片山修のずだぶくろ Ⅰ

経済ジャーナリスト 片山修のオフィシャルブログ。2009年5月~2014年6月

装丁家・坂川栄治さんに会う④

2010-08-05 00:03:06 | 対談

片山 いま、うちの事務所の若い人と毎週一回、社内会議をやってるんです。興味のある時事問題について各自3つとりあげて、それについてみんなで話し合うんです。若い人の考え方を聞く機会になってますね。1時間から2時間やってます。

坂川 へーえ、そんなことやってるんですか。Photo

片山 毎回若い人たちと白熱してバトルをしてますね。
僕もそこからいろんなことを学んでいます。インターネットとか、ツイッターとか、電子書籍とか、新しいものが次から次へ出てくるじゃないですか。そういうものについて教えてもらってるんです。
自分の意見もいいますよ。しゃべりすぎないように気をつけてますけどね。

坂川 若い人には貴重ですよね。流されるのがラクで流されてないと不安な人も、流されてみると、流れない杭の意見が聞きたくなるんじゃないですか。
それは自分が柔軟じゃないとできないことですよね。年取ると、断定的にものをいいたくなるようになるんじゃないですか?

片山 そんなことはないよ(笑)。
彼らの話を聞いて、ああそうかと内心うなずくこともあります。
Photo_2 そういえばこの前は、夢をもつことについて話をしてたんです。
「夢をもつことが大事だ」といったら、「なんで夢をもたなきゃいけないんですか」といわれた。

坂川 うわー。ホントですか。

片山 「なんで頑張らなきゃいけないのか」「なんで競争しなきゃいけないのか」と聞かれるんですから。そんなところから説得しなきゃいけない。
日本経済の話から始めなきゃいけなくなる(笑)。もっと大きな視点をもたなくちゃいかん、このままでは沈没するぞと。

坂川 それは、若い人たちにとっては“学校”みたいなもんですね。

片山 まあ、私もいろいろ考えさせられますよ。遊びながら楽しくやってます。

坂川 確かにそうですよね。
私は、北海道の北の端の、本屋も満足にないような町で生まれ育ったので、事務所の若い人たちに、自分のやった装丁本が全国に届いていくこと、文化的なものに関わっていることが嬉しいんだと話したりしますね。
たとえば、島根県の小さな町の、バス停のそばにある街中の本屋さんに、女子高生がクラブ活動を終えて入って、いろいろ迷って、気に入った本を買う。バスに乗って、うちへ帰って、ちょっとテレビを見て、ご飯を食べてお風呂に入って、トントントンと階段をのぼって、自分の部屋の電気のスイッチをパチンと入れる。そしてカバーを開けて、その本を読み始める。
私の装丁した本は、そこまでつながってるんだと。

片山 おもしろいですねぇ。そこまで具体的なんですね。

坂川 そういうふうに、自分が東京という中央から発信したものが、静脈のように、日本の端っこの端っこまで届いていくんだってことを想像するんです。

片山 それを想像できれば、若い人たちのモチベーションのアップにつながりますよね。
若い人はダメだっていったって、天にツバするようなものですよ。
若い人が悪いんじゃなくて、それを育てた親でしょうと。オトナが、子どもが悪いといってたってどうしようもない。
親の反省なしに若者批判したって説得力はないですよ。


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