goo blog サービス終了のお知らせ 

里山悠々録

里山の家と暮らし、田んぼや畑、そして水墨画のことなどを記録していきます

干し柿づくり'23~新方法で硫黄燻蒸し吊す

2023年11月21日 | 干し柿づくり

前日皮剥きした柿をひもに通して硫黄燻蒸し、吊しました。
本来は1日で終わらせるべき一連の作業ですが、2日がかりで行っています。
今年は助っ人が二人。昨年より大分数が多いので有り難い。
今年は硫黄燻蒸のやり方を変えます。
これまでは、パイプ枠をブルーシートで覆って密閉していました。
新たな方法は木箱の中で行います。木箱と言っても古い洋服ダンスの再利用。
たまたま洋服ダンスを処分することになったので、硫黄燻蒸に利用することを思い立ちました。


その昔、我が家で干し柿を生産出荷していた当時は、横型の専用の大きな木箱を用いていました。
一度に100連以上も処理できるものです。その小型版と言ったところでしょうか。
但し、柿を吊すためには仕掛けをする必要があります。
これまで使っていた塩ビパイプの枠を洋服ダンスの中に入るよう切断加工しました。


洋服ダンスの中の高さも両側に角材を置いて調整。


箱の中や塩ビパイプを拭いて綺麗にします。
ちょうど上手く入るようセット出来ました。


吊し終わった後、硫黄粉に点火し素早く扉を閉めます。このあたりはやってみないことには分りません。
これが前日剥いた柿。


作業場の2階に運びます。


柿を簡単な道具に並べてひもに通します。
これは竹を割って手作りしたもの。柿の大きさに合せて3種類あります。


昔は1本のひもに20個が標準でした。今、プロの生産者は10個が多い。
我が家は大きさに応じ12~20個。多くすると重すぎて扱いが大変。昨年の特大玉は12個でした。
今年は特大玉はなく、大玉は14、16個です。
ひもに通した後は硫黄燻蒸用の箱のパイプに吊します。


思いのほかスムーズに吊すことが出来ました。


全部で29連。昨年は16連でした。1連の個数では今年がずっと多いので数では倍以上。
吊し終えればいよいよ硫黄燻蒸です。
硫黄燻蒸することでカビを防ぎ酸化を抑制して綺麗に仕上げることができます。
我が家では贈答用にもするので硫黄燻蒸は必須。しないとカビないまでも黒い干し柿になってしまいます。
硫黄はすぐに空中に拡散し無害となるので心配は無用です。
少量ならコンテナに入れてやることも可能。要は密閉して硫黄粉を燻す環境を作れば良いわけです。
使用する硫黄粉の目安は容積1㎥当たり15~30g。
我が家では、小さな鍋に炭火をおこし、硫黄粉を燻します。
硫黄粉を投入できるよう扉を少しだけ開けておき、炭火に硫黄粉を投入したら素早く密閉します。
この方法でやるのは初めてですが、問題なく楽に出来ました。
密閉時間は30分程度で十分とされます。今回は昼食休憩を含め1時間余り放置。
密閉していた扉を解放し、硫黄燻蒸は終了です。


炭火に投入した硫黄粉は完全に燃え切っていました。確実に効果が期待できます。


剥いたあと一晩置いたので柿の表面は酸化し僅かに黒ずんでいましたが、漂白効果で綺麗になりました。


次に吊します。


大玉中心に12連は横吊りにしました。横吊りはひもが少し長い。


今、プロの生産者は殆どが横吊りです。
主に贈答用にはこちらを用います。そのためにはまずもって上手に干すことが肝要。


大玉は上手く出来ると見栄えがしますが、乾燥に時間が掛かり失敗するリスクもあります。
中玉、小玉の17連は縦吊りにしました。


縦吊りはひもの跡が付くので、後に玉回しの一手間が掛かります。


全部で29連。1連に14、20個は少しだけで大半は16、18個。合計490個余りとなりました。


結局、数ではほぼ例年並で、昨年の倍以上あります。
気温が高いとカビの発生するリスクが高まります。何年か前、地域全体にカビが発生したことがありました。
気温が下がり乾いた寒風が吹いてくれれば理想。


干し柿づくり'23~皮剥き

2023年11月20日 | 干し柿づくり

今年の干し柿用の「蜂屋柿」は大豊作
昨年の大不作から見れば天と地ほども違います。
昨年は成らない分大玉でしたが、今年は成り過ぎだけに当然ながら昨年より小さい。
出来るだけ小さいものは除き、段ボールで山盛り6箱ほど。


