現職の時、事業内援助課へ配属され、対外的な委託訓練を担当していた。昭和40年代後半であったが、主な業務は公共職業安定所(ハローワーク)と共同した同和対策の一環で、普通自動車運転科や大型自動車運転科を地域の自動車運転教習所を委託訓練施設とした対外業務の職業訓練担当であった。対象訓練生は職安の受講指示に基づき、一定期間で、無料で運転免許を取得できる制度であったため、多くの受講者が訓練を受けていた。現在では暫定期間(時限立法)があった同和対策基本法が期間満了となったため、この訓練制度は消滅している。
職員を対象とした人権に関する研究会に数度出席した。
このときの講師からいわれたことを今でも思い出す。病気の人間に対し、3本ある牛乳をどのように分けるのがよいのかの問いに対し、その答えは健康な人間と半分に分けることが平等ではなく、3本の牛乳を全て病人に与えるのが平等であるとのことであった。なぜなら健康な人間は牛乳を飲む必要がないからである。異論があることは承知で申し上げたが、相手の事情や状況を判断することによって、平等の意味も異なるという教訓である。
我が国には拭いきれない不平等な人権問題を抱えており、解消までには長い時間と適切な支援が必要である。その発生には歴史的な政策が絡み、憲法で規定されている平等という基本的な人権が踏みにじられた辛い過去を背負っている。
差別と平等とはとのテーマではあったが、テーマが大きすぎ、結論を出すに至っていない。今後も私的な経験から論を進めたいと思っている。(このシリーズ最終回です)
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