先月5月29日に施行された鳥獣保護法は、3月11日に閣議決定された鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律の一部を改正する法案が第186回通常国会に提出されて可決されたものである。略称は鳥獣保護法又は狩猟法と呼ばれる。主務官庁は環境省である。
バックグラウンドとして、鳥獣が増え過ぎ、生息範囲を広げることを防ぐため、都道府県が、「鳥獣保護管理事業計画」を策定し、適正な個体数に減らすための捕獲を行う。今までは許可を受けた狩猟者が捕獲等を行ってきたが、狩猟者の高齢化に伴い、鳥獣の増えすぎが懸念される様になった。また、農林業被害が顕著になったことも理由である。今後は専門業者を認定する制度が創出された。
網や、罠を使う猟の免許取得年齢を20歳から18歳に引き下げた。また、知事が許可した場合には住宅地において麻酔銃を使用することが出来る様になった。更に、一定条件の下、安全を確保できる場合に限り、夜間の銃猟の使用を認めた。従来鳥獣の保護が目的であったが、今後は、保護は継続するも新たに管理することが目的となった。
樹木や農産物の食害が問題となっているニホンジカとイノシシは2010年の調査では全国で220万等程度とされていて、指定管理鳥獣に位置づけ、生息数を2023年までに半減させる目標を達成する様に個体数の管理を徹底していくことになる。
生物多様性の確保や生活環境の保全及び農林水産業の発展を通じて自然環境の恩恵を受ける国民生活の確保及び地域社会の発展を目的としているが、近年、特定外来生物による生態系被害や動物愛護に関する法律の制定・施行が成されているが、市民や、民間団体からは様々な意見があり、対立も見られる様である。
根底には、鳥獣保護の考え方を後退させ、スポーツやレジャーとしての狩猟や安易な駆除に通じるとの悪評もあるからである。猟友会が行うシカやイノシシ等の駆除が、人命までも誤って死亡させる事故も報告されていて、生態系の保護と鳥獣の管理とは何処かで相反する事態を孕む物であり、両者のバランスをどこに求めるか、関係者の調整を行うと共に、その経過や結果を公表すべきであろう。
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