昨年は200個余りでしたが、今年は倍以上はあるでしょう。
昨年は別として、例年500個程度の干し柿を作ってきましたが、老体の身には負担が大きくなってきました。
そろそろ300個くらいに減らそうと考えていたところでした。
しかし、今年のように沢山成るとどうしても多く穫ることになってしまいます。
小さい柿はモチベーションが落ちます。300g程度あれば望ましい大きさです。
昨年は数は少ないながら大概大玉で、400g級の特大玉もありました。
今年は小さいと思いましたが、以外にそうでもありません。さすがに特大玉はないものの300g級はかなりあります。
右から大玉、中玉、小玉。数的には中玉が多い。


大玉の比率は低いながら絶対数は昨年程度はありそうです。大玉は贈答をメインにします。
皮剥きのやり方は例年と変わりません。
今年も文化財級の道具を使用します。年一度の出番です。


小生の幼少期からあったと思われる皮取り器(木製ピーラー?)とナイフ。
1年経っても殆ど変わらず錆も付いていません。
黒光りしているのは汚れているのではなく、柿渋によるもの。
この柿渋が防錆効果があるのです。軽く研ぐだけで十分。
皮剥きのやり方については例年と変わりませんが、一通り流れを記します。
まずは通称肩回し。ナイフを使ってヘタの周りの皮を剥きます。
ナイフの背の先を柿の軸にあてます。


軸をテコにし一回しして皮と一緒にヘタを取り除きます。


剥く時は、ナイフは動かさずに柿の方を回転させます。これが大事。
さらに、肩の部分をナイフで1回しか2回しします。


大きな柿は2回しした方が後の作業がやりやすい。
ナイフを動かさず柿を回すことで早く綺麗に剥けます。機械剥きで柿の方が回転するのと同じ理屈です。
次に皮取り。
皮取り器は利き手の親指と人差し指で鉛筆を持つような形で持ちます。


中指、薬指、小指を柿に添え、柿をテコにして皮取り器を動かします。
柿を持った手も左右に動かしながら先端まで一気に剥きます。


途中で止まらないようにして細く剥くと綺麗に仕上がります。
発泡スチロール箱一つ分終了。


昼食後直ちに開始し休みなしで頑張ったものの、結局残業となりました。
数は数えていませんが、吊す段になればハッキリします。
これは一晩おき早朝写したもの。


本来は、皮剥きから吊すまでを一連の作業として終わらせるべきものです。
今、我が家では翌日に硫黄燻蒸し吊すため、二日がかりの作業となっています。
小生が何故皮剥きの作業を容易にできるかについては以前にも書いています。
昔、我が家は柿園があり干し柿の生産農家でした。
干し柿を作る時期は11月の限られた期間に集中するため猫の手も借りたい状況になります。
子供も手伝いするのが当たり前。小学校高学年ともなれば完全に剥き手の一員にカウントされていました。
小生も通算すれば万の単位の柿を剥いています。
しかし、長じては柿穫りはしたものの、皮剥きをした記憶は殆どありません。
小生が再開したのは母が亡くなった平成13年から。
雀百まで、一度乗れた自転車はブランクがあっても乗れるのと同じ理屈です。


今年の干し柿用「蜂屋柿」は色づきが早く成り過ぎ

2023年11月12日 | 干し柿づくり

今年の干し柿用の「蜂屋柿」は色づきが早く沢山成っています。
昨年は20年に一度あるかどうかと言った大不作、一転今年は大豊作です。
昔、我が家には7、80aの柿園がありました。大半は50年余り前に伐採され、田んぼや畑に変わりました。
今残っている柿の木はその名残の数本と言ったところです。
もともと柿は隔年結果しやすいのですが、ほぼ放任ですからなおさらです。
昨年は本当に酷い成りでした。それでも何とか200個余りをかき集めました。
今年は有り余ります。しかも色づきが早過ぎます。
色づきが早過ぎると剥き始めるまでに熟し過ぎるので困るのです。
柿の木によっても成り方は一様ではありません。
この木は隔年結果が一番出にくかった木ですが、昨年はほんの僅か。
今年は成っていますが、成り過ぎというほどではありません。


