第二次上海事変派兵、以後、中支那方面軍として南京攻略戦、南京城内国際難民区での掃討、1940年偽満州国への派兵、1944年に沖縄移駐の後、台湾にて敗戦を迎えた。

 台湾、韓国の植民地支配と、中国・アジア大陸侵略戦争に明け暮れた日本の戦争史の中で、金沢、石川、北陸もまた、加害責任を歴史に有している。関東軍防疫給水部第731部隊の石井四郎中将は、金沢大学の前身第四高等学校に学んでいる。731部隊には、金沢大学医学部前身の金沢医大から多くの医学研究者が関与し、生体実験に手を染めた。石井部隊長の出身地千葉県に次いでこの石川に731部隊出身者が多いにもかかわらず、その歴史体験は墓の中に持ち去られた。・・・(引用ここまで)


 「敗戦」と言うとき、第二次世界大戦においてアメリカに敗れたと一般に認識されている。それが間違いだとは言わない。しかし、アメリカとの開戦は、台湾、朝鮮の植民地化、旧満州の植民国家化、そして中国大陸から東南アジア、南太平洋地域に戦線を拡大する大消耗戦への無謀な拡大の結果でもある。つまり、アジア諸地域の民衆は、日本の帝国主義と屈せず闘い続けた結果としての対米戦争を導いたことを見落としがちになる。現在の野田政権に顕著なアメリカ追従は、アメリカコンプレックスの表れではないか。アジアには居丈高に振る舞うのは、アジアに対する旧態然の優越意識とも受け取れる。これは日本人一般に流れる国民感情かもしれない。しかし、そのアジアでは、抵抗と闘いの歴史から、民族間の和解による東アジアを平和の地域にしようという平和構想が人々の間からわき上がっている。国籍は違えども、日本の憲法第九条はそのための必須不可欠な要素だと認識されてきた。
 今日、李明博大統領が、ナショナリズムに訴えて求心力を高めようとしても、韓国民衆は国家に自分たちの進路を左右させないとの明確な意思が力を得つつある。日朝間で、懸案事項の協議が始まるという。拉致人権問題、戦後補償問題も含め、国交回復に向けた真摯な協議を期待したい。 
 この点については、以下の月進会からの提案と我々の受け止めを上記基調から再度一部抜粋の上引用したい。

 2008年は、尹奉吉義士生誕100周年の年であった。この記念すべき年に当たって、月進会の尹圭相現名誉会長は述べた。「今世界の問題は格差である。国々が国境を持って対峙し、その国々の内部でも格差が拡大している。国同士の関係を改善すれば、軍備は必要なくなり、その金をもって世界の窮民を救済できるはずだ。尹奉吉義士の心は韓国民族の解放にとどまらず、東洋平和、すなわち世界に平和をもたらすことにあった。」と力説し、義士の心を引き継ぎ、世界平和を目指す事業に参加するよう呼びかけた。私たちは、これを国境や民族を越えた平和のための国際連帯の呼びかけだと受け止めている。

 2010年は韓国併呑100年の節目の年だった。私たちとの交流事業の中で、李佑宰月進会会長は、東北アジアの平和連帯のための新しいパートナーシップとも言うべきいくつかの提案をされた。それは、金沢と禮山との一層の交流促進であり、青少年交流、歴史認識と平和連帯をテーマとするシンポジュウム開催などからなっていた。2010年、2011年と禮山郡月進会が主導する「東北アジア平和連帯のための国際会議」に招かれ、民族独立闘争のアジア的な拡がりと、平和連帯の基礎が私たちの間に存在していることを認識してきた。
 この提案に賛同する私たちは、2011年の月進会金沢訪問に際し、白川義則の出身地愛媛県松山市の歴史研究者も交え、東アジア平和連帯のためのシンポジュウムを開催した。禮山郡、金沢市双方の尹奉吉義士に関わる歴史継承にある課題を整理し、両地域市民の相互信頼と自治体間の連携によって、平和連帯の基礎を築くことは可能であるとの意思を共有したところだ。
 ここ石川、金沢では、戦争に反対し、平和憲法を活かしたまちづくりを目指す市民の運動も根強く続けられている。在日朝鮮韓国人も共に闘った内灘米軍試射場反対闘争は、日本の戦後最初の反戦反基地闘争と評価されている。その系譜を受け継ぎ、第5次にも及ぶ、小松自衛隊基地爆音訴訟が現在も闘われている。人権侵害である基地騒音への損害賠償を求める住民訴訟は、根本的には日本国憲法第9条違反を告発する平和の闘いである。この地元からの闘いは、沖縄の普天間基地をはじめとする沖縄米軍基地撤去の闘いとつながっている。
 今日、経済的にも成長著しい中国脅威論やマスコミ操作による北朝鮮脅威論が台頭し、それらを口実とする沖縄地方先島諸島への自衛隊の配備、増強が野田政権によって強行されようとしている。また、国会では、衆参両院で改憲のための憲法審査会が設置され、自民党、大阪維新の会などに代表されるように、人権を制約する国家至上主義、国防軍の創設、非常時大権といった平和主義を破壊する憲法改悪の動きが活発化している。これら米軍と一体化した日本の軍事化が朝鮮半島、ひいては東北アジアに不幸な緊張をつくり出すことは言うまでもない。
 しかしながら、何よりも平和を愛する市民同士の相互交流と平和運動の連携は、火種を消滅させるに違いない。日韓から東北アジアの地域へと、多国間の市民、自治体連携による平和連帯が醸成されるならば、必ずや東北アジアに平和の日が訪れるものと確信する。金沢市に「非戦平和条例」にもとづく非戦平和のまちを建設すること。小さいながらも、その歩みは既に始まっている。東北アジアを平和の地域にするために、市民と共にその責任を果たしたい。私たち尹奉吉義士共の会、月進会日本支部の志は同じであり、平和連帯への努力を惜しまないものである。(以上、引用終わり)

