あまでうす日記

あなたのために毎日お届けする映画、本、音楽、短歌、俳句、狂歌、美術、ふぁっちょん、詩とエッセイの花束です。

夢は第2の人世である 第134回

2024-03-04 09:56:06 | Weblog

 

西暦2023年霜月蝶人酔生夢死夢百夜

 

2023年11月

 

大恩ある大親分を逃亡させるどころか、おらっち自身が逮捕されてしまうという最悪の事態に陥り、おらっち激しく後悔したのだが、後の祭りだった。11/1

 

EUDころ60を丘の上から犯久で落下させ、イタリア平にケアとうさせたのよ。11/2

 

イスラエルのミサイルが飛んできて、あたいの家を家族丸ごと爆破したが、あたいだけは生き残って、瓦礫の山の底から這い出てきたのよ。11/3

 

「さあ、これがトヨタの最新力作だあ」というて、ハイブリッド車を薦められたが、それが今や世界の最前線にある電気自動車からいかに時代遅れの代物であるかが、てんで分っていないようだった。11/4

 

今夜のコンサートが終了したあと、解散する人の流れが分かったので、明日は各種演奏会のチラシを満載したキオスクを、要所要所に配置しようと思った。11/5

 

世界中の山々を征服したそのアルピニストは、帰国するとタデシナ高原の麓に隠遁し、ついに征服できなかった若い娘と暮らしているそうだ。11/6

 

なんせ右翼放送局の肝入りでできた映画なので、スクリーンのところどころでその肝を見せつけると、観客衆は、そのエグイ醜さと悪臭に、思わずのけぞるのだった。11/7

 

上司がねえ、まっことくだらんことばっかりいいくさるので、ドタマにきたおらっちは、そいつをぶっ殺してしもうたが、あまりいい気持にはなれんかったずら。11/8

 

「こんにちは、イデです!」という野太い声がしたので、「え、あのイデ君が我が家に顔を出したのかあ」と驚いて、階段を駆け下りて玄関口をのぞいてみたのだが、イデ君の影も形も見えなかった。11/9

 

おらっちが、車に乗せられて警察へ向かう途中、対向車に乗っていた黒犬が、窓から窓へ飛び移って、おらっちの顔を、ペロペロ舐めまくるので参ったずら。11/10

 

昼飯を息子と一緒に食べようとソバ屋で1時間近く待っていたが、まだ順番が来ない。ふと思い出したのは、息子はソバなんか好きでもないし、もしかすると出されても食べないかもしれない。最初から豚カツ屋に行けばよかったと激しく悔んでいる。11/11

 

その人と話していると、その人も、この世ではもう二度と私と会うことはないだろう、と思いながら話していることが分って、なんだか悲しくなってしまった。11/12

 

アメリカ移民300ドルが終わると、自動的にチンと日付が変わって、音メタ的に大音量の太鼓が鳴る、というさいしんしきシステムだった。11/13

 

グリュミオーとハスキルがモザールの後期ソナタを演奏するというので、久し振りにサントリーホールにいったら、カザルス、コルトー、フルトヴェングラー、ワルター、クレンペラー、新しいところではグールドやクライバーまで聴衆席に収まりかえっていたので驚いた。11/14

 

不人気の異次元内閣が、とんぷく薬局のお薬手帳で、ポイントが溜まると、全員アロハでハワイ旅行に行けるようにしたので、とんぷく薬局だけは、大繁盛だ。11/15

 

おらっちは「3月6日の武装蜂起は占い師が験が悪いというから、4月1日にしよう」と説いたのだが、仲間たちは「いやそれは4月バカみたいだから断固3・6にする」と言い張って決行したところ、案の定失敗に終わったのよ。11/16

 

脳味噌の塩梅が悪いので、いつもの脳外科にいったら早速いつものように開頭して「こいつのせいでアセラル効果が減退したんでしょう。全部切除しときましたから、すぐに良くなるでしょう」と明言したのだが、半年経っても良くならないのはなぜだろう。11/17

 

山陰本線の綾部駅を降りると、タクシーが停まっていなかったので、駅前から西町商店街を通って、西本町25番地の「てらこ」下駄屋に着いたが、誰もいなかった。11/18

 

カーペンターズから招かれ、楽隊かと思って加盟したら、これが大工の組合で、壊れた煉瓦塀の体積を計算することが、中学時代と同様全く出来ないおのれに気づいて、「やっぱし駄目なんだあ」と絶望して、カーペンターズを辞めたのよ。11/19

 

紅楼夢に出てくるような、女のような、男のような、子どものような、チャイナドレスを着た纏足娘を、踏んだり蹴ったりして、いたぶっていたら、急に吐き気がして、やめざるを得なくなった。11/20

