照る日曇る日 第1068回
2005年に中原中也賞を受賞した若き詩人による、2006年に刊行された詩集です。
「かみさまと花豆」と「素晴らしい日々」の2つの作品から構成されていますが、私が気に入ったのは、後者の先頭を飾っている「しゃくやくの花」という詩です。
安物のベッドが
壊れてしまいそうな
セックスの夜
むかしのこいびとのもんだい
を吐き出したおとこは
わたしに
プロポーズした
で始まり、
次に桜が唄う頃
わたしは
よめになるのだ
しゃくやくの花
とても死ぬ きれいね
で終わる、全部で44行の詩は、とてもシンプルだけれども律動を力強く刻み、それまで著者を抑圧してきたものをば、一挙にはね返す力に充ち溢れていて、素敵だなあと思いました。
転調をすればするほど哀しくてミシェル・ルグラン「シェルブールの雨傘」 蝶人