 戦争の歴史から何を学び取るべきか。67回目の敗戦記念日に、改めて皆さんと深く考えてみたい。


 末尾に、少々長くなるが、月進会の李佑宰会長から訪日に対する礼状が届いている。韓国での平和市民運動の前進が力強く示されているので、参考までに転載しておきたい。

 =韓国禮山郡月進会 李佑宰会長からの礼状=

 この度、私ども韓国月進会員達の日本金沢探訪がたいへん意義深く発展的な契機になりました。心より共の会会員の皆様に感謝を申し上げ。金沢月進会の皆様にも感謝のご挨拶を申し上げます。
 会員の皆様の厚い友情と正義感そして平和の為の同志的一体性に信頼と希望を持ち、何よりも献身的な愛と友情の奉仕に、私達は感動を抱いて帰国しました。皆様の実践行動に、私達の眠っていた意識が目覚めて熱くなっています。
 今、たとえ私達の交流や共同活動が大きくないとしても、この様な集まりは必ず量的, 質的に発展すると確信しています。 来年、そしてまた次の年、こうした努力はきっと東北アジアの平和や世界平和のために大きな役割をする事でしょう。
 将来の発展のために良い意見があればいつでも御連絡下さり、私達もこちらで思いついた事や進行される事を御連絡致します。
 最も優先する部分は、来年の4月29日、尹奉吉祝祭の時に韓ㆍ中ㆍ日ㆍ蒙の平和連帯シンポジウムをしようかと思っています。韓国では抗日独立運動家団体連合会(13団体)が参加して、平和連帯をさらに強化する問題を扱おうと思います。
 来年6月の金沢訪問時には、そちら側で中国も参加して東北アジア平和連帯問題を一緒に扱ってはいかがでしょうか。日本で連帯会議をする時も、韓国から抗日独立運動家団体連合会も参加すれば、名実ともに大きな国際連帯活動になる事でしょう。この問題はこれから相談して、参加の是非や活動内容を議論して行かなくてはならないと思います。
 もちろん、来年の金沢探訪は、50人以上100人以下の規模で行こうかと思います。こうした様々な問題を随時連絡しながら進めて行くことにしましょう。
 今一度、歓待とご苦労に感謝して、平和の為の皆様の御健闘を祈ります。

                       2012年 6月 12日
                           韓国月進会会長 李佑宰

抗日独立運動家団体連合会 紹介
1.創立宣言文
2.参加団体
3.主要事業

1.抗日独立運動家記念事業団体連合会創立宣言文
 国家が進んで行う記念事業は国の正体性を証明するものであり、正しい歴史観を国家共同体構成員達が共有する重要な行為である。

 私達はこの様な記念行事を通して、過去に歴史の中で起こった事件を記憶し、国と民族に対する献身や未来にどんな国が民族の悠久なる発展と繁栄を約束するのかを誓って確認する。

 政府が制定した5大国慶日は、三.一節,制憲節,光復節, 開天節, ハングルの日であり、特別に記念すべき日として4.13大韓民国臨時政府樹立記念日,4.19革命記念日,5.18民主化運動記念日,顯忠日, 6. 10民主抗戦記念日,学生独立運動記念日などを制定した。

