鳥!連続写真!掲載中!

近くの多摩川に飛来する野鳥の連続写真を中心に、日頃感じた出来事を気ままな随想でご紹介し、読者双方との情報を共有したい。

ヒヨドリ酒場

2016年12月25日 00時00分01秒 | 日記

 動物が発酵食品を食することはよく知られている。とくに有名なのは、猿酒である。偶然であったかもしれないが、木の洞(うろ)に木の実や果実を入れて唾液が入った個所が醗酵し酒となった説や、果実そのものが地中や洞に付着した、発酵を促進するカビや細菌に触れて酒になったなど諸説あるが、納豆菌や麹菌はどこでもいるようである。古代人類はそれを見て食し、独自に酒を造ったのであろう。

 

 紀元前3000年前のエジプトのパピルスに記されている醸造技術はビールであることがわかっている。地中海文明でもアンホラという陶製容器にワインが入っていたようで、船で周辺国へ流通していたようである。したがってアルコール飲料は相当昔から現在に至るまで人類の発明品としては古い食品であった。

 

 カメラマンとの雑談の中で話が出たヒヨドリで思い出したのであるが、今年の2月に他界され、昵懇(じっこん)にしていただいた大分県出身の植物写真家であった埴沙萌(はにしゃぼう)先生が話してくれた話に、裏庭に来るヒヨドリのために、庭に面した窓に棚を作り、水とワインを入れた容器を準備して様子を見たところ、ヒヨドリが水は飲まずにワインに群がったそうである。それから定期的にワインを入れていた容器はいつ見ても空になっていた。その場所をいつしかヒヨドリ酒場と名付け、ヒヨドリをかわいがったそうである。野鳥もアルコールが好きであることが分かったと言っておられた。

 

 自宅に実る柿が熟したころにはヒヨドリが柿の実を突っついているのがよく見られる。柿の実も熟すと醗酵が進むのであろう。その状況ははっきりとはわからないが、醗酵が進んだ実を食べるとなると、アルコールを摂取することになる。さほどヒヨドリや他の野鳥は醗酵していることにこだわりがないのかもしれない。むしろアルコールは20歳になってからなどというのは人間社会が作ってきたルールであり、鳥の世界に及ぶわけでもない。酔っぱらった鳥がいるということが分かったが、それが人間の目で見てもわからないのであれば、取り締まるわけにはいかない。

 

ヒヨドリ酒場の繁栄を願う一人であるが、沙萌先生亡き後、ご家族がヒヨドリ酒場を続けられていることはないであろう。やはり、現実に目を移したほうがよさそうである。ともあれ、今日はキリストの誕生を祝うクリスマス、あの世とやらでヒヨドリと乾杯している先生の姿が見え隠れするサイレントナイトである。