 

ここは南米のどこかなのだが、大平原に無数の灰色の鳥が歩き回っているようだが、おらっちはその名を知らないし、知りたくもないずら。11/21

 

横長のテーブルの真ん中に座らされて食事をしている。右には大好きな女の子がいるのだが、左は大嫌いな上司だ。ステーキを喰っている最中に、お腹が痛くなってきたので、早くトイレに行きたいと思うのだが、まっこと難儀なことになったずら。11/21

 

「コハコナラズ」という言葉が乱発されるのだが、その意味が分らないので迷惑だ。「子は子ならず」だろうか? 「孤は孤ならず」だろうか? それとも「こはこならず!」なのだろうか?11/22

 

鎌倉に早く帰りつかなければならないので、気ばかり焦る。見知らぬ駅に、平戸橋行とかいうバスが停まっていたので、思い切って乗ってみたのだが、運転手も乗客もいないので、どっち方面に行くのか、さっぱり分からない。11/23

 

我が軍営を視察に訪れたパナナン大将は、まっさきに便所の中に入ってのだが、その汚らしさに鼻をつまみながら、「トイレをきれにしない軍隊が、敵に勝ったためしはない!」と、大声で訓示を垂れ始めたのでした。11/24

 

玄関で話声が聞こえるので、急いで2階から降りてみると、丸坊図のジョージの後ろ姿がちらっと見えたので、「ジョージ、ジョージ!」と叫んだのだが、気づかずに行ってしまった。残念なことをした。11/25

 

ある夏の日の朝、突然、あらゆる交通機関が停まってしまった。

大勢の人が職場へ行こうとしても、電車もバスもタクシーも動いていないのでどうしようもない。その結果、国民の大半が丸一日自宅待機の状態になってしまったが、このことについて当局からの発表は何もなくマスコミも何も伝えない。11/26

 

人々は疑心暗鬼に駆られながら眠れない夜をすごしたのだが、夜が明け、翌朝になっても事態は何も変わらず、電車もバスもタクシーもまったく動いていない。11/26

 

ここ首都圏から少し離れた海辺の旅館では、朝から宿泊客たちが大広間に集まって、三々五々ああでもないこうでもない、と口々に自分の意見を述べるのだが、相変わらず確かな情報はどこにもない。

 

旅籠のおかみの老婆が、勘定場から出てきて、最新の国連情報を披露したが、その中にも今回の事件に触れた発表は何もなかった。

 

すると、なぜかおらっちの弟の善チャンが出てきて、母の愛子さんから聞いた話を始めたので、何か重大発表かと思ったみんなが耳を澄ませると、案に相違してこんな昔話だった。

今からおおよそ半世紀前の昔、夏場は臨海学校だったその旅籠に連れてきた中津川のおばさんは、まだ幼かった愛子さんに「早寝早起きせんといかんで」と言い含めたそうだ。11/25

 

あたしは海風の中に塩のにおいを感じた。うず高く積まれた塩浜の丘の上に立つと、空の上に2つの鯱鉾が浮かんでいたが、それがバッハの2挺のヴァイオリンのための協奏曲を演奏しているのだった。11/26

 

昨日はクロネコヤマトの人に助けてもらったのだが、今朝はそのクロネコの車が別のクロネコの車とバス停の傍で衝突していて、昨日の親切な運転手が車の下敷きになって血塗れで苦しんでいるので、おらっちはなんとか恩返しをしようとケータイを取り出したが救急車の番号が分らないのだ。11/27

 

リーマンたちは、みながみな別人AIを所有していて、午後5時に退社すると、それから後はその別人AIが残業したり、有楽町のガード下でいっぱいやったり、AI同士で新年会や忘年会に出たりするのだった。11/28

 

昔の映画をみていたら、銅山が出てきたので、「あ、銅山だあ!」と叫んだら、「違う、象だ、だ。象山だ」というて佐久間象山が現れた。11/29

 

昼過ぎにみすぼらしい男の子が迷いこんできたので、仲良く一緒にマツボックリ遊びしたのだが、「キミ、どこから来たの?」と訊ねると、「御成から」という。彼の父親がモーリタニアの女性と再婚して、3人で死んでいると言うので、家まで送っていくことにした。11/30

 

頼まれた原稿に、どうも現世秩序と権門の禁威に触れる文言があったようで、編集者が気にしているようだが、それらの空気に忖度して、早手回しに原文の修正や削除を申し出ようとするおのれの醜さを恥じて、じっと沈黙しているところだ。11/30

 

―NHK「ブラタモリ・京都東寺編」をみて

平安の京の西寺の講堂のタモリの手に乗る瓦礫の朱のいろ 蝶人

 


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