私は最近感じますのに、善と悪と申しますといろいろな議論の余地はございましょうが、人間の心には善と悪との面があると思うのです。いかなる人でもそう考えていい。一方で善意があれば、一方でやはり悪意をもっている。その二つが心に住まっていると思うんであります。
そういう人間の心の悪を刺激すれば悪になる。善を刺激すれば善になっていく。
最近の読み物を見ましても、軽く手に取る新聞、週刊誌を見ましても、悪の面を刺激するような記事が多いですね。ですから、どうしても心に住んでいる悪の面が出てくるということであります。これが青少年の犯罪になって現れてくるわけであります。
青少年でなくても、おとなでもそうだと思います。青少年ほど極端ではありませんが、お互いおとなでも、やはり悪の面を刺激する読み物があって、それを読んでいると、ついいくらかそういう気分になってまいります。これは人間の本性であります。しかし善意、いわゆる良心を刺激するものがあれば、これは悪は消えて善になってまいります。これは当然だと思うんです。
昭和41年(1966)71歳全国小学校道徳教育研究発表会
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