2.各プロセスについて
1) 企画
計画にあがった教材は、担当者が企画・立案を行う。一人で行えることではないので、プロジェクト方式を取り、何人かの職員のブレーンをお借りしての開発となる。企画はまず、開発する教材が教育・訓練の場にどの時期に誰を対象として、どのように利用されるべきかを想定することから始まる。AV教材は補助教材といわれる理由は、主たる教材である教科書が存在しているからで、教科書のどの部分にビデオ教材の特長を生かしたモノするかである。ビデオが得意とする分野は、連続作業であり、作業の一連の流れを追うことによって、実際の作業を感覚的に理解させるのに適しているため、課題に沿った技能ステップを理解させ、教科書の記述だけでは習得が困難と思われる部分である、技能の勘やこつといわれる要素作業について、具体的に提示することを目標に置いた。
幸い、現場で行われている指導は、指導員が実演し、受講生はそれと同じ動きを体得している。指導員の限られた回数の実演では、複雑な要素が連続する作業では、受講者全員が理解するのは困難で、ついていけない受講者に対し、AV教材を利用することによって、自分の理解していない点や、疑問に思う点を指導員の手を煩わせずに、自発的に学習を可能にする補助教材としての目的を持つ。
この目的のためには、AV教材が、教科書との整合性を持ち、更に、指導員の技能と一体的な性格を兼ね備えていることが必要となる。
例えば、ILOが推奨しているモジュール訓練方式は、まとまりのある課業(ユニット)の組み合わせで、MES(雇用可能な技能モジュール)を組み立てるため、ユニット間の連続性がある程度犠牲になる傾向にある。その点で、シーケンシャルな作業に馴染みにくい性格を持っているといえる。この傾向は単一MU(モジュールユニット)についてもいえる。つまり、技能ステップを明確に提示するために必要な要素作業に分解している結果、各ステップ間の連続性が曖昧になりやすい。したがって、MUに含まれる技能要素をAV教材化するだけでは、技能の持つ幅広い内容が歯抜けになるおそれもある。以上の理由で、今回は完結した一連の連続作業ごとに巻を別立てにすることとした。この考えに立つと、丁度、一訓練課題分が一連の連続動作に当たり、作成したビデオ教材が訓練の導入にも、課題の提示にも、まとめにも使用できるようになる。また、要素作業間に潜む技能要素を明らかにすることが可能になる。
(次回へ続きます)
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