ブログ「かわやん」

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投票を訴える行動で7人逮捕されるー大阪・釜ヶ崎 住民票復活闘争に大弾圧

2011年06月01日 08時37分03秒 | Weblog
 住民票を削除された大阪・釜ヶ崎の日雇い労働者の選挙権行使を訴えた市民や、運動を記録していたドキュメンタリー作家など7人が、4月10日までに、昨年2010年7月11日の参議院選挙で大阪市西成区の萩之茶屋投票所で公務執行妨害があったとしとして大阪府警に逮捕され計14ヵ所が家宅捜索を受け、書類、ビデオテープ250本、携帯電話などが押収された(「新社会」5月17日掲載記事 一部補足)。

 4月16日に西成市民会館で開かれた抗議集会では「選挙権行使は憲法で保障され、投票を求めたことがなぜ公務執行妨害なのか」「市民運動弾圧のために公権力を乱用した人権侵害だ」と抗議の声があがり、今後、逮捕の不当性と威力業務妨害で起訴された4人(公務執行妨害容疑は全員不起訴でいったん釈放、うち4人が威力業務妨害で再逮捕、起訴)の支援活動をさらに広げることを確認した。

 釜ヶ崎の日雇い労働者にとって最低の生存権保障である日雇い労働被保険者手帳(「白手帳」)公布は、1970年代までは簡易宿泊所に宿泊した証明(ドヤ証明)があれば取得できたが、住民票などの提示に代わった。居住地が簡易宿泊所では住民票がとれないため、支援者らの努力で釜ヶ崎にある釜ヶ崎解放会館などに住民票をおいた。このことで「白手帳」の交付を受け、仕事があぶれたときに一定期間の就労記録から「あぶれ手当て」が支給されるなど、日雇い労働者の最低限度の生存権保障ができた。

 しかし、2006年12月に釜ヶ崎解放会館で住民票を買った元警察官の存在がクローズアップされ、大阪市西成区は翌年2007年3月29日に釜ヶ崎解放会館などに置かれていた労働者の2088人分と簡易宿泊所の住民票を強制的に職権で削除した。これまで市民運動側にまる投げしていたが、マスコミの批判や便宜上の一括管理が「違法」な慣行だったとして住民票削除という最低限度の生存権保障の拠り所を奪うという暴挙に出たのだ。大阪市側は住民票がないと、あらゆる資格、権利が剥奪され、健康保険、白手帳公布、携帯電話加入、選挙権行為、年金資格などの権利や資格が受けられまなくなることは当然知ってた上での削除だったといえる。

 日雇い労働者をサポートする市民たちは剥奪された権利のうち選挙権行使を求める運動を進め、2007年4月8日の統一地方選挙では、住民票を削除された44人と共に支援者が萩之茶屋投票所に行き、簡易宿泊所などの住所を確認できた9人が投票し住民票も復活することができた。これで「選挙に行けば住民票も復活します」との釜ヶ崎で呼び掛けができるようになった。しかし以降は投票所内すら入れず投票所前で投票を阻まれ、2010年7月11日の参議院選挙では校門前にガードマンと市職員が立ち、さらに公安警察が「解散しろ」と呼びかけ、校門内にすら入れず投票できなかった。投票を求める行動を阻む市職員らに対する公務執行妨害容疑にあたると逮捕の強圧が課せられたのだ。

 4月16日の抗議集会では弁護士から「投票場がガードマンに管理されており公務執行容疑自体が成立しない」「市民運動の行動で様々なことが改善されてきた。それを弾圧することは公権力乱用以外にない」「単純に公務を執行したときに公務執行妨害が成立する。これとは今回まったく違う」など容疑自体への疑義や、大阪市が住所確認できれば投票もでき、住民票も復活するという大阪地裁判決が出ながら広報活動を怠ったてきたことへの行政の不作為に対して批判が相次いだ。拘束されている7人からの獄中メッセージもあり、また参加者からは、「ビデオテープ250本の押収と今回の公務執行妨害の容疑とどうした関係があるのか。表現の自由に対する弾圧の面ももつ」という指摘や「弱いものの闘い方を組み立て直すことが重要だ」などの意見もでた。

 なお支援市民グループのブログはhttp://d.hatena.ne.jp/FreeK/で、救援カンパ振込先は郵便振り替え番号00940-5-79726 加入者:釜ヶ崎医療連絡会議で、通信欄に「4・5カンパ」とお書き下さい。 



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