里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

最後の晩餐には迷いなくこれ

2019年05月22日 | 暮らし
 
 「あなたは最後の晩餐には何が食べたいですか」
 時として、問われるテーマです。
 私の場合は、大トロの寿司でもなく、霜降りのステーキでもなく、躊躇なく「サヤエンドウの玉子とじ」。
 旬のサヤエンドウの青々とした莢、なんとも言えない香りと玉子がマッチングし、これに勝るものなしです。
 
 
 時には自分自身でも作ります。
 たっぷりのサヤエンドウを使い、さっと水洗いし、少量のだし醤油で茹でながら玉子でとじます。たかが「サヤエンドウの玉子とじ」ですが、なかなか奥が深い。簡単な方法で短時間に作りますが、ベストに作るのは結構難しいものです。
 
 
 「サヤエンドウの玉子とじ」には少々思い入れがあります。
 半世紀あまりも前のこと、母が弁当のおかずにこれを持たせてくれたのでした。
 当時、おかずの材料などには相当苦労したはずです。
 玉子も貴重でした。よほどの時以外は食べられませんでした。自分の家でも鶏を飼っていましたが、それは売るためのものでした。それが、この時期、「サヤエンドウの玉子とじ」をおかずに入れてくれたのです。ほかには何もありません。単にご飯とこれだけです。
 しかし、以降、これ以上の旨い弁当にお目にかかっていません。
 弁当を食べる頃には、ご飯もおかずも冷たくなっているのに、なぜそんなに旨かったのか。普段、ひもじく、いつも腹を空かせていたので旨かっただけなのか。
 今、何度も「サヤエンドウの玉子とじ」を食べますが、お袋の「サヤエンドウの玉子とじ」のようにはいきません。
 それでも、何度食べても飽きないです。最後の晩餐にもこれを所望します。