 総じて国の独立と民主化の過程を国民的合意を記念して記憶する様に指定したものだ。

 しかしこの様な念願や意志と違い解放以後、親日派と独裁に野合した権力が得勢した歴史が続いている。

 歴史は深刻に歪曲され、真実は恐ろしい証拠で隠されてしまった。

 特に、冷戦体制の国際的な余波は反共を理由にして国家正体性や民族的価値観を深刻に毁損する原因となった。大部分の記録は反共と親日,独裁を維持しようとする意図のまま歪曲されたり変形されて隠蔽された。この過程で日帝抗争期の独立運動歴史は信頼性のない研究が為され、歴史的実態を究明せねばならない過程は未だに私達の重要な課題として残っている。

 独立運動に献身した全ての方々をその行跡にしたがって評価し、子孫達が記憶しなければならない。

 しかし私達の歴史は権力に執着した群れや親日派達が富と権力を維持するためにこれを歪曲した。

 反共と戦争を奇談として、記憶と記念の対象を、理念を定規で評価して、権力維持に必要な思想教育の手段に転落した。親日が美化され、反共を理由に多くの殺傷が恣行されたが、真実は未だ厚い壁として残っている。

 私達は先烈達が独立運動功績に対する評価と補償をこの時代に要求しない。

 反省することを知らない民族にとって未来は無い。という歴史家達の教訓を反芻しようという事だ。

 存在した事実を確認し、悲惨な過去の苦しい歴史を繰り返してはいけないという事だ。

 独立のために献身された全ての方々の志は、統一した独立国家として民族の位相を世界に知らせる努力をし、民族構成員皆が参加する民族共同体の構成であった。

 今、70年以上になるほど分断は続き、和解と平和の為の過ぎし努力が水泡のように消えて、この地には戦争の不安な気運がまた漂っている。

 私達の民族構成員なら誰でも6.25のような惨状が繰り返されるのを願う者はいない。

 私達は先烈達の崇高な精神を復元し、皆が韓民族として自負心と誇りを身につけた民族として歴史を正しく定立して民族共同体精神を回復するつもりだ。

 このため、今日の抗日独立運動家記念事業団体連合会を創立して、正しい歴史を子孫達に伝える事を私達の使命とし、親日とそれに野合した群れに対して歴史の公正な審判が為されるよう最善を尽くすものである。

 私達の真の目的は正しい歴史を基盤にして、平和的で民主的な統一にある事を闡明する。
              2011年12月15日
               抗日独立運動家記念事業団体連合会 参加者一同
2.抗日独立運動家記念事業団体連合会 参加団体

1. (社)梅軒 尹奉吉 月進会 이우재(イㆍウジェ)

2. (社)友黨 李會榮先生紀念事業会 이종찬(イㆍジョンチャン)

3. (社)丹齋申采浩先生紀念事業会 김원웅(キ厶ㆍウオヌン)

4. (社)榴亭 趙東祜先生紀念事業会 조윤구(ジョㆍユング)

5. (社)夢陽呂運亨先生紀念事業会 이부영(イㆍブヨン)

6. (社)洪範圖장군紀念事業会 이종찬(イㆍジョンチャン)

7. (社)雲岩 金星淑先生紀念事業会 민성진(ミンㆍソンジン)

8. 學山 尹允其先生紀念事業会 윤호상(ユンㆍホサン)

9. (社)보齋 李相卨先生紀念事業会 이재정(イㆍジェジョン)

10. 安重根義士紀念事業会

11. 車利錫先生紀念事業会 차영조(チャㆍヨンジョ)

12. 朴容萬紀念事業会準備委員会 한애란(ハンㆍエラン)

13. (社)独立有功者維持継承遺族会 김삼열(キ厶ㆍサムヨル)

14. (社)大韓民国臨時政府紀念事業会 김자동(キ厶ㆍジャドン)

15. (社)安重根平和研究院

16. (社)車美理士紀念事業会



3. 2012年 主要事業

■抗日愛国者達の独立精神具現のための事業
ㆍ韓日協定無効と再協定運動
ㆍ政治,経済,文化,歴史など正しい民族史的価値観のための運動
ㆍ南北の平和体制設立のための努力

■抗団連参加団体連帯事業
ㆍ学術事業
ㆍ仁村 金性洙 ‘親日行蹟史料発刊’
ㆍ遺跡地踏査

■東北アジア平和運動
ㆍ韓中日共同で歴史復元と平和運動
ㆍ韓中合作映画
ㆍ韓中合作共同歴史踏査
ㆍ靖国神社反対運動参加

■社会主義独立運動復元
ㆍ独立運動の地坪拡張
ㆍ祖国統一に寄与
ㆍ市民の歴史意識提供

■紀念事業団体支援と協力
ㆍ全ての紀念事業会の運営のための報勳處, 東北亜歴史財団,外交部,その他公企業,等交涉支援

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