このくらいで十分。ほどほどの大きさのものが確保できそう。


こちら木は大木になってしまいました。


昔は木によじ登り鋏竹で隅々まで穫りました。もちろん今はしませんし、する必要もなくなりました。
沢山成っています。多くなっているところは当然小さい。


楽に穫れるところ、比較的大きいところを穫るようにします。
こちらは北向きの木。日当たりがあまりよくありません。


それでも今年は色づきが早い。穫りやすいところに成っています。


この木は未だ葉が青々で数が多い。比較的肥大がよさそうです。


この木は自宅のすぐ近くにあります。


大木にならないように剪定しており、あまり期待はしていません。
ところが、日当たりが良いためか不作の年でも成り、昨年は重宝しました。
今年は鈴なり状態。


少し摘果などしてみましたが、焼け石に水だったようです。


昨年は何処の柿の木も成っていませんでした。今年は何処の木でも成っています。
昨年は特別として、例年500個程度の干し柿を目安にしてきました。
しかし、さすがに負担が大きくなってきたので300個くらいに減らそうかと考えているところです。
ただ、今年のように成り込むと粒も小さいので、そういう訳にもいかないのでしょう。
柿の熟度で言うと今すぐ剥いても良いのですが、干すには気温が安定して低くならないと不安です。
1週間後くらいに剥くことにしました。



干し柿づくり'22~今年の干し柿は間もなく終了

2023年02月27日 | 干し柿づくり

干し柿は、干し始めから3ヵ月以上が過ぎました。
昨年は蜂屋柿が大不作で、干し柿も残り僅か、昨年より大幅に早く終了となります。
昨年の今頃は沢山残っており、今年の数倍はあったでしょう。4月になってからも食べていました。
今残っているものは、殆ど小玉の干し柿です。
これは1月10日頃にポリ袋に入れ、気温の上がらない部屋で保管している干し柿。


空気に晒したまま放置すると硬くなるので、このような簡便な方法で保存しています。
白粉は満遍なく回っていますが、地肌が全く見えないと言うほどではないようです


年内にタッパーに入れ冷蔵庫で保管していた干し柿は全て消費済みです。
量が少ない場合、軟らかい干し柿を好む人は、そのようにして保管するのが簡便です。
より長期に同じ状態を保ちたい場合は冷凍するのが確実。
今年冷凍保存している干し柿は少量ですが、一寸取り出してみました。


右が年内のあんぽ柿を冷凍したもの、左が年明けのころ柿を冷凍したもの。
白粉の回り具合で区別がつきます。何れも結構大きな干し柿です。


干し柿は水分が少ないため冷凍してもカチンカチンにはならず、手で押すと弾力があります。
茶菓子として出ている干し柿。殆どが小玉です。


1個取ってみます。


割いてみます。


小玉の干し柿は硬くなりやすいのですが、比較的軟らかい。
今年は量は少ないながらも、小生好みのねっとりとヨウカン状の干し柿を味わうことが出来ました。
ちなみに遡って、これが年内のあんぽ柿。


これが年明けのころ柿。


現在のころ柿と比べると違いがよく分ります。
昨年は、3月になっても大玉のころ柿が茶菓子で出ていました。今年は小玉の干し柿で残り僅か。
若い頃はそれほど干し柿を食べたいとも思いませんでしたが、今では好物になっているから不思議です。


干し柿づくり'22~白粉は順調に回る

2023年02月06日 | 干し柿づくり

干し柿は、干し始めから約2ヵ月半。
昨年は蜂屋柿が大不作で例年の半分以下の量です。
それでも乾燥は概ね順調に進み、まずまずの干し柿に仕上がりました。
白粉の吹き出しも順調で、綺麗に回りました。
但し、大玉の大半は贈答にしたため、残されたものは多くが中玉、小玉です。
室内に取り込んだ後、1月10日頃にはポリ袋に入れ、気温の上がらない部屋で保管してきました。


いつまでも放置すると硬くなってくるため空気に晒さないようにする必要があります。
この方法はベストではないと思いますが、簡便です。
逐次消費してきたので残りは少ない。昨年は、今頃100個くらいも残っていました。
今年は大玉は残っておらず、中玉も残り僅か。
これが中玉。


これが小玉。


白粉は全体に回っています。
白粉は中の糖分が表面に吹き出したもの。甘味と白粉の多少は関係ありません。
ただ、この時期に白粉が無いと物足りない感じにはなります。
これは年内のあんぽ柿の状態でタッパーに入れ、冷蔵庫で保管していた干し柿。


数少なくなりましたが、自然に白粉が吹いてきました。比較的軟らかい状態で保たれています。
よりあんぽ柿に近い状態を保ちたい場合は、ラップに包んでからタッパーに入れれば、軟らかさは保たれます。この辺は個々人の好みの問題です。
さらに長期に保存しようと思えば冷凍が確実。
量は少ないながら、あんぽ柿を冷凍保存中の干し柿。一時取り出してみました。


これは大玉。冷凍でもカチンカチンにはならず、弾力があります。
干し柿は水分が少なくなっているからです。


こちらは、茶菓子として出ている干し柿。残り少ない中玉です。


1個取ってみました。


割いてみます。


これは中身が飴色で比較的明るい。ねっとりした柿のヨウカンと言った趣。
典型的な小生好みの「ころ柿」です。