里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

懐かしき想いの詰まった山ウド

2019年05月11日 | 山菜
 先週から山ウドが採れています。
 山ウドといっても、これは栽培しているものです。
 天然のウドが採れるのはもう少し後です。
 最近は株分けもしていないので、しばらく植えたままの状態です。そこに昔ながらの土盛りをして茎を伸ばすやり方です。
 

 一般に売られているのは、ハウス内のベットにわらやもみ殻を掛けて伏せ込んだものです。それからみると、太さは十分ですが、短いずんぐりのウドです。
 
 
 それだけ天然の山ウドに近いので香りは抜群です。私は香りが強いものほど好きなのですが、ウドは好みに個人差が大きいようです。
 私が最も好きな味噌漬け。一夜ですぐ食べられます。
 
 
 茎に青みのあるくらいが香りが強くて好きです。
 実は、このウドには懐かしい想いがあります。
 このウドは、30年ほど前、ある方から株を分けていただいたものです。
 その方は、私より10歳ほど年少の方ですが、珍しく地下室(むろ)に伏せ込む軟化ウドを作っていました。いわゆる東京ウドと言われる白くて太く長い、いわばウドのもやしのようなものですが、彼はこれを先進地で本格的に学び、地元に帰った後、実践していたのでした。
 仕事の関係で何度かお邪魔するうちに懇意になり、色んな話しをするようになりました。地下室に入らせてもらったこともあります。そして、処分するウドの株があるからいらないかというので、いただいたのがこのウドです。
 ウドの品種は野生のものから選抜されてできたものなので、どうしても適さないものが混じるようです。軟化ウドには紫芽という系統を使うのですが、いわゆる山ウドの栽培に使われる坊主という系統が混じっているのです。
 この系統は写真のように太くて短く、赤すじが入るなど見栄えが良くなく、軟化ウドには向かないので、これを処分するという訳でした。我々が作るのには、むしろこちらの方が一般的なので、ありがたく頂戴しました。
 これが、最初に植えたところのウド。
 畑の外れながら日当たりのいい所に植えたので、株はどんどん大きくなりました。
 
 
 株分けして別の所に植えたのが、こちらのウド。
 
 
 
 午後少し日陰になるので少し遅れて出てきます。
 

 さらに幾人かにも株分けして差し上げました。
 山ウド風の伏せ込み栽培をしている農家は結構ありますが、当県で地下室での軟化ウドを作っていたのは彼だけでしょう。
 そのうち私も異動になり、少々遠方なこともあって疎遠になってしまいました。しばらく前にもう止めたらしいという風の便りですが、彼ももう還暦近いはずです。ご壮健であることをお祈りするばかりです。
 ウドを見るたび懐かしく思い出されます。